幕間.会議後の女王達
明達が旧魔王城前でピクニックをしている頃、ベアトリス城では三国の王による話し合いがなされていた。
「では次に貿易についてですが」
「帝国としては法国ともぜひ貿易ルートを作りたい」
「法国としても歓迎します、ですが問題はどうインフラを整備するかです」
「やはり王国を通るしかないのでは?」
「では王国は関税を下げましょう」
「いえ、お待ちください、それですと腐りやすい食物が輸出入されずらくなります、ここは新しい貿易ルートを………」
三国の話し合いはとても真剣に行われていった。
「ふぅ、急場の案件は以上で宜しいでしょうか?」
「うむ、大体は方がついたな」
「こんな機会めったに無いでしょうから、とても有意義でした」
「ところで、お二人はまだベアトリスにご滞在で?」
「あぁ、勇者をもう少し訓練しておかないと連れていっても役に立たないからな」
「そうですね」
「御二人共、国は大丈夫なのですか?」
「……あぁ、明のお陰でな」
「ダイア陛下もですか?実はルクレアもなんです、残念ながら」
「……御二人も大変なんですね」
「あぁいや、ミレナ女王程ではないよ」
「そうですね、工藤さんがいつ何をするかわからないと言うのは、心落ち着く暇が無いでしょうから」
「えぇ、そうなんです、召喚した責任がありますから、やった事に対して知らぬ存ぜぬとはいかないんです、それを知ってか知らずか工藤様は……」
「待てミレナ女王、何処に御付きのメイドが居るかわからない、不用意な発言は危険だ」
ダイア皇帝の言葉にミレナ女王は、ハッ!となり慌てて周りを確認する、ダイア皇帝とクリスティア法王も辺りの気配を探るように息を飲む。
「どうやら大丈夫そうだな」
三人揃ってホッと息を吐く。
「気になっていたんだが、明のメイド達はいったい何者なんだ?」
「実は元は王国所属の隠密だったのです、何をどう間違ったのか工藤様を信仰し出して………」
「……何て言うか、大変なんですね」
「えぇ、それはもう」
悲壮感漂うミレナ女王をクリスティア法王が慰める。
そんなやり取りをしていると、扉をノックして入ってくる人物が一人。
「失礼致します」
「ん?エレナ嬢ちゃんじゃないか」
「どうしましたエレナ?」
「はい、実は工藤様からお願いをされまして」
「……今度は何ですか?」
「食料を少し送って貰いたいそうです、何でも近くに食糧難の村が有るそうで」
「……それだけですか?」
「はい、お母様」
「そ、そうですか、良かったです、私はてっきりまたむちゃを言い出すのかと」
はぁ、と息を吐くミレナ女王を娘であるエレナ姫が苦笑いしながら見る、そこにダイア皇帝が手をあげる。
「エレナ嬢ちゃん良ければ帝国が懇意にしている商会に食料を融通させよう、もちろん代金は帝国持ちで」
「よろしいのですか?」
「あぁ、その代わり、その、借金をできれば……」
「畏まりました、工藤様に進言しておきます」
「た、頼んだ」
「ルクレアからも砦の備蓄を少し出しましょう」
「ありがとうございます、クリスティア猊下、では私はこれで工藤様がお待ちですから失礼します」
エレナ姫が部屋を出ると、ミレナ女王が改めて息を吐く。
「はぁ、工藤様の名前は心臓に悪いです」
「これで何とか借金が無くならないかな」
「ダイア陛下、恐らく無理かと」
「そうですね、工藤様ですから」
『はぁ』
会議室には女王三人のため息の音が響くのだった。




