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第10話 対話2

「ふーん」

戸松が北山を見やると、ニヤニヤしながら頬杖をついている。


「あー、なんなんでしょうね。すいません、ちょっと外出てきます」

酔った頭では適切に説明できる気がせず、そそくさと席を離れる。


「もしもし。今日はお疲れさま。もう家には着いたの?」

「うん、そっちもお疲れさま。こっちはもう家に着いたわ。その雰囲気からすると、まだトモ……じゃなかった、戸松さんは外?」

単純に酔っているのか、あるいはそれが大義名分となると認識しての故意なのか、昔の呼び名を香坂が口にする。


「そうだよ、しずく。田中さんと惟子さんの3人でひっそりと2次会してる」

香坂の口ぶりにあてられて、戸松は半ば故意に呼称を”間違え”る。


「そうなんだ……。お邪魔だったかな、ごめんね」

「いいよ。あの二人だったら、俺がいなくても勝手に盛り上がっているだろうし」

フフッと香坂が弾んだ笑い声を響かせる。


「確かに。惟子さんってすごく外向的で、あんまりクリエイターって感じがしないよね」

「性格は確かにそうだよなぁ。ただ、ああ見えて観察眼はかなり鋭いから気を付けた方がいいぞ。ぶっちゃけ、俺たちが旧知の仲だってことはバレているっぽい。どこまで感づいているかまでは分からないけど」

「え、そうなの?うわ、どうしよう……」

「まぁ、惟子さんはそういうのを言いふらす人じゃないからそこまで心配する必要はないけど。ただ、既に面白おかしく揶揄われている感じはするし、しずくも覚悟はしておけよ」


「そうね、気をつけておくわ。尤も、作詞の時に既にだいぶ隙を見せてしまった気がするけど……。……フフッ」

「どうした?」

「いや、こうしてまた普通に話せるときが来たんだなって。まぁお酒の力もあるんだろうけど」

「……確かにな。ごめん、正直最初は戸惑いすぎてうまく話せなかった。電話とかずいぶん酷い対応しちゃったなって自覚してる」

「あー、あの時はショックだったんだからね。私も初手から出す内容じゃなかったけど」

酔いを大義名分にして、それぞれ抱いていた思いをそれぞれ吐露する。


「まぁこうして話せたし、これからは素直に落ち着いて話せそうな気がする。とりあえず、田中さんと惟子さんも待たせているから今日はこの辺で。実は惟子さんに着信画面見られて、しずくと今電話しちゃっているのバレてるから、あんまり長話するとまた変に勘繰られちゃいそうなんだよ」

「なにそれ迂闊すぎでしょ、馬鹿じゃないの」

言葉とは裏腹に、香坂の口調は柔らかい。


「ごめんごめん、今度はこっちから連絡するよ。じゃあね」

「うん、お休み」

切電後店内に戻ると、戸松の予想に反し北山からの追及はなかったが、店にいる間しばしば戸松は北山からの意味深な視線を浴びることとなった。


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