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10.ルクレア法国でのあれこれ

ゴーストとの一件後、宿屋に戻り鈴を寝かせる。


「じゃあ後は頼んだぞ、敦」


「な!?いや、普通澪かエレナさんじゃないのか!?」


「………」


「いや、だから」


「………」


「わ、わかった」


無言の圧力って時には拳より強くなるよね。



鈴を敦に任せ残りのメンバーは宿の食堂に来ていた。


「なんとかなったな」


「はい、魔王も四人目を撃退する事ができました」


「今回のは撃退と言っていいのかわからんがな」


「でも新しい問題も出てきたね」


「エルフの国か…」


「確かエルフの国は人が近付けないって話だったよね」


「はい、幻想の森により人がたどり着く事はできません」


「ふむ、エルフの知り合いでもいれば良いけどな」


「聞いたことありませんね」


「まぁその辺は今考えても仕方ないが、やはり一国だけの知識だと限界があるな」


「と、言うと?」


「ベアトリス女王国、ガレオン帝国、ルクレア法国、それぞれの情報交換の場が必要だと言う事だ」


「なるほど、三ヵ国会議だね」


「お、いいね、司それ採用!」


「え?」


「いや~そっちの方が手早そうでいいわ」


「……司様」


「ひょっとして僕余計な事言ったかな?」


「うん、たぶん」


と、話をしているとクロエ達が帰って来た、もうだいぶ日が傾いているからな。


「明様、御無事で何よりです」


「あぁ、そっちもご苦労様」


「もったいない御言葉です、ところで一つよろしいですか?」


「ん?鈴と敦なら部屋でお楽しみだ」


「明くん!」


「うらやましい限りですがそうではなく、その……」


軽いジョークに澪が怒り、クロエは素直な感想を述べる、が、どうにも端切れが悪い、なんだ?


「非常に言いにくいのですが、カトリア王女は?」


「……誰だっけ?それ」


「あ、あぁああ!!」


どうやら、エレナ姫も思い出したらしい、叫び声を上げた、見れば澪と司もやってしまったと言う顔をしている。


「カトリア様の安否は確認していないのですね」


「す、直ぐに助けに!」


「まぁまぁ落ち着けエレナ姫、日がもう沈んでいるんだ今から行くのは得策じゃない」


「で、でも!」


「いいから落ち着け、今から確認するから」


「確認?」


と、言うわけでナビさん?


〈ハイ、カトリア王女の所在ですね?〉


あぁ、現在どこにいる?


〈大聖堂の地下に囚われて居るようです〉


地下?


〈ハイ、正確には地下牢です〉


なるほど、状態は?


〈特に外傷などは無いと思われます〉


ふむ、ふむ、なら急ぐ必要はないか。


〈いえ、お急ぎ頂いた方がよろしいかと〉


それは、何故?地下牢なら安全じゃない?魔王はもう居ないんだし。


〈現在カトリア王女及びクリスティア女王は囚われている状態です〉


うん?


〈身動きの取れたいように拘束されています〉


うん、うん?


〈その状態で既に数時間経っています〉


まさか?


〈ハイ、まさかです〉


あ~その場合俺や司は行かない方がいいのでは?


