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9.森の騒動


エルフの森で歓迎を受けた俺達は。


「おい!東の森に人員が足りないぞ!」


族長の案内のもと。


「西の森からはリュリ様がもうすぐ戻られる、交代員は準備しろ!」


里を見て回る。


「まだ、見つからないのか!?」


うん、回ってられないな。


「改めて、ようこそエルフの森へ、族長のリュカと申します」


「あ、ああ、よろしく、工藤 明だ」


とりあえず順番に挨拶をするがその間も周りの喧騒は止まない。


「では、立ち話もなんですから」


と、リュカ族長が案内を再開しようとしたところで。


「あ、あのー、私は案内を終えたのでお暇しますね?」


「おや、お帰りですか?よろしければお茶でも」


「いえ、本当に結構です」


ミリテは心の底から遠慮している、実際俺達も早く帰りたい。


「なら、ミリテさん、うちのメイドを送りにつけるよ」


「よろしいのですか?」


「ああ、歩いて戻れる距離じゃないしな、ここまで連れてきてくれたお礼だ、リュカ族長、ナガタマ?を一つ貰えるか?」


「ええ、どうぞどうぞ」


リュカ族長にナガタマを一つ貰い、クロエにミリテさんを送るように頼む、念のためクロエに人魚は食べるか確認したら、若干引いていたので安心だ。


「さて、では、皆様はこちらへ………」


「いや、俺達も長居する気はない、聖魔剣を受け取ったら直ぐにお暇する」


「いえいえ、そんな、おもてなしもしないなんて一族の恥になります」


「いや、その一族の大事に居るべきじゃないだろ?」


「はっはっは、皆歓迎に沸き立ってるだけですよ」


「急げ!遅れるな!」


「我々の名誉のために!」


いやいや、そんな雰囲気じゃないよね?


「えっと、リュカ様?この騒ぎは何事でしょう?」


とうとうエレナ姫が耐えきれず聞く。


「騒ぎ?はて、何の事でしょう?」


「…………」


まさかとぼけに出るとは。


「リュカ族長ちょっと待っててもらっていいか?」


「ええ、構いませんよ?」


少し離れた所で話し合う。


「どう思う?」


「どうもこうも、怪しすぎでしょ?」


「そうですね、原因は何なんでしょうか」


「………」


「どうした司?なんかあるのか?」


「あ、うん、ちょっとね」


「司、話した方がいいのでは?」


「なんだ?敦も何かあるのか?」


司と敦には何か思い当たる事があるらしい。


「明、少しリュカさんと話してみていいかい?」


「ん?良いけど?」


と言うことで、司に着いていく。


「リュカさん、聞きたいことが有ります」


「はい、何でしょう?」


「ここに、僕達の知り合いが居るはずなんですが、ご存知ありませんか?」


「はて、存じ上げませんね」


あー、なるほど、見えてきたぞ、剣を見せたくなくて、日野の所在を知られたくない、この二つから導かれるのは。


「盗まれたな?」


「…………」


「図星か」


沈黙こそ答えってか?


「え、ええ!?盗まれた?日野が盗んだってこと?」


「たぶんな」


「でも日野君もそこまでするかな?」


疑う澪の肩を掴む。


「澪、よく考えてみろ、あの、日野だぞ?あのろくでなしの日野だぞ?」


「う、うん」


「俺の目を見て、日野が盗むか盗まないか、考えてみてくれ」


「そ、そうだね、日野君だもん、そうゆう事したかもしれないね」


「なんか、澪って洗脳されてる気がするのあたしだけ?」


気のせいだよ。


「まぁ、日野の人間性云々は措いといて、実際どうなんだリュカ族長?」


「それは…………」


「お父様!」


リュカ族長が何かを言いかけた時、遠くから女の子が跳んできた、比喩ではなく、木の枝を足場に跳躍してきたのだ、何この子忍者?それともエルフってみんなこんなことできるの?


「おぉ、リュリ、今客人の………ぐぼっ」


エルフの女の子は勢いそのままに、リュカ族長の腹に膝蹴りをかました。


「お父様!こんなところで油を売って何をしているんですか!」


「い、今、きゃくじ……」


「一族の名誉がかかっているんですよ!?」


「わ、分かって」


「いいえ、お父様は分かっていません、聖魔剣をよりによってあんな奴に盗まれるなんて!」


はい、娘さんから自白貰いました。


「あのー?ちょっと良いかな?」


「何ですか!?今、忙しい……」


俺達を見て固まる娘さん。


「その聖魔剣を取りに来た者だけど?」


「…………」


「詳しく聞いて良いかな?」


喧騒の中そこだけ時が止まった様な静寂が訪れる、そしてリュカ族長がゆっくり語り出す。


「致し方ありません、全てお話ししましょう……」


そこからリュカ族長は日野が来てからの事を語り出した、が、ここでは割愛させてもらう、話してくれたのはいいが、来てから自分は勇者で特別なんだと威張り散らしたり、聖魔剣が資格有るものしか触ってわいけないと知ったら自分に寄越せと言ったり、終いには娘さんに愛人(奴隷)になれと迫ったり、概ねバカの考えそうな事を見事にやってくれた話だ。


「で、追い出そうとしたら、聖魔剣を奪って逃げられたと?」


「お恥ずかしい限りです」


「あの者はわたしやお母様の体を穢らわしい目で見て………」


「何でもっと早く追い出さなかったんだ?」


「………聖魔剣使い様のご学友と聞いていたので」


「ふむ、一つ訂正しよう、友ではない」


瞬間再び時が止まる、エルフ親子。


「あ、あの者を即刻見つけ打ち首にせよ!これは族長命令である!!」


大きな声でそれこそ里中に響くのではという声で命令を出す、あー、そうとう貯まってたね、一方娘さんは。


「ああ、ああ、やっと奴を葬れる……」


歓喜に震えていた、こちらもそうとうだなぁ、親子それぞれの反応を見ていると、一人の兵士らしきエルフがこちらに走ってくる、あ、忍者的な跳躍娘さんはだけらしい、良かった。


「報告!北の森にてリュエ様が標的と交戦中!至急応援を………」


兵士の報告の途中、族長親子は飛び出していった、え?なに?エルフってこんなに喧嘩っ早いの?


「明くん、どうする?」


「んー、関係ない話じゃないし、俺達も行く?」


正直めんどくさいが


「そうだ、ね?」


「う、うん、いいんじゃ、ない?」


「う、うむ?」


「そ、そうですよ、ね?」


「えー?めんどくさいよぉ、日野だしぃ」


上から澪、司、敦、エレナ姫、鈴の反応、こんなとき鈴の素直さが羨ましい。


「はぁ、行くか」


報告?に来た兵士に場所を聞きとりあえず向かう事に、願わくば俺達が着く頃には終わっている事。


み「はぁ、今日も明くん、カッコ良かったなぁ」


す「うん、かっこいい要素何処にもなかったよ?やっぱり洗脳されてるんじゃない?」


ナ〈魔剣の中にそういった物が………〉


す「あるの!?」


ナ〈いえ、ありません〉


す「…………」


ナ〈では、また次回!〉

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