第14話 2ndシングル
いろいろと悩んだ末2ndシングル作成にあたって作成したラフアレンジは、EDMを基調としてアコースティック系のサウンドもやや多めに取り入れたミドルテンポの表題曲、3拍子と4拍子が混在するオーケストラサウンドがメインとなるバラードのカップリング曲であった。
「……と、こんな感じで行こうかと思うんですが如何でしょうか」
メンバー、スタッフが集まっての会議でラフを流し、感触を伺う。
「おっ、2ndシングルでその方向性はなかなか攻めているね。けど、A面の方はスタジアムアンセムっぽくて海外曲が好きな層に特に受けそうだし、B面の方も歌唱力の技巧が光りそうな感じでしんみり聴かせられそうだな」
田中は上々の反応を示し、他の銘々からも異存の声は上がらない。
「では、これで仕上げに入ります。作詞は北山さんにお願いしようと思うので、レコーディングについても日程をフィックスして問題ないかなと」
北山は商業レベルのクオリティを維持しつつ歌詞を筆早く仕上げるため、戸松も全幅の信頼をおいている。
「あー、それなんだけど、また香坂ちゃんにA面の方はメインで担当してもらいたいなと個人的には考えている。余力があったらB面も」
田中という想定外の方向から飛び道具が放たれ、戸松の心臓がピクリと跳ねる。
香坂を見やると落ち着き払った表情をしており、田中との調整が事前に行われていたことが伺える。
「とはいえ、とまっちゃんの作業効率やゆいちゃんの都合もあるだろうから、あくまで今の話は提案ってことで。話題性があるに越したことはないけど、それよりかは楽曲のクオリティを優先したいしな。どちらを選ぶかはとまっちゃんが判断してくれ」
戸松と香坂のの関係性を知らないながらの配慮は、戸松にとっては何の意味もなさず、イエス以外の回答を絞り出す選択肢は存在しえなかった。




