第11話 対談
「うちの音楽雑誌で、KYUTEの対談企画が持ち上がったんで、俺ととまっちゃん、KYUTEメンバーでやろうと思う」
ライブから数日後の打ち合わせにて、田中が突如切り出す。
「分かりました。一応確認ですけど、自分は文字だけでの出演って認識で間違ってないですか」
「そらそうよ。美少女アイドルのインタビューに男臭い絵面はいらんだろ」
「それは確かに」
戸松と田中二人して笑いあう。
「はいはーい、提案があるんですけどいいですかー?」
種田が手をひらひらと掲げながら声を挙げる。
「前みんなでご飯行った時に戸松さんと話したことなんですけど、この対談企画、戸松さんのハウススタジオでやりたいんですけどどうでしょうか」
「なるほどねぇ、まあいいんじゃない。作曲家のスタジオ風景ってマニアには垂涎ものだし、元々とまっちゃんプロデュースっていうのも一つのウリにしているしな」
田中も諸手をあげて賛成する。
「……分かりました。ほかの皆さんも嫌でなければ」
自ら提案した手前、断ることはできないと思案しつつ、当時の対応を若干後悔しながら返答する。
「作曲家さんのところにお邪魔できる機会なんてめったにあるものじゃないですし、是非行ってみたいです」
須川の言葉に他メンバーも頷く。
「とまっちゃんってこんなに若いくせに、そこそこいいハウススタジオ持っているんだぞ」
田中が口をはさむ。
「居抜きでいい物件をたまたま運よく拾えただけですよ。それに、スタジオといっても、レコーディングルームとかがあるわけでもなく、ちょっと広いメインルームの中にボーカルブースがあるだけなんで。そんなに期待値上げられちゃうと、思ってたよりもショボかったなんてガッカリされちゃうので勘弁してくださいよ」
田中の軽口に対し、苦笑いで応酬する。
「ま、期待は程々にしてもらうとして、対談に向けて部屋はきれいにしておいてね」
かくして、1週間後に皆を戸松の自宅へ招いての催行と相成った。




