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1.狂信者ってこうやって出来るんだ

ガレオン帝国との国境まで、馬車で三日間の道中、無駄に豪華な馬車に揺られる。


「ねぇねぇ、やっぱり何かおかしくない?」


「うん、王族のエレナちゃんを差し置いて、私達の馬車がこんななのは、変だよ」


「それに、気になるのは、エレナ姫達の疲れきった顔だね」


「あぁ、それにそれだけじゃない、クロエさんの、明を見る目が異常だった」


と、全員の意見が出そろった所で、俺を見てくる。 

いや、俺も知らんよ?


「とりあえず、様子を見るしかないだろ?あと、休憩の時にでもエレナ姫に聞こう」


その後、馬車は進み休憩の地点に到着、直ぐにエレナ姫とアリシア団長を呼び出す。


「さて、一帯どういうことか、説明してもらおうか?」


「ハイ、実は……」


エレナ姫の話をまとめると昨日夜に突然、クロエが王城勤めをやめると言い出した、もちろんミレナ女王やエレナ姫が止めたが、決意は固く覆す事はできなかった。


「その時に退職理由を聞いたら、信仰に生きたいと言っていたので、てっきり教会でシスターになるのだと思っていたのですが……」


「今朝、馬車を持って城門の前に居り、工藤様御一行は、自分の馬車に乗せますと言って聞かないのです」


「ちょっと待って、あの馬車ってクロエさんの私物なの?」


「ハイ、元々クロエは私欲のためにお金を使わなかったので、給料もほとんど手付かずだったようです」


「なら、信仰って言うのは?」


「クロエは、ダークエルフと言う種族でして神に対して信仰心が篤く、それに加え、クロエは職業柄多くの死に立ち合っていたので……」


「信仰に生きると言っても、何ら不思議ではなかったと」


ここまで聞いて、俺の脳裏に一つの答えが出てきたが、認めたくない!


司達も同じ答えに辿り着いたのか、微妙な顔で俺を見てくる。


「ねえ、これって、まさか……」


「待て鈴!まだ、結論を出すのは早い!」


「いや、どう考えても…」


「とにかく、もう休憩も終わりだろう、結論は夜に出そうじゃないか」


そうだ、そんなことはない、そう自分に言い聞かせ、馬車に戻るが現実は残酷だった……


夜、夜営の準備をしたあと、夕食を摂るときクロエが作ってくれたのだが……


「どうぞ、工藤様御召し上がりください」


「あぁ、ありがとう、だが何故膝間付き、供物を捧げる見たいにしているんだ?」


「お気に為さらず、習慣みたいなものです」


気になるは!とは怖くて言えない、そして、司達には普通に配るのな?

そのあと食べようとしたら、後ろに食事を配り終えたクロエが立つ。


「何をしているんだ?クロエ」


「ハイ、工藤様に何かあった際、直ぐに対応できるようにそばに控えております、ご安心下さい」


安心できねぇ!むしろ気になるは!

そこで、とうとう、鈴がクロエに確信をつく。


「ね、ねえ、クロエさん、えっと、あの、明の事を、慕ってるの?」


なるべく、言葉を選んで聞いてみたものの、変な風になってしまった鈴の質問に対しクロエは……


「ハイ、心身を捧げる所存です」


実にストレートに答えた!


「それは、明くんが好きって事?」


こういう事には、いつもどろどろした目になる澪も今回は毛色が違うため、通常道理だ。


「いいえ、崇め奉っています!」


力強く、信仰していることを認めたクロエ。これはもうダメだ…


「えっと、なぜ、明を?」


「ハイ、わたくしは蟲人の村で助けられた時、神の光を見ました、命を救われ、鼓動が高鳴り、私はこの方こそ神の使わした使徒なのだと、確信しました!」


熱く語るクロエに、全員がドン引きである。そしてこれは、ひょっとして……


「吊り橋効果じゃない?」


「鈴さん、吊り橋効果って?」


「エレナちゃん、吊り橋効果ってね、危ない状況でのドキドキをその人の事が好きなドキドキと、勘違いしちゃう事を言うの、今回もそれに当てはまると思うな」


「な、なるほど」


女子三人の会話を聞きつつ、クロエの様子を見る、完全に陶酔仕切った顔だ。


あぁ、狂信者ってこうやって出来るんだ…


み「狂信って怖いね」


す「いや、澪も同じようなものだからね?」


み「え?」


す「ううん、何でもない、それよりいつもみたいにならないね?」


み「いつも?」


す「ほら、明くんは私だけのものって」


み「うーん、毛色が違うから?」


す「どゆうこと?」


み「えーっと、赤色と紅色の違いみたいな?」


す「うん、よくわからないので、また、次回!」

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