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いつまでも変わらない

作者: 四阿彰人(アズマヤ アキト)


おばあちゃん、覚えていますか?

ボクが物心ついた時から、あなたはボクに人として大切なものをいっぱい教えてくれました。


そんなあなたは優しい笑顔で

ボクにとっても、みんなにとっても、大きな太陽のようでした。


覚えていますか?

ボクはあなたが漕ぐ自転車の後ろに乗ってはいつも、ウトウト眠ってしまいましたね。あなたの後ろ姿と優しく風を切る自転車の揺れが心地良く、ボクは体をユラユラとさせていると、あなたはボクが落っこちないようにといつも気にかけてくれていました。


覚えていますか?

あなたはどこに行ってもすぐ、いろんな人と仲良くなっていましたね。人見知りのボクは

そんなあなたのおかげで沢山の人に出会えました。今でも人見知りなボクだけどそれでも初対面の人と話す事が出来るようになったのはあなたのおかげです。


覚えていますか?

あなたはボクが逆上がりが出来ない事を知ると、公園で夕日が暮れるまで練習に付き合ってくれましたね。なかなか上達しなかったボクだけど、あなたのおかげで逆上がりが出来るようになりました。


覚えていますか?

ボクが学校の帰りにあなたの家に寄るといつも、太陽のように暖かく優しく迎えてくれましたね。学校でツライ事があってもあなたはいつもと変わらず接してくれる。そんなあなたがボクの心の拠り所でした。


そんなボクが少しずつ大人になっていくのと引き換えに、あなたは少しずつ、物覚えが悪くなってしまいました。頭の中の記憶から、少しずつ、少しずつ、

まるでイタズラ好きな悪魔が記憶を消してしまうように。


あなたは次第に出来る事も限られるようになりました。

少しずつ、少しずつ、悪魔がまるでジャマするかのように。


あなたのそのまばゆい笑顔も、いまでは落ち込む姿が多くなりました。

少しずつ、少しずつ、悪魔が笑顔を奪ってしまうかのように。


でもね、ボクはそんな悪魔でも奪えない 、

変わらないものがある事を知ってるよ。


それはね、あなたのいつまで変わらない

深い深い、人への思いやり。

大きな大きな、人への愛情。


だから

あなたが大きな太陽から小さな太陽になり、その光が弱くなっても、最後の最後まで、あなたの中で光っているのがボクにはわかる。


太陽の光が弱くなっても大丈夫だよ。

約束するよ。

その時はボクの頼りない小さなロウソクの光も一緒に置いておくから。


もちろんボクだけじゃないよ。

みんな、みんな、あなたの心の中を照らしてるから‥


だから、どうかあなたに

いつまでも変わらない

幸いがそばにありますように。


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