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非日常を撃ち抜く銀の弾丸  作者: あらもーど
1/1

プロローグ:日常を忘れるため

『  日常という言葉がある。

   それは普段おきている、認識している事の総称とも言える。

   例えば都会の喧騒。多くの人間が一つの場所に集まれば騒がしくなり、

   密度が高まり気温は上昇する。

   生きていればわかる、当たり前のことだろう。

   もっと簡単な例を出すならば…そうだね、「物は下に落ちる」という

   のはわかりやすいか。

   人間は重力の働きをいつの間にか理解し、物は下に落ちていくのだと

   理解する。そんなことは論ずるまでもなく当たり前だろう?

   そう、当たり前の事なのだ。

   我々はそういった共通認識、日常の中生きている。


   そして我々はその日常から逃げたがる。


   とあるホテルでは部屋にTVがないという。携帯もフロントで預かる。

   理由は「現実から離れてもらうため」だ。

   都会の喧噪、仕事や家業、日常で感じている事は一切遮断する事で、

   より上質な癒しを感じてもらうためだ。

   また無重力体験など、日常ならば感じる事が出来ないような感覚に、

   我々は感動を覚える。


   人間は日常を捨て、「非日常」を求める。

   理由は簡単だ。日常に飽き、辛さを感じ、疲れ、逃げるためだ。


   しかし「非日常」的な感覚、力を目にした人間はそれを日常的なことと

   認識しようとする。

   手品を見た事があるだろう。最初は非現実的な力を見て感動と興奮を

   覚えるが、すぐにタネを考え、仕掛けを知りたがる。せっかく見つけた

   非現実的な現象を、人間はすぐに日常の範疇に入れようとする。

   そうしてまた現実へと戻る。


   一生続く非日常などこの世には存在しないのだ。


   もし、今の科学で証明できない非日常ができれば、どうなってしまうの

   だろう。


   それは… 』


 キーンコーンカーンコーン


「おや、授業が終わってしまった。無駄話をし過ぎたね。今日はこれくらいにしよう。えー次回は今日の続きを…」




  自分が嫌いだった。

  勉強は出来ないし、運動もダメ。何の取り柄もない。

  特技記入欄は未だに『特になし』。

  親に無理矢理行かされた大学も最近はサボり気味。

  特に趣味もなく休日も何かに追われるよう過ごす。

  将来の夢も否定され、どこに向かって行けばいいのかわからずに

  日常を生きる。

  

  もう疲れた。

  生きなきゃダメなの?どうしたらいいのかもをわからないのに。

  そんな言い訳を繰り返した。


  気がつけばカンカンという音がする。

  いつの間にか階段を上がっていたようだ。

  見覚えのある景色が目の前に広がる。見てきた中で一番好きな景色だ。


  ああ、この場所でなら…


  柵に手をかける。


  もしまた生き返れるなら、非日常がずっと続く、日常を忘れられる


  そんな人生を送りたい


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