ノノの決断
「ついに、ついに着いたぞ!」
「やっとね!」
「やっと着いたな、相棒!」
俺達は意外にも3日掛かると言われていた村を2日で到着した。
「ホース! あと一息だぞ」
「任してください!」
こうして、俺達はマジンの行方を知るかもしれない村へたどり着いた。
「何か騒がしくないか?」
村の入り口を通り抜けると、村人達が慌ただしい。
「私達を見て、警戒しているのかしら?」
「いや、俺達じゃない様子だな」
ビッグさんがそう答えた。
すると、奥から村長らしい人が俺達の馬車の方へと向かってきた。
「旅のお方達、私はこの村の村長です。私達の村に何かご用でしょうか?」
「あ、はい......村の人達が慌ただしい様子ですが何かあったんですか?」
俺は村長に質問をした。
すると、村長は険しい顔つきになり話してくれた。
「じ、実はこの村に住む占い師の占いによると、約50体以上のゴブリンが村の食料などを取りに攻めて来るんですよ。この村には若い住人が少なく年上が多いものであまりにも不利な状況なので、村を出る準備をしているのです」
「それは大変ですね」
この状況は絶対、俺達が村を救わないとマジンの情報が聞けない展開だろうな。
俺はそのような事を考えていると、セナは村人逹に大声で言い放った。
「安心して、皆! 私達がこれから攻めてくるゴブリンを退治してあげる!」
「ハハ! そうだな。俺達でこの村を守り通して見せましょう」
2人とも気合い満々だ。
「ほ、本当ですか?」
「はい、俺達に任して下さい」
俺はそう答えると、村長がゴブリンの討伐に役に立つ人物が居ると言い大声でこちらに呼び出した。
「おーい、ノノ! ノノは居るか!」
村長は大声で呼ぶと、奥から眼鏡をかけた女の子がやってきた。
「どうしたのおじいちゃん? 大声で私のことを呼んで?」
「おお、ノノ来てくれたか。この子は私の孫のノノです」
ノノは俺達の顔を見て、一礼した。
「可愛い......可愛すぎる!」
「えっ! 可愛い?」
おっと、生まれて初めてこんなに可愛い子に興奮し、つい言葉に出してしまった。
まぁ、隣にいるガキは論外だ。
「冒険者さん! 私の孫にセクハラのような言動はやめてもらいたい!」
「えっ、セクハラ?」
「【あ】、初めて会った子にセクハラはいけないわよ」
セナはため息をつきながら言う。
「あ、あれは! セクハラじゃない!」
誤って言葉に出してしまったことだが、村長もそれだけ孫が大好きなのだろう。
「ゴホン! ノノ、この冒険者さん達に自己紹介をしなさい」
「あ、はい! 私の名前はノノと言います。職業は上級職のハイプリーストテスをしています。よ、よろしくお願いします」
ハイプリーストテス? 初めてそんな職業聞いたな、まぁプリーストだからヒーラには違いないだろう。
にしても、この子可愛いなー。
見た感じ真面目そうだしコイツらとは違ってちゃんとした良い子に違いない。
「俺の名はビッグ、職業は上級職のガーディアンをしている。それと、これは俺の相棒だ。よろしく」
「よ、よろしくお願いします」
ノノは困った表情で挨拶を返していた。
ビッグさんの次にセナが自己紹介をした。
「私の名前はセナ、職業はあの最強の上級職! ウィザードをしているわ!」
セナが自己紹介をするとノノはニヤニヤした表情をする。
「カ、カワイイー! こんな小さな子供なのに上級職のウィザードだなんて!