〈そうもいきません、地下へ続く階段には強力なゴーレムが配置されています〉


何でまたそんな面倒なことを……


〈魔王・ゴーストが『囚われの姫を守るのは強力なゴーレムじゃなきゃ!』と拘った結果です〉


そういえば中二病だったけ、本人は否定してた気がするけど、仕方ない行くか。


「く、工藤様?」


「わりと急を要する状態のようなので急いで行くことにします」


「急ぎましょう!」


「その前に、クロエ替えの服を二人分用意してくれ」


「畏まりました女性の物でよろしいですね?」


「あぁ」


「一体何があるんですか?」


「とてもじゃないが俺の口からは……」


とにかく準備を急ぐ。



再びやって来た大聖堂、今回は鈴と敦、司も残るそうなので置いてきた。

メイドはクロエ以外が宿と馬車の警備に残っている。


「さて、手早く済ませようか」


迷うことなく地下に向かう。


「地下ですか?」


「あぁ、地下牢に居るらしい、その途中にはゴーレムがいる」


「ゴーレム……カトリアは無事何ですか?」


「………」


「く、工藤様!?」


「無事だと信じたい……」


「い、急ぎましょう!」


しばらく進みやがてゴーレムの待ち構える通路に出る。


「あれがゴーレムか」


「強そうですね」


「でも動きませんね?」


「うーん、ひょっとして動けないんじゃないかな?」


「いやいや、動けない分けないだろ」


〈どうやら、動けないようです〉


何で!?


〈魔王・ゴーストが作るだけ作って満足した結果かと……〉


あの魔王本格的にアホの子だったみたいだ。


「動けないらしいからとっとと片付けよう」


聖剣・デュアルホーンを取り出し、サクッと片付ける。


ゴーレムの瓦礫をどかして先にある牢屋へ向かう。


「どうやらここにカトリア王女とクリスティア女王がいるらしい」


扉に手をかけるがそこで迷ってしまう。


「どうしたのですか、工藤様早く開けてください」


「いいか、これからどんな酷い惨状でも希望を忘れちゃいけない」


「………はい、きっとどんな困難でも私は諦めません!」


「よし、開けるぞ!」


扉を開け中に入ると、予想していた通り酷い惨状だった。


「うぅ………」


「カ、カティ!」


「あちらにはクリスティア様も!」


「す、直ぐに助けましょう!」


率直に言うと、二人とも汚れていた、主に下半身が。


トイレが我慢できなくなり漏らしてしまったらしい。


「これは酷い」


「工藤様!一度部屋を出てください!」


「いや、既に手遅れだろう」


「それでもです!」


「わかった、わかった」


ため息をつきながら一端部屋の外で待機する。


待つ事数分、処理が終わったようなので中に入る。


「どうやら無事のようだな」


「明くん、乙女にとってあの状態は無事とは言えないと思うな」


「………下半身以外無事のようだな」


「わざわざ言い直さなくっても……」


「うぅ…もうお嫁に行けません」


「カティ、大丈夫です、あの方は人間ではありませんから」


「おい」


「と、とにかく今はゆっくり休みましょう」


「その方が良さそうだな、特に女王はいまだに放心状態だからな」


「………」


こりゃ重症だ、大丈夫なのか?


一先ず二人を自室まで連れていく、なんでも大聖堂に住む所があるらしい、さすが聖女様。



翌朝、エレナ姫がうるさいので大聖堂に向かう事に。


「鈴はもう大丈夫?」


「うん!もう平気だよ!」


「結局昨日は何もなかったんだね?」


「ちっ、ヘタレが」


「………すまん」


敦は何もせずに、俺達が帰って来たあと二人きりなのに"何もせず"談笑していた。


「鈴は大丈夫か?」


「うん?もう大丈夫だよ、珍しいね明が心配してくるなんて」


「いや、体重が大丈夫かと……」


「……言わないで」


鈴はゴーストに操られていた時の事を朧気ながら覚えているらしく、自分が爆食い、ドカ食いしていた事にダメージを受けている、横腹が気になるのかしきりにチェックしている。


