第三話【0001:探索者】IIIII
「それも毎回、言ってる」
「グオぉ!?」
だが見せかけの拮抗は一瞬で崩壊した。
結城は蹴りの為に高々と上げていた双五の脚を捻り回すと、
「で」
「ギャん!」
体制を崩した双五の横腹を思いきり踏みつけにした。
「毎回こうやって、転ばされてる。ちゃんと考えて戦わないから地面を舐める事になる。分かった?」
「は、はは……ま、ここまでは確かにさっきと同じですねぇ。って事は?」
[さっきと同じ]……つまり、ストライキを暴力で鎮めようとして失敗した時と同じであれば、
「くっ! そっ! が……! ああ、もう!」
結城は今まさに起きている、双五を相手にしている隙を突いた隊員達の連続ヒットアンドアウェイ戦法を前に撤退を強いられる。
だが今の結城は同じ手を喰らわない。
(また来た……)「このっ……!」「アッ」「私の」「やっぱり、か……」「部」「うおっ」「下」「あぁー……」「なら」
「学びな、さいっ!」
「「「「「どわーっ!」」」」」
二度目の突撃は叶わなかった。
「まさか、全く同じ戦法が通じるとは……君の部下、なかなかお利口さんが多くて助かるよ」
昨晩の結城が率いた時と同様に、結城の足元に潜んでいたコタローがコピー品の聖体をすべて破壊したのだ。
「これでマトモに戦えるのはあなただけになったけど、まだやる?」
散りぢりに逃げていく隊員達を脇目に、足の下の双五を結城は見下す。
「ここに来る前は私だけじゃなくサツキとコタローも捕まえるって言ってたみたいだけど、結局このザマだと笑い話にもならないね。」
「ヘ、ヘヘッ……やっぱ傍受してたんですね」
「そんな事も想定できなかったあなた達の方が悪いと思うけど。で、どうするの? まだやる?」
「当たり前、ですよォ? ……何でそのガキとつるんでるのかも含めて、キッチリ落とし前つけてもらいますから、ねェ!」
「うっ!」
僅かな力のベクトルのズレを利用して、双五は結城の拘束から抜けると、再び間合いを取り直す。
「ソイツ! ……最重要捕獲対象ですよ? なぁーに仲良くなってんですか?」
「一時的な共闘に過ぎないんだけど。あなた達のバカなお遊びを終わらせる為に、仕方なくそうさせてもらってるだけ」
「って事は、何すか? 俺等シバき終わったらみすみす逃がすと?」
「ええ。フェアじゃないから」
「……やーっぱり俺、アンタが気に食わないです」
「私はあなた達の方が気に食わない。変なところで割り切れないクセに、そんな卑怯な考えを平気で持つあなた達が。だから私が力で言うことを聞かせないといけないの。分かる? まあ、分かってたら毎回こんな事にもならないか……」
二人の会話は平行線のまま、交わる様子もない。
これ以上の会話は無意味。
それは、ここにいるコタローや少し離れたところに潜んでいるサツキよりも、結城と双五の二人が一番分かり合っている事だった。
「兎に角、無駄な抵抗はやめて私に膝をついて許しを乞いなさい。いつまでもこんな事を続けるのは時間の無駄だから」
冷めた口調で言い放つ結城だったが、
何故か双五は不意に、下卑た笑みを浮かべた。
「それは……どうでしょうねェ!」
「何っ!? ぐあっ!」
直後、轟音と共に砂が一気に巻き上がった。
「結城ちゃん!」
慌ててサツキが駆け寄る。
その一瞬で、結城は状況を整理する。
(コレは……タダの爆弾? さっきみんなが退いた時に仕掛けたのか。でも何故……こんな爆弾だと私の身体には傷一つ付かないことくらい、みんな分かってるハズなのに……そうか、しまった!)
「来るな! 狙いは私じゃない!」
「えっ?」
「もう遅い!」
舞い上がった砂が晴れ、二人は目の前の事態を認識する。




