表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やはりこのクソゲー世界はおかしすぎる。  作者: キング
第一章 【ビギナー大陸】
7/10

マジンを知る者逹

 どうも、皆さんこんにちは。冒険者の【あ】です。

 今俺は、どこにいるでしょーか? はい正解はなんと馬車の中でーす。

 なぜ、僕が馬車の中に入るかは大体お察しできると思いますが、今までの流れを説明したいと思います。



 ***



「だから、なんで今なの? あんたらは上級職かも知んないけど俺、最弱職の冒険者でまだLV4何ですけど!」


 スカルドラゴンと戦った時、実はチビスカルドラゴンを倒して少しだけLVが上がっていた。

 LVが上がった時も、あのカタコトの外国人が聞こえたような気がするが戦いに夢中になっていて全然聞こえなかった。


「別にいいじゃない、信頼出来る上級職が2人いるのよ! 負ける訳ないじゃない!」

「信頼出来ないから言ってんだよ!」


 俺はセナに激怒していると、隣で聞いていたビッグさんが話しだした。


「まあまあ、【あ】君が言いたい事はわかるが、【あ】君の使命なんだろ? サッと行って、サッと帰ろうじゃないか」


 そう、簡単にうまくいかないだろ。


「なあいいか、あんた逹が上級職だろうが流石にこの大陸のマジンを甘く見過ぎだ。俺達はもっと強くなれるはずだろうし、俺もまだクエスト経験が少ないから少し怖いんだよ。だからさそれからでもいいんじゃないか?」


 この2人に俺の素直な気持ちを伝えるが......。


「あんたのことなんてどうでもいいのよ、ただ私はマジン討伐をしたいだけだし、それともう私達強いから」


 コイツ、俺の想像していた返しじゃないぞ。仲間ってのは普通「しょうがないな」とか「やれやれ、お前の言うことは否定出来ないな」とか優しい返しじゃないの?


「俺もセナ君と同じ意見だ。俺の相棒(筋肉)も行きたいと叫んでいる」


 その気持ちは相棒じゃなくて、あんたの気持ちだろ。


「いや、断る!」


 俺は何時間か粘っていたが、口論から1対2の力ずくの言い争いとなり瞬殺された。


「あのー? マジンの討伐クエストはありますか?」

「は、はい御座います。マジン討伐のクエストですね? ......マジン討伐のクエストですか!?」


 受付のお姉さんが叫ぶと、ギルドの中にいた冒険者達もざわめき始めた。


「そうよ、私達でマジンなんてボコボコにしてやるわよ!」

「お前は黙ってろ」


 俺はセナの口を押さえた。


「マジンの討伐クエストはあるのですが実は......」


 受付のお姉さんの説明を聞いたところ、各大陸にはマジンの討伐クエストは存在するらしいが、マジンが生息している場所まではわからず、自分達で様々な場所を探さなければいけないらしい。


