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やはりこのクソゲー世界はおかしすぎる。  作者: キング
第一章 【ビギナー大陸】
2/10

リカとの出会い

 ビギナー大陸の経済国、ビギナータウン。

 この町は、駆け出しの冒険者が集う町である。

 ビギナータウンはめったに大きな事件が起きないという噂の平和な町だが、それは突然やってきた。


「オイ、なんか空から音がしないか?」

「ん? そうか?」


 外にいた、ある男が異変に気づいた。


「ねーねーお父さん、なんか空から光ってるのが見えるよ?」

「お? こんな時間に流れ星なんて降るのか?」


 その光る謎の物体はビギナータウンへと少しずつ近づいていた。 


「オイ! 徐々にこの町に近づいてないか?」

「あれは隕石か?」

「なんだなんだ?」


 外が騒がしいのに気づいた町の人達が家や店などから出てきた。


「ねぇ、皆どうしたの? こんなに人が集まって」


 この少女はリカ。

 リカの親達はビギナータウンでは有名な冒険者であり、少しの間家を空けていて今は一人暮らしをしている。


「リカか、丁度良かった。空から何か降ってきてるんだよ」

「えーっと......あっホントだ! あれって隕石?」

「いや、おそらくあれは隕石ではない」

「だけどあれが隕石じゃないとしてもここに人がいたら危ないんじゃ......?」


 すると、近くにいた男が答えた。


「いや、あの謎の物体が落ちる場所を推測すると、丁度海の方角だから大丈夫だ」

「ふぅ、それは良かった。でも、一体何なの、あの物体は?」


 するとある男が呟いた。


「あれ、人じゃないか?」


 町の人達は謎の物体を目を凝らして見ると、全裸の男が降ってきていた。


「ひ、人だ! 人が降ってくる!」

「全裸の男が降ってくるぞー!」


 危険を聞きつけた冒険者達が完全防備で駆けつけて来た。


「大丈夫かー!」


 町の人達は空から降ってくる人間に警戒する。


 ズドーーーーーーン!!!!!!


 物凄い音と勢いで全裸の男が海に落ちた。


「マズい! 今すぐアイツを海からすくい上げろー!」


 すぐに全裸の男は町の冒険者に海から救出された。


「なぁ、コイツどうする? このまま放置するわけにもいかないし」

「困ったなー......」

「流石に放置は可哀想だよな」

「でも空から降ってきた男だぜ? 危険な奴かもしれないぜ」


 町の人達はこの男をどうすればいいのかと混乱していた。

 すると、この状況にリカが名乗りを上げる。


「その人は私の家で預かります」

「リ、リカ。いいのか? 空から降ってきた男だぜ?」

「うん、大丈夫。後は私に任せて」


 こうして、全裸の男『【あ】』はリカの家で預かり寝ていたが、その日起きることはなかった。




 ***




 次の日、とうとう【あ】が目を覚ました。


「うーん、ここはどこだ? 確かゲームマスターに......」


 体に違和感を感じ、布団から起き上がろうとすると手首に鎖が繋がれていた。


「えっ? 何で手首に鎖が手首が巻かれてるんだ! 誰か助けてくれー!」


 俺は助けを呼ぶと、奥から誰かがこちらへ来るのがわかった。


「あっ! やっと起きた!」


 俺は叫んだ少女の方を振り向くと、エプロンを身につけた少女が俺を見つめている。


「オイ!、俺のことをボーッと見てないで早くこの鎖を外してくれ!」

「あー、ゴメンゴメン」


 彼女は手首に巻かれた鎖を外してくれた。


「てか、何で俺に鎖なんか巻いたんだよ!」

「だってあなた空から降ってきて......」

「えっ!? 空!?」


 俺はこの世界に空から降ってきたのか?


