リカとの別れ
俺達は無事犠牲者を出さずにビギナー大陸のボス、マジンギガントを倒した。
「俺達、あのマジンギガントを倒したんだな......」
「......ええ、そうね」
「セナさん、カッコ良かったですよ」
ノノなセナのことをベタ褒めしている。
「オイオイちょっと待てよノノ、この中で一番活躍したのは俺だろ!」
「いえ、セナさんです!」
俺とノノは誰が一番活躍したのか小さな言い争いが始まった。
「俺だね!」
「セナさんです!」
「......オイオイ【あ】君達、もうその辺でいいだろ」
「いいえ、ビッグさんは誰が一番活躍したと思います?」
俺はビッグさんに質問をする。
ビッグさんは少しの間考え、答えた。
「活躍したのは......相棒だな」
......ダメだ、この人。
すると、セナが俺達に言った。
「今日活躍したのはみんなよ。だから、さっさとギルドに戻って報酬をたんまり貰うわよ!」
「そ、そうだな」
「そうですね、セナさん」
「その通りだ」
こうして、俺達は馬車へ戻り、また3日間かけてビギナータウンへ帰還した。
***
「ス、スゴい! これが、ビギナー大陸の経済国ビギナータウンですか」
ノノは初めて来たビギナータウンに感激している。
「そういえば、ノノってこの町に来るのは初めてだったわね」
「そうなんです! 一度だけ来てみたかったんですよ!」
「それは良かったわね」
「はい!」
俺達はそのような話しをしている間にギルドへ到着した。
俺はギルドの扉を開けると、
「キター! 最強のパーティー達のお帰りだぞ!」
「あのマジンを倒したなんてすごいじゃないか!」
「そこの可愛い子ちゃんは、新しい仲間か?」
冒険者達は酒を飲みながら、俺達が帰還したのを喜んでいる。
なんだなんだ? もう俺達がマジンを倒した情報がもう出回ってるのか。
そして、俺達はギルドの受付所へ向かった。
「あ、あの伝説のモンスター、マジンをよく倒しましたね」
「当然よ!」
セナは自信満々と答える。
「ス、スゴいですよ! 皆さん!」
酒を飲んでいる冒険者達も大いに盛り上がっている。
すると、受付のお姉さんは重そうに大きな包みを受付のカウンターに置いた。
「こちらが、マジン討伐の報酬になります」
「お、おい!」
「ウソでしょ......」
「ス、スゴいですよセナさん!」
「......ハハハ」
俺達に渡された報酬はなんと、金貨100枚だった。
「ウォー!!!!!!」
この大金を見た冒険者達は興奮し、大声を上げている。
や、やったぞ。
これでリカから金を借りるようなひも男にはならずに澄んだんだ。これからはリカ達に世話になった恩返しが出来るぞ。
「オイ! お前ら! そんなにたんまりと金があるなら俺達に酒奢ってくれよ!」
冒険者達は酒を飲みながらに言う。
「何で俺らが酒を奢って......」
俺は冒険者達に断ろうとすると、
「しょうがないわね! 今日だけよ!」
「ウォー!!!!!!」
セナは勝手に冒険者達に奢ると宣言してしまった。
「オイ! 何勝手に奢るとか言ったんだよ」
「まあ良いじゃない今日ぐらい、マジンを倒したのだから」
セナは今まで見せたことがないニッコリとした笑顔で言う。
「そ、そうだな! 今日ぐらい良いよな! 皆今日はたんまり飲み尽くすぞー!」
「ウォー!!!!!!」
こうして、俺達はギルドで夜が明けるまで酒を飲み尽くした。
***
「ウエー」
「オエー」
俺とセナは不慣れな酒を余りに飲み過ぎたせいで木陰でキラキラを嘔吐していた。
「2人とも大丈夫ですか?」
ノノは心配した表情で伺う。
「安心したまえノノ君! こう見えても2人は根性がある!」
「全然大丈夫じゃないよ、ウエー」
「私は全然余裕よ、オエー」
「ハハハ!」
ビッグさんは苦笑いしている。
「わ、私! 薬買ってきます!」
俺達は約1時間以上の嘔吐との決闘に終焉を迎え、リカに無事マジンを討伐したことを報告しに帰った。
***
俺達は別々の自分達の家に帰るべく一時解散することにした。
一方ノノの家はここには無いため、セナの家について行ったみたいだ。
「ただいまー」
俺は家に入ると、いつも元気よく挨拶してくれるリカの姿はない。
「なんだ、誰もいないのか......」
すると、奥から誰かがこちらへ向かってくるのが聞こえる。
「お帰り、【あ】君だったかの?」
俺に挨拶してくれたのはリカのおじいちゃんだった。
リカのおじいちゃんか、そういえばリカのおじいちゃんとは話したことは一度もないな。
「はい、【あ】と言います」
「まあまあ、そう堅くならなくてよい」
リカのおじいちゃんは薄い笑みで言う。
「たしか【あ】君はマジンを倒したのだろ?」
「あ、はい」
俺は答えると、
「ほう、そうか。......だが、最後の敵には気をつけるのじゃぞ」
リカのおじいちゃんはそう言うと、自分の部屋へ戻って行った。
最後の敵? 一体どういうことなんだ?
