5.会議後半とこれからについて
「それでは、それぞれの現状を踏まえてこれからについて話し合いを始めたいと思います」
クロエの司会の下会議は続く。
「まず魔王について解っていることから、現在明様のご活躍により四人の魔王を討ち果たすことができました」
「残っているのは三人か、残りの魔王について解っている事は?」
「えっと、三人の内一人はエルフの国にいるんだよね?」
「日野と一緒にね」
唯一居場所を知る魔王が一番行きたくないって、どうなんだろう?
「他二人の居場所は?」
『………』
「誰も知らないと」
うーん参ったな、結局エンカウント待ち?
「あー、どこかに魔王城とかないかなぁ」
「鈴、いくらなんでもそれは無理があるよ」
「そうだな司の言う通り、そもそも有ったら真っ先に……」
「ありますよ?魔王城」
「あるのかよ!」
思わずミレナ女王にツッコミを入れる、えー有るの?魔王城
「正確には旧魔王城だがな」
「旧?」
「はい、今は使われていない遥か昔の魔王の城です」
「遥か昔の?なら俺達の前の勇者が倒した魔王の城か、そう言えばそこら辺の話も詳しく聞いてなかったな」
「我々が知っている範囲であればお話できますが?」
「頼む」
「では、今からおよそ五百年前、ある悪魔が強大な力を振るい魔王と名乗りました」
ほう、魔王の起源は悪魔か。
「魔王は魔物を率いて人々の生活を脅かす存在になりました、太刀打ちの出来なかった人々は、ある日女神から勇者を召喚する力を授かりました」
「女神?俺達をこの世界に連れてきた奴か?」
「うーん、どうだろう?」
「僕達を連れてきた神様は、男にも女にも見えたけど」
「性別は不明か」
まぁ、神ってあやふやなものだしね、できれば女神に会いたいものだ。
「続けます、召喚された勇者は仲間と共に旅をして、とうとう魔王を討ち果たすことができました、その後勇者は元の世界に帰らず、この世界で魔物から人々を守るため残ったと伝えられています」
「それが冒険者の始まりだっけか」
「その後、魔王城には強力な魔物が住み着き今では誰も近づけません」
「なるほどね、じゃあそこを根城にしていても分からないと?」
「そうです」
「一度調べるべきだな、他に情報もないし」
「では、急ぎ探索隊の編成を……」
「いや、俺が行こう」
「工藤様が?」
「あぁ、その代わりエルフの国への行き方と、魔宝石について詳しく調べてくれ、なぜ魔王が求めるのか」
「畏まりました」
「魔宝石についてはルクレア法国でも調べてみます」
「なら、ガレオン帝国では歴史についてもっと詳しく調べてみよう、まだ隠された事が有るかもしれん」
今後の方針についてはそんな感じか、あとは……
「提案なんだが、各国に勇者を送るのはどうだろうか?」
「各国にですか?」
「正直、アタシの所は要らないんだがな」
「もちろんまともな奴だけだ、それはこっちで面接なりして決める」
「そうですか、なら、ルクレアは問題ありません」
「……その面接にアタシも参加出来るならガレオンも問題無い」
「決まりだな」
「明がそんな提案するなんて珍しいわね」
「正直俺達だけで三国を守るのは無理がある、なら、案山子にでも使った方が良いだろう」
案山子くらいにはなると思う、なるといいなぁ。腐っても勇者だからな、大丈夫だとは思うが。
「面接に落ちた人はどうなるの?」
「それはこれから話し合いで決めようと思う」
「こちらは構いませんが、工藤様彼らが従いますか?」
「従わせる、今まで城でぐうたらしてたんだ、文句は言わせない」
それに最初の頃笑い物にされたツケを払ってもらわないとな。クックックッ………
「明くん、笑顔が怖いよ?」
「こりゃまたなんかやるわね」
「ミレナ女王、あんたも大変だな」
「ガレオンかルクレアが変わって頂いても良いですよ?」
「……遠慮しておきます」
こうして、三国会議は幕を閉じた。
会議の翌日、さっそく勇者の面接をする、と言っても大体は目星をつけているので信頼できる数人をリーダーにして、班分けをする、班はガレオン帝国班、ルクレア法国班、それ以外の三班だ。
「と、言うわけでまずは最も信頼の厚い委員長に来てもらった訳だが」
「はぁ、工藤君前から言ってるけど、その呼び方誤解されるからやめて」
委員長というのはニックネームだが、何故かと言うと見た目が三つ編みにメガネと、如何にも委員長に選ばれそうな感じだから。
「まぁ、実際に委員長の仕事をしてたし、今や自他ともに認める委員長だし」
「自分では認めてないわよ、まぁ、うちのクラス委員長があれだからしょうがないんだけど」
そう、クラス委員長は日野だ、目立ちたい人の上に居たいだけのしょうもない奴。
「それで工藤君、面接?って聞いたけど何の?」
「あぁ、実は………」
委員長に簡単に事の説明をする。
「なるほど他の国へ、わたしは構わないけど」
「じゃあ、委員長は決定で」
「……面接じゃないの?」
「委員長は元々平気だと思ってたから、委員長だし」
「わたしそんなに強くないわよ?」
「力より性格重視なんで」
「そう、まぁそうよね」
日野をちゃんと見ていると納得が早くていいな。
「という訳で、委員長にはガレオンに行って貰おうと思うが、どうだろうダイア皇帝?」
「ふむ、悪くはなさそうだな」
「委員長なら調べ事もちゃんとやってくれそうだしね」
「調べ事?」
「この世界の歴史について」
「……ちょっと楽しそうね」
「じゃ決定、説明は別室でエレナ姫がやるから」
「わかったわ」
委員長を別室に送り、次の面接へやる事が多いのでサクサク進む。
次に呼んだのは野球部のキャプテン、二年生ながらキャプテンを勤め、チームをまとめ挙げる。
「ニックネームはそのままキャプテンだな」
「突然呼び出して何なんだ?」
「キャプテンにはルクレア法国に行って貰いたいのさ」
「あぁ、確か他の国の守りをして欲しいだっけか?でも法国って堅苦しいイメージで苦手……」
「美人のシスターが居るぞ?」
「任せてくれ!法国は俺が守るぜ!!」
このキャプテンシスター萌えという、実に珍しい性癖を持つ。
「あの、工藤さんこの方大丈夫なんですか?」
「平気だハートは熱いが、女性には奥手という残念使用だからな」
「なんて言う不憫な……」
さて、それぞれの国へ行くリーダーも決まったし、後はそれなりなのをピックアップするだけだな。
す「やっとあたし達以外の勇者が出てきたわね」
み「うん、名前も紹介され無かったけどね」
ナ〈彼らの出番はこれで終わりです〉
委・キャ『ちょっ、待っ』
ナ〈では、また次回〉