「あれ、もしかして覚えてないの? あなたが落ちた先は海だったから良かったけど、もしも地上に落ちていたらどうなっていたか......」


 彼女は、心配した顔で言う。


 あのゲームマスター、覚えておけよ......。


「そんな心配した顔すんなって、死んだ訳じゃあるまいし」

「そうだよね。それで体の方は大丈夫?」


 彼女は俺の体を心配しているので、少し体を触れてみた。

 すると、ズキンと重い痛みが全身を駆け巡る。


「イタッ、なんだこの痛さは?」

「やっぱりね、だってあなた全裸で物凄い高さの上から降ってきたのよ。痛いに決まってるよね」

「全裸で!? 俺全裸だったの!?」

「う、うん......」


 多分、物凄く高い場所から落ちたのが原因で、重力の力で服が全部破けたんだろう。


「あっ、じゃあお前、俺の裸姿を見たのか?」


 彼女に質問すると、顔を真っ赤にして答えた。


「みみみ、見てるわけないじゃない!」

「絶対見てんじゃねーか!」 

「あ、安心して、下半身は......見てないから」

「絶対に見ただろお前! じゃあ誰だ? この服に着替えさしてくれたのは? お前しかいないだろ?」


 すると彼女は、全力で否定した。


「違うわよ! そ、それはおじいちゃんの服で、着替えさしてくれたのは私じゃなくて冒険者の方達よ!」


 この服は彼女のおじいちゃんの物なのか、あとで会ったら挨拶しとかないとな。


「そうだったのか、悪いな。なんか家で寝かしてもらってりして」

「なに? 急に改まってそのくらいいいわよ。あ! そういえば、もう朝ご飯できてるから冷えないうちに食べて」

「ああ、わかった」


 俺は頷き、ベットから出た。


 だけど、凄いな。

 てっきり古いゲームでキャラクター達はドット絵なのかと思っていたけれど、本物の人間そのものだ。


 俺は、テーブルの椅子に座り、置かれていた朝食を見た。

 置かれていたのは、パンとベーコンエッグにコーンスープが置かれている。


「あれ? 俺の分の朝食しか用意されてないじゃないか」

「ああ、もう私とおじいちゃんは先に朝ご飯済ませちゃったから、食べて食べて」

「そうか、じゃあ遠慮なく、いただきます」

「どうぞー」


 パンを手に持ち、上にベーコンエッグを挟み1かじりした。


「ん、うまい!」

「でしょー! この食材は私のお父さんたちが狩ってきた高級な食材でうまいに決まってるわ! そのスープも飲んでみて」


 5分もせずに完食した。


「ごちそうさま。マジでうまかった」


 俺は席から立ち上がり彼女に言った。


「ありがとな」

「うん? どうしたの?」


 俺は家を出ようとすると、彼女は俺の服の袖を掴む。


「待って! もう出て行くつもりなの?」

「ああ、そのつもりだ」

「あなた、ご飯食べるお金とか宿に泊まるお金まで持ってないじゃない!」

「これから稼ぐよ」


 すると、彼女は俺に笑顔で言う。


「だったら、私達と一緒に暮らさない? おじいちゃんもきっと喜ぶわ」

「......」


 俺は少しの間考え、リカに答えた。


「気持ちは嬉しいけど、ごめん。俺が居ると迷惑かけるだけだから」

「そんなことないわ!」


 彼女は悲しげな顔で言う。


「もう一度言うわ、私達と一緒に暮らさない?」

「......ごめん。気持ちは嬉しいけど」

「もう一度言うわ、私達と一緒に暮らさない?」

「ごめん。だから、気持ちは嬉しいけど、俺も大人だから」


 俺はこのやり取りを数回か繰りかいし、なんとなくおかしいことに気付く。


 これって......無限ループじゃね?

 急に彼女の発言が同じことしか言わなくなった。


「もう一度言うわ、私達と一緒に暮らさない?」

「いや、だからね?」


 やはり無限ループだ。俺が何回も断っても無限に続くぞこれ。


 俺は諦め、彼女に答えた。


「わかった、少しだけこの家にいさしてもらうよ」

「本当に?」

「ああ」

「やったやったー!」


 予想以上に彼女が喜んでくれたのでびっくりした。


「そうだ、私の自己紹介が遅れたね、私の名前はリカよろしくね。あなたの名前は?」

「俺か? 俺の名前は......なんだっけ?」


 クソ、俺の前の名前が思い出せない。完全に忘れてるみたいだ。


「あれ? どうしたの? あなたの名前は?」

「俺の名前は......【あ】だ」


 俺は少しためらいながらもリカに自己紹介をした。


「えっ......【あ】?」

「やっぱりおかしいか、俺の名前?」

「う、ううん。おかしくないよ! 可愛いよ!」


 【あ】の名前のどこが可愛いかと疑問に思ったが、まあいい。


 それから少し時間が経過し、体の痛みも和らいできたのでリカに尋ねた。


「なあリカ、俺この町のことわかんないから少し散歩してきてもいいか?」

「そういえばそうだったね。もう体の方は大丈夫なの?」

「ああ、見ての通りピンピンだぜ」

「そっか、うんいいよ」


 俺はリカに許可を貰うと玄関まで駆け出し、誰のかわからないサンダルを履き、扉を開けた。


「【あ】ちょっと待って!」


 リカは外に出ようとした俺を止める。


「うん? どうしたんだ急に?」

「これ、念のために持ってって」


 リカに渡されたのはこの世界のお金だった。


 そういえば、この世界の通貨についてゲームマスターに説明を受けてないよな?

 詳しいルールはメニュー画面で見れるって言ってたからあとでこの世界の貨幣の価値について調べてみるか。


「これ銅貨10枚渡すから、買いたい物があったら買ってね」


 リカは俺に銅貨10枚を手渡す。


 うーん、気持ちは有り難いけど女の子からお金を貰うのはなんかなー。


「ほら、いいから受け取って」

「本当にいいのか?」

「いいに決まってるじゃない」

「そ、そうか......わかった。それじゃあ俺、いってくる!」

「うん! 気をつけてねー!」

「ああ!」


 俺はリカに挨拶を返した後、貨幣の設定を頑張って調べた。

 調べてみたところこの世界の貨幣は鉄貨、銅貨、銀貨、金貨の4つの貨幣が存在する。


 鉄貨1枚の価値が1円、銅貨1枚が100円、銀貨1枚が10000円、金貨1枚が1000000万円の価値があるらしい。


 こうして、俺はリカにお金を貸して貰った罪悪感があったものの、初めて目の前にする異世界の光景に興奮し町を走り回った。


 

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