「まぁあれだ、元気だせ」


「うん、強く生きるよ」


「よし、今日はご馳走だ!」


「ねぇ、殴っていいかな?いいよね?許されるよね?」


負のオーラを撒き散らす鈴は置いといて、大聖堂に向かう。


「女王様達はもう立ち直ったかな?」


「無理じゃないか、あれほどの精神的ダメージだったから……」


「うぅ…カティが心配です急ぎましょう!」


エレナ姫に急かされ大聖堂へ。



大聖堂に着くと昨日とは違い聖騎士が警備していた。


「そこの者達止まれ!ここは大聖堂、何用か?」


「私はベアトリス女王国第一王女エレナです、カトリア王女に取り次ぎをお願いします」


「おぉ、これは失礼しました、話はお聞きしていますどうぞ中へ」


さすが王女こう言う時だけ役に立つ。


直ぐにカトリア王女とクリスティア女王が居る中庭に案内される。


中庭に着くと、カトリア王女とクリスティア女王が談笑しながらお茶を飲んでいた。


「あっ!エレナ来てくれたのね!」


「カ、カティ…大丈夫ですか?」


「えぇ、魔王に囚われたと言ってもひどい事はされなかったから」


「そ、そうなの?えっと、クリスティア様も大丈夫ですか?」


「はい、この度はお助け頂いてありがとうございますエレナさん」


ふむ、見た感じ大丈夫そうだけど……


「……おもらし」


「いやぁぁぁ!違うんです少し間に合わなかっただけなんです!!!」


「…淑女として…あるまじき失態…いえ、痴態ですか…ふふふ」


「工藤様!」


なるほど、頑張って記憶からなかった事にしようとしていたのか、で、ある一定のキーワードを聞くとこうなると、なかなか面白いな。



「失礼しました、少々取り乱してしまいました」


「少々?」


「少々です!」


「カティ、工藤様についてはあまり気にしない方がいいです、きりがないので」


エレナ姫が苦笑いを浮かべながらカトリア王女を宥める中、立ち直ったクリスティア女王がすっと前に出る。


「改めまして、この国の法王を勤めますクリスティアでございます、勇者様」


「悪いが俺は勇者じゃないぞ」


「え?しかし、魔王倒したのは……」


「クリスティア猊下詳しい話は私からいたします」


エレナ姫に説明役を任せる、鎖国状態だったので説明する事が必然的に多くなる。



「まぁ、そんな事があったのですね……」


「魔王・ゴーストに支配されている間に……」


「ゴーストに二人とも支配されていたのか?」


「いえ、基本的にはお姉様が支配されていました、私はお姉様を人質にとられどうする事も……」


「では、国の運営などは?」


「記憶の限りでは貿易以外は問題無く行っていたようです」


「この国を隔離する事が目的だったようだな」


「一体何のために……」


「一つは結界の維持に使っていた魔宝石だな」


「はい、朧気ですが、魔王が高純度の魔宝石を集めていました、何に使うかまでは……」


「二つ目の目的は日野だな」


「日野君?」


「あぁ、こちらも目的は不明だか日野が必要だったんだろう」


「肝心な所はわからないままだね」


「そうだな、これまたここでうねっても解決しない事ばかりだ、所で、今回魔王を倒し、この国を救った訳だがその点についてどう思う法王様?」


「感謝の言葉しか見つかりません、ですが報酬をお支払いする事は……」


建物や人的被害が無いとはいえ、結界の消失や貿易面で復興は必要なので直ぐに報酬をどうこうは難しいと、ここまでは予想通りか……


「報酬はちゃんと払って頂きたいな?」


「はい……」


「とはいえ、そちらも何かと大変だろう?何、少し手伝って貰いたい事があるだけだ」


「わたくしに出来る事でしたら、何でもお手伝いします」


「……その言葉、本当だな?」


「え?」


「あぁぁ、クリスティア猊下、工藤様にそうゆう事は……」


「な、何でしょう、わたくしは今取り返しのつかないことを?」


「お姉様、工藤さんの目が凶悪に見えるのですが……」


「また、何か企んでいるわね」


「まぁ、今日の所はまだ用はないので、これで失礼しようか」


「あ!では、工藤様、私はもう少し残ります、これからのベアトリスとの貿易について話合いたいので」


「そうか、なら俺達は観光でもするか」


「賛成!美味しい物食べたい!」


「………」


「え?どうしたの、皆?」


「鈴は控えた方がいいと思うよ?」


「太るぞリアルで」


「うぅ、そうだった……」


鈴に釘を刺しつつ大聖堂を後にする、今の所は……



み「法王様も王女様も無事で良かったね」


す「うーん、無事じゃないような……てゆーか今までで一番ひどい様な……」


ナ〈この世界の王族は、酷い目に遭うのが通例です、特に女王、では、また次回!〉

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