「えっ! そういえば、このビギナー大陸って他の大陸よりも一番デカいんだっけ? 何年間探せばいいんだよ」

「そうね......」

「そういえば、そこまで考えていなかったな......」


 2人は近くにあるテーブルに座り、考え込んだ。

 すると、受付のお姉さんが慌てて言う。


「で、ですが安心してください。実はここから馬車で行くのに約3日間ぐらいかかる小さな村があるのですが、そこの村に行けばマジンの情報が手に入るらしいですよ」


 俺はお姉さんの説明に一つ疑問に思う点があった。


「らしい?」

「はい、私達ギルド員もその情報が正しい情報なのかよくわからないのですよ」

「じゃあ、もしその情報が正しくなかったら、その3日間は無駄になると......」


 その説明を聞き、2人が座っているテーブルに俺も座り込んだ。

 すると、セナがテーブルから急に立ち上がり叫んだ。


「もう考え込んでいてもしょうがないわ! さっさと支度して出発するわよ!」


 セナに続きビッグさんも言う。


「そうだよな、俺の相棒(筋肉)も行きたいと叫んでいるのだ!」

「うーん」


 俺は少しの間考え、決心した。


「ああ、もうわかったよ! だけど、リカに冒険に向かう事だけ報告させてくれ」


 俺は2人に真剣な眼差しで答えた。


「リカ? リカってあのリカ!?」


 リカの名前を出した途端、セナが驚いたように口を開く。


「え、お前リカのこと知ってんのか?」

「知ってるに決まってるじゃない、リカには色々と私の話に付き合ってもらった友達よ!」

「そ、そうだったのか......」



 ***



 俺達はリカに冒険に向かう事を報告をしに家へ向かった。


「お帰りなさい【あ】。どうしたの? 知らない人を連れて?」

「ああ、こいつらは俺の仲間達だ。コイツがセナ、そしてビッグさんだ」

「あ! セナちゃん! いたんだー、ちっちゃくて見えなかったよー」

「ちっちゃいとは失礼ねリカ!」


 本当にリカとセナは友達の関係みたいだ。


「【あ】にも仲間が出来たんだー!」


 リカは俺に仲間が出来たみたいで結構嬉しそうだ。


「そ、そうだよね......初めて見る方もいるから自己紹介しないとね。私の名前はリカと言いますよろしく」

「ああ、俺はビッグだよろしくな!」

「はい! これからも【あ】をよろしくお願いします!」


 リカは俺のお母さんのようにビッグさんに挨拶している。

 仲間達の自己紹介も終え、ついにリカに本題の話を切り出す。


「実は、今日仲間達を連れてきたのは理由があって、マジンを討伐する事になったんだ」

「......ええ! 【あ】があの伝説のマジンを討伐!?」


 まあ、当然のリアクションだよな。


「ああ、だから当分家に帰れなくなる」

「そっか......」


 リカは寂しそうな表情をするもの、笑顔を取り戻した。


「うん、わかった! だけどこれだけは約束して、絶対に帰ってきてね」

「ああ、約束する」

「約束ね」


 こうして俺達はリカに報告を終え旅へ出るため馬車を借り、マジンを討伐しにマジンの居場所を知っているかもしれない村へ出発したのだった。



 ***



 俺達はモンスターに1匹も遭遇せず何事もなく1日目を過ぎようとしていた。


「あのー、ビッグさん? そろそろ俺が馬車の運転しますんで休んでいていいですよ」

「そうかい、【あ】君助かるよ」


 ビッグさんは運転席から立ち上がり、後ろの屋根のある荷台の方へ移動した。

 一方、セナは荷台から周囲の見張りをしてくれている。


「あ、あのー?」

「ん? セナ、お前俺のこと呼んだか?」

「いいえ、呼んでないけど」

「そうか......」


 じゃあ、一体誰が俺のことを呼んだんだ? ビッグさんは横になって寝ているしな......。


「あ、あのー、そろそろお水を貰ってもよろしいでしょうか?」


 俺にずっと話しかけていたのは、馬だった。


「ああ、わかっ......えぇ~!?」


 俺はつい、変な驚き方をしてしまった。


「急にどうしたの? 大声を出して!」

「どうしたんだ! 【あ】君!」

「う、馬が......馬が喋ったんですけど!」


この状況を説明すると、セナ逹呆れた表情で言う。


「はあ? あんた馬を一度も見たことがないの? 馬ってのは普通喋る生き物でしょ」

「ハッハッハ! 動物は話す生き物だぞ」


 この世界の動物が喋れるらしい。


 馬車を止めセナは荷物からバケツを取り出し、外へ出て馬の近くに寄り魔法を唱えた。


「ウォーター」


 すると、セナの手に魔法陣が浮かび上がり中から水が出て、バケツが一杯になるまで水を汲んだ。


「はい、どうぞお馬ちゃん」

「ありがとうございます。それと(わたくし)の名前はホースとお呼び下さい」

「ホースちゃんね、わかったわ。」


 そして、ホースは水を全部飲み干し、再び出発した。

 それからも、何事もなく村まで着々と進んでいるとセナがわがままを言い出した。


