表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/86

幕間.表パーティー(澪視点)

「はぁ……」


何度目になるか、ため息をつく。ため息の理由は簡単、明くんが居ないから。


魔物を退けた、戦勝パーティーなのに、その立役者である、明くんは現在部屋で寝ているらしい。無理矢理連れて来ようかとも思ったが、疲れているかもしれないし、辞めておいた、だけどやっぱり……


「はぁ、つまんないな…」


「つまらなくて悪かったわね」


隣に居る鈴が、膨れっ面で言ってくる


「んー、別に~」


「気のない返事ね、明がいないだけで、こんなになるなんて」


「鈴だって、いつもみたいに、料理爆食いしてないじゃん」


「あ、あたしだって、毎日そんなに、食べる訳じゃあ…」


途中で言葉につまる鈴。


「……司くん達、大変そうだね」


「そうね、明の代わりに、女王様と挨拶してるのよね」


明くんが来なかった代わりに、司くんは今、国の偉い人達と話をしている、それに付き合い、敦くんも一緒に回っているが、二人共笑顔が硬い、その理由は緊張ではなく。


「何で、明くんの事を、伏せられなきゃいけないんだろ」


そう、あくまで今回は、勇者である私達が、活躍した話しになっている、それに対し二人だけではなく、私や鈴も不満があり、今にも爆発しそうなのである。


「国のためってやつなんじゃない?」


冷ややかな目で、会場を見る鈴が言う。

そこにエレナちゃんが近づいてくる。


「確かに、国や世界のために、勇者様の活躍は必要です、ですが、私もお母様も納得して、やっているわけではないのですよ」


「じゃ、何でこんな風になってんの?」


「世界の希望のためですかね……」


「その希望のために、明くんが誰にも正当な評価を得られないでいいと思ってるの!?」 


「そんなことありません!」


叫ぶ澪に、思わず叫び返すエレナ姫。

会場が一瞬、静まり返るが、直ぐに喧騒を取り戻す。


「ごめんなさい、大きな声を出しちゃって……」


「いえ、私の方こそ、ですがどうか信じてください、いつか必ず、工藤様には正当な栄誉を授け、世界に知らしめると約束いたします」


「うん、絶対だよ?じゃないと、二度と口聞かないからね、エレナちゃん」


「それは、嫌ですね」


「あー、うん、二人共、青春してるところ、悪いんだけど、明が黙って授けられるのを、待つと思う?」


「……」


「気づいたと思うけど、多分明なら自分で取りに行くよね?」


「た、確かに」


「何か、私達って……」


「エレナちゃん、ダメ!それを言ったら、恥ずかしくて、この場にいられなくなるから!」


「そ、そうですね!忘れましょう!」


私とエレナちゃんが、自分達の空回りぐわいに、紅くなっていると、窓の外に、キレイな水晶の雨が降っていた。


「キレ~、何かの、魔法かな?さすがファンタジー世界」


「そうですね、どこかの国の方が用意したのでしょうか?」


「明くんも、部屋で見れてたらいいな……」


「……澪さん、少なくとも、私やお母様、アリシア達は、工藤様の偉業を知っています、もしも、工藤に不利益があったら、私達が、出来る限りの事をさせていただきます、どうか信じてください、私達を」


「うん、信じてるよエレナちゃん!」


その後は、司くん達も加わり、夜は更けていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