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第9話 対話

宴会も盛り上がっているうちにお開きの時間と相成る。


「では、今日は本当にお疲れ様でした。これからもこのメンバーでKYUTEを盛り上げていきましょう」

田中による〆の挨拶と1本締めで1次会はお開きとなる。


「とまっちゃんに惟子ちゃん、3人で2次会どうよ?」

KYUTEの4人をタクシーに乗せた後、田中が3人での2次会開催を提案する。

戸松も北山も快諾し、1次会会場から程近い小洒落たバーへ拠点を移す。


「はぁ、ようやく終わった……。彼女たちには人気になってもらいたいけど、お偉方からの人気は早く下火になって欲しいものだよ……」

カクテルグラスを傾けながら田中が愚痴を吐き出す。

長年共に仕事をし気兼ねなく話せる二人しかこの場にいないという安心感と酔いが、口を軽くしているようであった。


「そもそも、これからデビューするアイドル1ユニットに対して、役員クラスがここまで前のめりになるっていうのも変な話ですよね」

「そこはどうも裏にいろいろと話があるらしい。俺も気になるところではあるんだが、突くと蛇どころか龍でも出てきそうだから触れない方がいいぞ」

北山が抱いた疑念に対し、田中は神妙な顔をして忠告する。


「とにかく、そんな辛気臭い話は今日はやめやめ!どうよ、とまっちゃん。次はどんな曲にするか方向性は決まったの?」

「そういえば、1次会でKYUTEのみんなに希望を聞いていたわよね。あの時の智久君、タジタジで面白かったわ」

北山がクツクツと笑う。


「いやぁ、困っていたのに気づいていたなら助けてくださいよ、惟子さん」

「ごめんごめん。それにしてもまだ知り合ってそんなに経っていないのに、ずいぶんと慕われているわね。種田さんに関しては、もともとがあなたのファンだったっていうのはあるけど、それ以外の人もあなたのことを年齢に関係なくちゃんとプロの作家として見ているし、その点は流石よね。ところで智久君、KYUTEの娘たちに結構苦手意識持ってない?」

アルコールが廻り、やや饒舌になった北山が戸松の肩をつつく。


「いえいえ、そんなことは。ちょっと彼女たちの勢いに面食らうことはありますけど」

内心ドキリとしつつ、戸松は否定の言葉を紡ぐ。


「そう、ならいいけどね。特にしずくちゃんとやりづらそうに見えたけど、それじゃあ問題なしってことで」

北山の観察眼の鋭さに戸松は畏怖する。


「そ、そう見えますかね。そんなことはな……」

タイミングを計ったかのように、着信を知らせるバイブが戸松の太ももを刺激する。

スマホをポケットから取り出し架電者を確認すると、相手は当の香坂しずくであり、そして、すぐそばにいた北山の目にも着信画面が映っていた。


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