「私は子供じゃない! こう見えても20よ!」
「20!? す、すみません! 私カワイイ者に目がないんです」
ノノは申し訳なさそうにセナの顔色をうかがっている。
「まあ、そう怒るなってセナ、誰が見てもお前は子供に見えるんだから」
「うるさいわね! 私も小さくてなりたくてなったわけじゃないわ!」
俺はセナの話をスルーし、気を取り直してノノに自己紹介をした。
「俺の名前は【あ】だ。職業は冒険者をしている。よろしくな」
「え? 【あ】さんですか?」
「ああ!」
俺は元気よく答えると、ノノは俺のことを可哀想な目で見つめている。
「いや、そんな目で見つめないで!」
***
俺達は村長の家を借りて、ゴブリン討伐の作戦会議をしていた。
「この村の入り口は正面と裏に1つずつあるが、じゃあ裏門はセナとノノで俺とビッグさんは正面の入り口でいいか?」
俺は作戦を提案するとビッグさんが俺の提案を否定した。
「【あ】君、申し訳ないが俺は1人で十分だ。俺には相棒がいるからな。【あ】君はレディー達の手助けを頼む」
「ビッグさん本当に1人で大丈夫ですか?」
「ああ任せな!」
ビッグさんはガッツポーズで俺に言った。
こうして俺達の作戦会議は終わり村人逹の安全のため、それぞれの家に避難してもらった。
「いつ来るのかしら......」
「そうだな、まだ来ないのかゴブリン達は」
少しぐらい緊張感持てよ......。
俺だけ緊張して物凄い手汗をかいていた。
「うう......」
ノノのことが気になり様子を見てみると、ノノも緊張した様子だった。
俺は少しでもノノに緊張をほぐすため、待っている間世間話をした。
「ノノはどうしてこの村に住んでいるんだ?」
「えっ......?」
「い、いや言い方を間違えた。ノノは上級職だから独立してもいいんじゃないかと......」
俺悪いこと聞いちゃったかな。
クスッと笑いながら「そういうことですか」とノノは言い、俺の質問に答えた。
「私のお母さんとお父さんは商人の仕事をしていたんです。ですが、お母さん達はこの村の野菜や絹などを売りにビギナータウンに行く途中、モンスターに襲われてしまいました」
そんな出来事が合ったのか......。
「その後のノノのお母さん達は無事だったの?」
「はい、無事にお母さん達は命に別状はありませんでしたが襲われた後、おじいちゃんとおばあちゃんは子供だった私を物凄く可愛がってくれました」
俺は真剣に聞いていると、ノノは笑いながら話していた。
「それで私の為におじいちゃんは頑張りすぎて、ぎっくり腰を抜かしちゃったんですよ。笑えますよね」
ノノはクスッと笑った。
「だけど、そんな頑張っているおじいちゃんとおばあちゃんの姿を見てた子供の頃の私は、そんなおじいちゃん達を少しでも癒やしてあげたいと思いヒーラになり、上級職のハイプリーストテスにまでなれたんです」
なんていい子なんだこの子は、おじいちゃんはこの子と一緒に暮らせて幸せだったろうな。
「だから私、おじいちゃんのことが心配で独立出来ないんだと思います」
ノノの話を聞いていたら俺の目に涙が出ていた。
「感動したよ、良い話しだった。これからもノノのこと応援するから頑張って!」
俺は泣きながらノノの手を掴んで言った。
「ああ......ありがとうございます」
ノノは若干引きつった顔で礼を言う。
すると......。
「キター! 【あ】達、ゴブリンのご対面よ!」
ゴブリン達はこの村に全力疾走で向かって来ている。
「皆! さっき言った作戦どうりでいくぞ、ビッグさん! 正面は任せましたよ」
「ああ!」
正面はビッグさんに任せ、俺達は裏へと向かった。
ゴブリン達は正面の入り口に近づくと半分に分かれ、正面と裏の入り口に回り攻めてきた。
「きた! 俺が足止めする、アイスグランド」
前線のゴブリン達の足が氷に覆われた。
「良くやったわ! ファイヤー」
セナは初級魔法のファイヤーで次々とゴブリン達を倒していく。
俺もセナに続き、ウッドソードでゴブリンを切り倒した。
「痛っ!」
俺の肩に一本の矢が刺さった。この矢は後衛にいるゴブリン達の矢だろう。
俺はその矢を抜き、ノノに回復魔法を求めた。
「ノノ! 回復魔法を頼む」
