表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/40

7話:米騒動3

 第一次世界大戦による好景気がまだ続いていた1918年、伊勢の福寅一派の相場師の買いあおりにより米穀取引所における期米相場はついに50円「1石当たり」に迫り、小売価格も1升30銭から50銭を超すに至り世の中は物情騒然となった。米価が徐々に上昇していくなか、寺内内閣は1918年8月2日、対外政策としてシベリア出兵を宣言した。


 この宣言は流通業者や商人などが戦争特需における物資高騰を狙い、売り惜しみをさらに加速させていくという状況を発生させた。事実、神戸米会所における相場では、7月2日に1升34銭3厘だった相場が、8月1日には40銭5厘、8月9日には60銭8厘と急騰。また、時を前後して富山県での騒動が発生している事となどからシベリア出兵と米騒動の直接的な因果関係を指摘するものもある。


 第一次世界大戦による好景気がまだ続いていた1918、伊勢の福寅一派の相場師の買いあおりにより米穀取引所における期米相場はついに50円「1石当たり」に迫り、小売価格も1升30銭から50銭を超すに至り世の中は物情騒然となった。米価の暴騰はとどまりを見せず、1918年8月1日に、1石35円、同5日には40円、9日には50円を超えた。


 8月10日には京都市と名古屋市を皮切りに全国の主要都市で米騒動が発生する形となった。8月12日には鈴木商店が大阪朝日新聞により米の買い占めを行っている悪徳業者である「米一石一円の手数料をとっている」との捏造記事を書かれたことにより焼き打ちに遭った。


 米騒動は移出の取り止め、安売りの哀願から始まり、要求は次第に寄付の強要、打ちこわしに発展。10日夜に名古屋鶴舞公園において米価問題に関する市民大会が開かれるとの噂が広まり、約2万人の群集が集結。同じく京都では柳原において騒動が始まり米問屋を打ち壊すなどして1升30銭での販売を強要した。東京市では、北陸での暴動発生の報を受けても主要な政治団体は静観の構えを見せた。


 しかし8月10日に宮武外骨を発起人として山本懸蔵ら政治・労働運動弁士による野外演説会を日比谷公園で8月13日に開催する広告が打たれ、警察が禁止の決定をしたにもかかわらず、当日には約2千人の参加者が野外音楽堂に集まった。2百人の警官が包囲する中で行われた即席の演説会は、聴衆の中から登壇する者も現れて怒号と興奮が高まっていた。


 事態は警官との衝突に発展し暴徒となった群衆は3派に分かれ派出所や商業施設への投石、電車や自動車の破壊、吉原遊郭への襲撃・放火を行った。浅草方面に向かった一派は翌14日に浅草・本庄近辺の米商に押し寄せ、暴力的な廉売交渉を行った。8月15日には軍が出動し、翌16日に暴動は鎮圧され総計299人が検挙されている。


 東京市での暴動は、他の地域と比較して反ブルジョア思想を背景とした都市暴動の性格を持っており暴動参加者の多くは若年層の男性だった。こうした「値下げを強要すれば安く米が手に入る」という実績は瞬く間に市から市へと広がり8月17日頃からは都市部から町や農村へ、そして8月20日までにほぼ全国へ波及。


 米騒動での刑事処分者は8,185人に及び、被差別部落からはそのうちの1割を超える処分者が出た。1割は人口比率に対して格別に多かった。部落の多い京都府、大阪府、兵庫県、奈良県では3、4割が被差別部落民であり女性の検挙者35人のうち34人が部落民。これは被差別部落民が米商の投機買いによる最大の被害者層であったためだ。


 京都市の米騒動も市内最大の部落である柳原から始まっており同地区では50人以上の部落民が逮捕された。処分は死刑をも含む重いものであった。死刑判決を受けた現・橋本市の2人の男性、すなわち中西岩四郎「当時19歳」ならびに同村の堂浦岩松「当時45歳」も被差別部落民であった。1920年、事態を重く見た原内閣は部落改善費5万円を計上し部落改善のための最初の国庫支出を行った。*この情報は、当時の新聞から抜粋し記載しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