冒険の始まり
俺の名前は長谷川一生。
年齢は18歳で俺は一風変わった趣味を持っている。
それは引きこもってクソゲーをすることだ。
しかし、そんな俺があんな地獄の生活が待っていたとは......。
***
昼間に起きた俺は近くのゲーム売り場でクソゲーを探しに出掛けていた。
いつものようにクソゲーが置いてある棚を見ていると端っこに気になるゲームを見つけた。
それはマジンクエストという名前のクソゲー臭がぷんぷんするゲームソフトがそこに置いてあった。
俺はそのソフトを手に取ってパッケージの裏の説明を見てみた。
しかし説明は何も書かれていない。
なんだこのゲーム? こんな面白そうなゲーム、買う以外の選択肢はないな。
俺はレジに駆け込み謎のゲームを購入した。
家に到着した俺はさっき買ったゲームを早々と起動した。
『ピコん』
タイトル画面に入ると、前にプレイしていた人のデータが残っている。
ん? 前のデータがある。
こんなクソゲーやってる人いたんだ。
俺は前のセーブデータを消し【はじめから】を押した瞬間、目の前が真っ白になった。
気を取り戻すと、いつの間にか真っ白い部屋の中にいた。
「う、うーん......ここはどこだ?」
真っ白な部屋の中には家具一つも置かれていない。
「誰かいないのか? あのー、誰かー?」
すると突如目の前に、明るい表情をした美少女が現れた。
「ようこそ一生様! マジンクエストの世界へ! 私の名前はゲームマスターと申します。まず最初はこの世界のルールの方を説明させてもらいます」
「ちょちょ、ちょっと待って!」
俺はこの状況を理解仕切れず叫んだ。
「いいえ、待ちません」
「お、おい!」
「コホン、話を続けますとあなた様はこれからマジンクエストの世界で冒険してもらいます」
「......」
俺は絶句していた。
普通の人なら異世界に行けるだけでテンションが上がるだろうが、俺は違う。
なぜなら俺はクソゲーをすることが幸せだった。
しかし、今まで充実していたクソゲーをする日常がもうこないと知ると絶望としか思えない......。
「マジンクエストの世界には7つの大陸に謎のボス、マジンが存在しています」
「はいはい、俺がそのマジンって奴らを全員倒せば元の生活に戻れるんだろ?」
「あ、はいそうです。全てのマジンを倒せることが出来れば今までの充実してた生活に戻れます」
「......そうか」
いや、ムリムリムリ!!! この俺がこのゲームのラスボスを全員倒すなんて絶対にムリだ!
「あのー、ゲームマスターさん? そのマジン?っていう方達に僕は手も足も出ないと思うのですが......」
「心配ございません。なぜならあなた様には特別なスキルを所持しているのです」
「特別なスキル?」
チート能力か? チート能力だと無敵になれるとかHPやMPが無限とかのスキルであれば早く元の世界に帰れるかもしれない。
「能力はマジンクエストの世界に入ったら閲覧が可能です。ですが、特別な能力には欠点がございます」
「欠点?」
チート能力でも弱点があるのか?
「それは後からのお楽しみです!」
ゲームマスターは興奮した声で言う。
「いや、言わないのかよ! まぁ、いいぜ。次の説明をして」
「これで説明は以上になります」
「えっ、もう終わり!?」
「はい! ですが、まだ細かいルールが少々ございますが、それはメニュー画面の方で後ほど閲覧なさってください」
ほーう、メニュー画面が見れるのか、それだったらあっちの世界のルールのことは心配いらないな。
「それではこれで最後になります。あちらの世界での一生様のお名前とご職業をお決め下さい」
名前と職業か、これは重要だぞ。まずは名前だな。
どうする......? カッコイイ名前にするか、いやそのまま本名にするのもいいな......。
一体何時間考えていただろか? 俺はいろいろなゲームで名前は慎重に考える癖があり、時間を忘れて名前を考えていた。
「あのー、一生様......もうお決まりになられたでしょうか?」
「いや待ってくれ! 名前というのはな、人生に関わるものなんだ! もし変な名前だったら......」
俺はゲームマスターに名前の大切さを熱烈に語った。
「だからさ、わかってくれ!」
「......ええ、一生様の思う名前の大切さは良くわかりました。ですがもう我慢出来ません! 私が一生様のお名前をお決めになさってさしあげます!」
「えっ?」
するとゲームマスターは考える素振りを一切せず、俺の名前を決めた。
「一生様のお名前は【あ】様です!」
「んっ......ん!?」
俺の聞き間違いだろうか?
いや! 絶対に聞き間違いだ!
「あのー、もう一度言ってくれない?」
「一生様のお名前は【あ】様です」
「いやいやウソでしょ? ウソって言ってくれ!」
「いいえ、ウソではありません」
ゲームマスターは真顔で答える。
「君さ、さっき俺の話し聞いてたよね?」
「はい! しっかりと聞いていました!」
ゲームマスターはウキウキで答える。
「お前は鬼か! てか、なんで【あ】なんだよ! もっといい名前あっただろ!」
「では、次はご職業です」
ゲームマスターは何事もなかったように次に進もうとしている。
「次いくな!」
俺の異世界人生はこれで幕を閉じた......多分。
「ご職業はこの52枚の選んだカードによって決まります。私がカードをシャッフルするのでカードを選んで下さい」
職業、そうだ! まだこれがあったじゃないか!
名前が【あ】だったとしても物凄く強い職業だったら、ギリギリセーフなはずだ。
頼むぞ! 俺の中に眠っている全ての幸運よ!
「いっけー!!!!!!」
俺は何も考えず、真ん中のカードを引いた。
選んだカードをソッとめくってみると、それは最弱職の冒険者だった。
「はい、冒険者ですね」
「クソが!!!!!!」
地面にカードを叩きつけた。
「それでは、マジンクエストの世界へいってらっしゃいませ!」
すると目の前に大きな空間が現れ、俺はその穴に吸い込まれた。
「ウォォォォォォーーーーーー!!!!!!」
こうして俺の地獄の異世界生活が始まったのだった。
字やその他いろいろおかしいところがあったらすみません。是非、感想など聞かして下さい。