「は、はい! ヒール」
ノノは俺に回復魔法を唱えている途中、ノノに向かってたくさんの矢が飛んできた。
「危ない!」
セナは叫ぶと、ノノの方へ走って向かって魔法を唱えた。
「マジックバリア」
唱えるとセナの周りに結界が覆われ矢が弾け飛んだ。
「ああ......セナさんー! ありがとうございますー!」
ノノはセナに抱きつきながら言う。
「ちょ、ちょっとわかったから抱きつくのはやめてちょうだい!」
ノノはセナのことを尊敬の眼差しで見つめている。
だが、その弾け飛んだたくさんの矢が俺の方に向かって、全身に刺さる。
「......あのー、すいません俺に回復魔法をお願いします」
こうして、ノノの回復魔法で俺は回復し、戦闘に戻った。
「アイスグランド」
これで残りの使用回数47回か......多いような少ないような
その後も俺はアイスグランドを放ち、セナ達とここにいる全てのゴブリンを倒した。
アイスグランド ノコリシヨウカイスウ 45カイ。
「やっと、全員倒したわね」
「ああ、そうだ......オイ皆! ビッグさんの所に行くぞ!」
「あ、そういえばそうだったわね。ノノ、行くわよ!」
「はい! 待ってくださーいセナさん!」
俺達はビッグさんのもとへ向かうと、ビッグさんの戦いはもうとっくに終わっていた。
「おう、【あ】君達! 遅かったな!」
「早くないですか、ビッグさん」
「そうかい、ハッハッハ!」
ビッグさんと笑いながら話していると、村長と村人達が俺達の方へやってきた。
「このたびは私達の村を救っていただき本当にありがとうございました」
「「ありがとうございました」」
村人達全員で俺達に感謝の言葉が次々と送られた。
すると、ノノも村人達に続き、感謝の言葉を言う。
「今日は本当にありがとうございました」
「いいよいいよ」
「まっ、当然の結果よ」
ビッグさんは後ろで両腕を組んで頷いていた。
すると、村長は俺達に質問する。
「そういえば、冒険者さん達は用があって私達の村においでくださったんですよね?」
「あ、そうだった」
俺はこの冒険の目的を思い出し村長にマジンの居場所について質問した。
「俺達、マジンを討伐するためにこの村を訪れたんですが、マジンの居場所を知っていますか?」
「あの伝説のモンスターマジンですか......」
「マジンを倒す?」
「あのマジンを?」
村人達はマジンの討伐を聞き驚いている。
すると、村長は奥にある山を指を指した。
「あの奥に見える山へ行ってみてくだされ、古の言い伝えによればそこに行けばマジンギガントの居場所が見つかるかもしれません」
マジンギガント? マジンの名前か?
「あの、奥の山ですね。ありがとうございます」
俺は村長に挨拶すると、慌てて村長が言い出した。
「お待ちくだされ、あの山はたくさんのモンスターが住み着いています。なので、気をつけて下さい」
「はい、わかりました」
俺達は馬車へと乗り出すと、ノノが大声で俺達を呼び止めた。
「ま、待ってください! 私もセナさんとマジン討伐に連れて行ってください!」
「ノノ! 何を言う!」
村長は焦った表情で言う。
「ノノ、お前おじいちゃんとおばあちゃん達の為にこの村に残るんじゃ?」
「そ、そうですけど......」
「別にいいじゃない、行きたいって言ってるんだから連れて行っても」
「俺も意義無しだ」
ノノは真剣な表情で村長に了解を得ようとしている。
「お願い、おじいちゃん!」
村長は深く迷い込んでいると......、
「おじいさん、いいじゃないですかノノが行きたいと言うのだから......」
「おばあちゃん、いいの?」
「ええ」
話しを聞いていた村長が口を開いた。
「そこまで言うならわかった。だが、村に絶対帰ってくるんじゃぞ」
ノノは涙を流しながら村長に抱きついた。
「おじいちゃん! 行ってくるね!」
「ああ、帰ってくるんじゃよ」
「うん! おばあちゃんも行ってきます!」
「ええ、気をつけてね」
すると、村人達もノノに声援を送った。
「ノノ、頑張れよ!」
「怪我しないでねー! ノノ!」
「うん! 皆、ありがとう!」
こうして、俺達に上級職ハイプリーストテスのノノが少しの間仲間に加わり、マジンがいるかと思われる山へ向かった。