00 プロローグ
その日を何度繰り返しただろうか。
必ず最後は一二時に死神の少年に殺されて朝に戻る。
それの繰り返しだ。
一度目はコンビニで立ち読みした帰りに巨大な鎌で切り裂かれた。
二度目の時は混乱していた。
殺されたはずなのに、時間が巻き戻っていることが信じられなかった。
悪い夢か幻覚を見たのだと思い込もうとしていた。
――だが違った。
そして結局、一度目と同じようにして殺されたのだ。
それからは同じことの繰り返しだ。
どこに逃げても死神は追ってきた。
家族や友人に助けを求めても、回避できない。
それどころか、犠牲者を増やすだけだった。
一日中部屋に閉じこもっても無駄だった。
必ず死神は現れる。
――部屋の中にも。夜の街にも。遠くの山にも。
死神は火を使う。
一度は夜の学校のグラウンドで、火だるまにされた。
死神は氷を使う。
家の近くの商店街で氷漬けにされた。
死神は風を使う。
まだ人通りのある駅前でズタズタに引き裂かれた。
死神は雷を使う。
誰もいない山中で死神が呼び出した雷に貫かれた。
そして死神は見えない力を使う。
前回それを使って死神は、巨大なトラックを持ち上げて、空中からオレの上に落としたのだ。
オレは殺され続ける。
何度も何度も。
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。
そしてまた、朝に目が覚めるのだ。
自分の部屋で。
――――今晩また一二時に殺される、そのためだけに。