俺はリカのおじいちゃんの言ったことに疑問を抱いていると。
「ただいまー、おじいちゃん。町の外が騒がしいけど、お祭りでもしているのかな?」
「おっ! ただいま、リカ」
帰ってきたリカに挨拶すると、リカは物凄く驚いた表情をしている。
「オイオイ、あのマジンを倒して帰ってきたことにそんなに驚くことか?」
驚いているリカに話すと、突然リカが泣き出した。
「......バカ、心配してたんだからね」
ちょ、ちょっと。一体どうすればいいんだこの状況は......。
俺はこの状況どうすればいいか悩んでいると。
「ねぇまだー【あ】、もうみんな集まってるんですけど......」
家に訪ねて来たのはセナ達だった。
「あー!? 【あ】がリカちゃんのこと泣かしてるー!」
「なにっ!? 女の子を泣かすのは男として最低な行為だぞ!」
「酷いですよ【あ】さん。リカさん......可哀想」
コイツらはリカが泣いている姿を見て、俺が泣かしたと思っているらしい。
「ち、違う! これには訳あって......」
俺は今までのことを説明すると、この状況を理解してもらえた。
「すみません、皆さん。私ったらつい......」
「いいのよ女の子なんだから」
「そうですよ」
「ああ、その通りだ」
セナ達は泣いているリカを励ましている。
「ほら! あんたもリカちゃんのこと心配しなさいよ!」
「ああ、大丈夫かリカ?」
「うん、もう大丈夫」
リカは泣き止み、俺はリカに言う。
「もうマジンも倒したことだし、これからは今まで通りの生活に戻れるから心配するな」
俺はリカに言うと、セナが答えた。
「えっ? なに言ってるの【あ】?」
「えっ? だって大量の金もゲットしたわけだし当分はモンスターやマジンなどのクエストはしなくても......」
「大量のお金がある時に出発するのよ、そうじゃないと一生この大陸から出れなくて、次のマジンなんか倒すことなんか夢のまた夢よ」
セナがそう答えると、俺は聞いていた2人に視線を合わせる。
2人は無言で首を頷いている。
「......マジで?」
俺はリカの方へ顔を向けると、リカは悲しい表情をしている。
「そうだよね......【あ】も大変なんだよね」
すると、リカは「ちょっと待ってて」と言い、何かを探しに行った。
「あったあった!」
俺に渡したのは手作りの御守りだった。
「......これ、リカが作ってくれたのか?」
「うん、そうだよ。【あ】が冒険に出ている間に作ってたの」
「そうか、だから手にバンソウコウがたくさん貼られてるのか......ありがとなリカ」
「どういたしまして」
リカは笑顔で答えると俺に質問してきた。
「明日出発するの?」
「明日なのか? セナ」
「ええ、明日出発する予定よ」
「......そっか、じゃあ今日の夕食はみんなで食べましょ!」
「そうしようか」
俺達はリカの家で夕食を食べ、みんな別々の家に帰って行った。
「今日の夕食、みんなで食べて楽しかったね。おじいちゃんも喜んでたよ」
「ああ、そうだな」
すると、リカは楽しそうに話していたが、また悲しい表情をしていた。
「絶対に家に帰ってくるよね?」
「......帰ってみせるさ」
俺はリカに答えると笑顔を取り戻し、突然家の窓を開け大声を出した。
「頑張れー【あ】!」
「オイオイ、そんなに大声を出したら近所に迷惑が掛かるだろ」
「ごめんごめん」
「だけど、何だか力が湧いてきたよ」
「それは良かった」
こうして、リカとの楽しい1日が過ぎ、次へのマジンを倒す冒険が再び始まった。