「つまんない! ねえ、【あ】なんかやってよ!」

「え? 今俺は馬車の運転をしていて忙しいんだよ! 少しは我慢してくれ」

「大丈夫だって! ホースちゃんに任せれば目的地に着くから!」


 まあ、ビッグさんも荷台で(いびき)をかきながら寝ているし、誰も構ってくれる人が居なくて相当暇なのだろう。


「ホースは話すことは出来るが地図を見ることが出来ないから俺が代わりに道を教えているんじゃないか」

「すみません......」


 ホースは申し訳なさそうにセナに謝った。


「ホースが謝る必要はないぜ、しょうがないことなんだからさ」

「は、はい!」

「うーん」


 今まで寝ていたビッグさんが俺達の口論を聞いて目を覚ましたようだ。


「ハッハッハ! 仲が良いのだな【あ】君達は」

「「良くない!!」」


 つい、セナと息が合いお互い恥ずかしくなってしまった。


「そ、そうだ! もう暗い事ですし、そろそろ夜食にしませんか?」

「そ、そうね! 私もずっとお腹が空いてたのよー」


 俺とセナは笑いながら何事もなかったように話しを進めようとしていた。


「そうだな。今日はこの辺で休んで明日に備えるか」


 こうして辺りが真っ暗になったため一端馬車を止め、夜食を食べることにした。



 ***



「おはよーう! 【あ】。起きてー!」

「ああ......もう朝からうるせーぞ!」

「朝ご飯用意出来たからさっさと食べて、出発するわよ!」


 そう言われ、俺はバケツに汲んである水で顔を洗い、朝食を用意されている方へ移動した。

 

「フン! フン! フン!」


 ビッグさんは朝からダンベルを握りしめ、汗をかきながら筋トレをしていた。


「ビッグー! 【あ】が起きたから朝ご飯にするわよー!」

「ああ、わかった! 今行く」


 こうして俺達は朝食を食べ、引き続き村を探す冒険へ出発した。


 俺達はガタガタと馬車に揺られ、ビッグさんは馬車の運転、俺とセナは周囲の見張りをしていた。


「もう! あんなゲーム、一生したくないわ!」

「お前が弱すぎるだけだろ」


 そろそろモンスターなどが出てくると思い警戒していた俺達だったが、何も出てこなく、3人でゲームをしていた。

 俺は知っているゲームを3人に提案すると、以外にも日本でよく遊ばれているゲームを知っていた。


 例えばしりとりやマジカルバナナなどの鉄板のゲームを3人でしていた。

 しかし、セナの頭は小学生以下の頭脳だったため全てのゲームに全敗し拗ねてしまったのだ。


「今日で2日目ですよね? まだ村には着かないスよね?」

「そうだなー、3日程度掛かると言っていたからな......」


 ビッグさんと話しをしている中、セナが呟いた。


「何か、空から大きな音がしない?」

「そうか?」


 俺達は恐る恐る空を見上げてみると、3メートル以上の大きさの鷹が馬車の上をグルグル飛び上がっていた。


「な、なんだあいつ!」


 突然、ホースが叫びだした。


「あ、あれはイーグルホースです! 私達、馬を主食にしているモンスターなんです! これでおしまいだー!」

 

 今の俺じゃあ、あいつに対して有効な魔法やスキルがないから力になれない、一体どうすれば......。


 俺はそんな事を考えていると運転席にいるビッグさんが立ち上がった。


「俺に任せな!」


 ビッグさんは自分の愛用している武器バトルアックスを構えた。


「キィィ!!!!!!」


 イーグルホースはホースに向けて爪で襲いかかった。


「オイ、こっちだ」


 イーグルホースはホースに向けた爪をビッグさんに向けた。


「オラーーーーーー!!!!!!」

「キィ!」


 ビッグさんのバトルアックスはイーグルホースの脳天に当たり、地面へ叩きつけた。


「ふう、余裕だな」


 ス、スゴい......あのデカさのイーグルホースを瞬殺するとは、さすが上級職のウォーリアのことはあるな。


「てか、どうしてホースに襲いかかっていたのに、ビッグさんに襲いかかったんでしょうね?」

「ああ、そのことか」


 ビッグさんは俺に説明をしてくれた。


「それは、俺のスキル挑発を発動したんだ。だから、ホースから俺に標的を変えて襲いかかってきた訳さ」


 ビッグさんはドヤ顔で説明してくれた。


「強い、スキルッスね」


 俺とビッグさんはスキルの話しをしている途中にセナが叫びだした。


「ああ! ねえあれって......」

「急にどうしたんだ。セナ君......ああ!」


 セナの次はビッグさんが叫びだした。


「なんだなんだ、2人で叫びだして、またモンスターでもいたの......ああ!」


 俺達3人が目にしたのはビギナー大陸のボス、マジンの手がかりを知っているかもしれない小さな村だった。


 

  



  








 












評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