第14.2話 2ndシングル2
「やっほー、智久くん。アレンジの調子はどうだい?」
会議の翌日、北山と香坂が連れ立って戸松の家へやってくる。
最近は戸松と北山の二人だけでの作業であればビデオ通話で事足りるため、直接顔を合わせて制作を行うことに幾分新鮮味が感じられた。
「二人ともいらっしゃい。惟子さんがこうしてウチに来て作業するっていうのも随分久しぶりですね。……香坂さんも今日はよろしくお願いします」
「あれれ、ずいぶん他人行儀じゃん。同じ学校に通っていたのに」
「え、何でそれを……」
香坂を見やると、ツンと澄ました顔をしている。
「私も戸松さん……トモと同じく惟子さんのファンだから、ついつい自分のことをいろいろと知ってもらいたくて話しているうちに、流れで喋ることになっちゃって」
「いやあ、こんな美少女が同じクラスにいたってだけで学生時代は彩り豊かだったでしょ。うらやましいねぇ、青少年」
「惟子さん、発言から加齢臭が出ていますよ。純朴な作曲家をいじめないでください」
交際していたことが、よりによって北山に露顕することは断固として避けたかったため、単なる同級生であったと認識していることにホッと胸をなでおろす。
「とりあえず雑談はその辺にして、曲作りに早く取り掛かりましょう」
このまま話を続けるとボロが出かねないと判断し、コントロールルームへ向かうよう二人を促す。
「はいはーい。それじゃ、ちゃっちゃと終わらせてお二人の甘酸っぱい思い出を聞かせてもらおうかな」
口調こそ軽いものの、北山の顔つきは真剣なものに変わっていた。




