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1.勇者召喚

その日、日常が終わり非日常が始まった。

普通の高校の普通の教室は突然眩い光に包まれた。


目を覚ますとそこは異世界だった。


「異世界ねぇ、小説では好きで読んでだけど、

まさか自分が来ることになるとは…」


そう呟いた俺は、ゆっくり石造りの部屋を見回す。


見馴れたクラスの面々が様々な反応をしている。


理解が追い付かず顔を青くするもの、異世界に召喚された事に喜び胸を踊らせるもの、周りを気遣い声を欠ける者。


そんな状況の中、部屋の扉が開かれる。


「ようこそいらっしゃいました。勇者様方、歓迎いたしますわ。」


部屋の中に入って来たのはいかにもお姫様と言うような、白いドレスの少女、歳は同じか、少し下くらいか?


勇者という言葉にガッツポーズをするものが少しと、未だに理解が及ばない者が多数ちなみに俺は少数の方だ。


「私はこの国の王女、エレナ・ルイ・ベアトリスでございます。」


王女が自己紹介をする、この後の展開にワクワクが止まらない。


「皆様にはこれから、私の父、国王様にお会いいただきます」


き、来た~テンプレ、異世界のテンプレですね。


「ちょっ、ちょっと待って下さい、突然そんな事を言われても…」

クラスメートの一人が叫ぶ、あいつ名前何だっけ?


「説明は国王様がされます、突然の事で驚かれていると思われますが、どうかご一緒に来ていただけますか?」


エレナ姫の言葉に皆渋々付いていく事にする。


石造りの部屋を出ると、そこは、中世ヨーロッパの城の様だった。まぁ、実際に城なんて見たこと無いんだけどね。


俺は、クラスの最後尾に付いていく。ただ付いていくのも暇なので、クラスの面々について紹介しよう。


先ずは、俺。この物語の主人公。

工藤 明 (くどう あきら)

高校に通う普通の学生、中肉中背、モッサリ髪の、目立つところのない、いたって平凡な何処にでも居る高校生だ。

決して名探偵ではない。


次は、クラスの中心人物

日野 聖治 (ひの せいじ)

イケメンで女子に人気、かといって男子に不人気という訳でもない。男女供に人気のまさに中心人物だ。

とある理由で俺とは反りが会わない。敵視されるほど会わない。

自分が中心じゃないと気がすまないタイプだ。


浅野 澪 (あさの みお)

俺の幼馴染み、そして悩みの種。貧にゅ…

スレンダーな体型。

イケメンと反りが会わない理由、その一である。

大和撫子を体現した美少女、もちろん男子に大人気である。その人の良さから女子にも大変人気。

事あるごとに俺の世話をやきたがる、変わり者だ。


三嶋 鈴 (みしま すず)

俺の幼馴染みその二、これまた、男子に大人気の美少女。そしてイケメンと反りが会わない理由、その二である。

良く澪と一緒に居り、必然的に俺と一緒に居ることも多くなる。


神宮 司 (かみや つかさ)

俺の幼馴染みその三、日野と同じくらいイケメン。

文武両道、才色兼備。非の打ち所も無い、完璧人間。

唯一の欠点は自分から中心に成ろうとはしない事か?

俺達幼馴染みグループでは、中心に成るのに、何故かクラスではなろうとしない。まぁ、日野が要るしな。


中野 敦 (なかの あつし)

俺の幼馴染みその四、武道特化型のイケメン。

二年にして柔道部主将を任される、頭の方は今一な残念イケメンだ。

只、聞いた話に由ると、応援団兼ファンクラブがあるらしい。

本人は、気が散るから辞めて貰いたいそうだが、何とも贅沢な悩みである。


以上がクラスの中心人物だ、起きず気のとおり、うちの幼馴染み様達は、皆、ずば抜けている。自慢ではあるが、その中に居る普通の俺は、毎日精神力を削られる。特に澪。

他は追々紹介するとしよう、一度に紹介するのもめんどくさいし。


と、そんな事を付いていきながら考えていると、

いつの間にか隣に来ていた、澪が話し掛けてくる。


「どうしたのボーッとして、大丈夫?」


「うん?何、考え事をしていただけさ」


澪に心配させないように答える。


「考え事?あぁ、大変な事になっちゃったから…」


「そうだな、中々面白い展開だ」


「え?」


澪と話していると、割り込んで来る人物が一人。鈴だ。


「あんたこの状況で楽しめるとか、尊敬するわ」


「それは、ありがとう」


皮肉まじりに言ってくる鈴に、こちらも皮肉を交えて答える。


「まぁまぁ、落ち着きなよ鈴、この状況なら騒いだって、どうしようも無いんだから」


鈴をなだめるように、爽やかに笑いながら来るのは、司だ。この状況でその爽やかさを保てる方が尊敬に値すると思うが?


「そうだな、寧ろその精神力こそ、見習うべきかもしれんな」


と、腕を組ながら近づいて来るのは、敦だ。こちらはこちらで相変わらず、鍛練の事しか考えてない様子。


幼馴染み達がいつもと変わらないのを見て安堵する。そして、それを睨み付けてくる日野を見て、こいつも変わらずだなと、溜め息をつく。


しばらく歩き、謁見の間とやらについた様だ。エレナが皆に声を欠ける。


「それでは、これより国王様にお話しを致します、皆様は私に続いて下さい」


エレナを先頭に謁見の間に入る。

こうして俺達の異世界生活が始まるのであった。



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