5話:泉田誠一の夢
一方、泉田誠一は、株投資で、2008年10月28日に村田製作所を
2700円で2千株を540万円で買い残金が54万円となった。この頃には
、社会福祉法人の大病院に勤めて5年が経ち、病院内のスタッフ屋、診療医に
信頼される一人前の臨床放射線技師になった。そして、ハイテク医療機器も
増えて、CTスキャンという、コンピューターで計算して、断層画像を撮る
機械が使われ始めて、医療機械のハイテク化が、進んだ。
さらに、今迄の機械は、全て、X線、ガンマ線と言った放射線を使ったもので
、放射線被爆の問題がついてまわった。しかし、この時期、一般病院でも利用
され始めたMRI「磁気共鳴画像診断」という、放射線でなく、磁力を使い
画像診断する装置が、被爆の問題もなく、広く使われるようになった。
もちろん、CTの代わりになるものではなく、一部の診断を代替えできる
位だった。しかし、CTよりも優れた所も見つけられるようになると、一気に
普及した。詳細は長く、なり、また、難しいので省略するが、両方の共通点
としては、早期の価格が億単位でとても高く、放射線、磁力の遮蔽のために
設備費用も高い点だった。
そのために、首都圏や大都市圏では、この診断を受けられるが、それ以外の
地域では、簡単に受けられないという欠点があった。そこで、この社会福祉法人
のドクターや一部の有志で、病院と独立した形の高度診断だけを専門に
おこなう高度臨床検査センターを造れないかと言う話が、最近で始めた。
その中の事務のメンバー、佐藤重幸さんの試算では、最近の企業融資のニーズ
が落ちているので、銀行から低利で融資を受けて、返済する方法も可能ではないか
と、仲間内で話題になった。泉田誠一は、この話に、興味があり、金ができたら
、加わりたいと考えていた。そして、2009年となり、2009年4月の
高度臨床検査センター設置委員会のメンバーに、放射線科の鈴木秀一先生に
推薦をもらい、仲間入りして、会合に参加した。
その時の会合で、佐藤重幸さんが、日本の大手MB銀行の融資部の人達から
、高度臨床検査センター設置委員会の話を聞きたいと連絡があり、会合に
に呼ばれた。最初に、融資金額は、どの位かと聞かれ、1台中古でも1億円、
放射線、磁気の遮蔽などを入れると、1施設3億円はかかると言われ、収入は、
と聞かれ、1件当たり5千円から3万円、平均2万円弱、事務員、ドクターの
費用を抜くと、外来数30~50人として、大ざっぱに40万円、もちろん、
9-17時の話だといい、3交代制、24時間制にすれば120万円というと
、30日で3600万円、1年で4億円、もし、それが本当なら、是非、
融資したいと言ったようだ。
しかし、会社を立ち上げるには、最低資本金1億円、10人なら1千万円ずつ
必要だと言うと、ため息が出た。それでも、高度臨床検査センター設置委員会の
メンバーは、徐々に増えていき、医者、医療事務、看護婦、放射線技師、
臨床検査技師、MR、医療機械屋、薬剤師の職種もいろいろだった。
2009年10月の地元の新聞に載り、この話題が取り上げられ、60歳を
超えた薬剤師、病院事務、医者、銀行のOBなども参加してきて、総勢28人
となり、募金を募って、1億円を超えたら、高度臨床検査センターの開業場所
など、具体的な行動を取ろうと、事務の中心メンバー、佐藤重幸さんは考えていた。