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ユキトの成長

 僕の名前はユキト、今年で3歳になった。

僕のお父さんとお母さんは、僕が赤ちゃんの頃に魔物も群に襲われ死んだそうだ。その時お母さんが命懸けで、爺ちゃんの所まで僕を連れて逃げて、そこで力尽き亡くなったらしい。それからは爺ちゃんとバーバラ婆ちゃんが僕を育ててくれた。

 爺ちゃんは武術を僕に教える為に、僕が3歳になるのを首を長くして待っていたらしい。バーバラ婆ちゃんが言ってた。



 家の裏の広場に、爺ちゃんが僕を連れ出した。


 「ユキト、今日から爺ちゃんが武術を教えるぞ」


 そう言って爺ちゃんが木刀を僕に渡した。

 持ってみると、長さも重さも丁度いい。


 「ユキト用に削り出して作ったから、サイズは合っとるじゃろう。先ず爺ちゃんの動きを見て同じ様に振るんじゃ!」


 爺ちゃんが、ゆっくり木刀を振り上げ振り下ろし、僕に見本を見せてくれる。

 僕は爺ちゃんの動きを真似て、最初はゆっくりと、次第に速く木刀を振る。

 暫く無心に振り続けると、途中から木刀を振った時の音が変わった気がした。


 音が変わった事に爺ちゃんも気づいて、理由を教えてくれる。


 「スキルを取得したのじゃろう。しかし早いのうユキトは武術系のユニークスキルを持ってるかもしれんの」


 爺ちゃんが教えてくれた木刀の振り方が、身体に馴染んでくるのが分かる。刃筋のブレが無くなり空を切る音が鋭くなっていく。

 僕は楽しくなって無心で木刀を振った。

爺ちゃんが止めるまで、汗だくになって振り続けた。

素振りが終わったら型稽古に移る。

 型の動作一つ一つに、ちゃんと意味がある事を教えてくれた。型をゆっくり丁寧になぞり、型稽古を一通り終える頃にはヘトヘトになった。


 「次は、槍じゃ!」

 「……えっ!」


 爺ちゃんが稽古用の槍を僕に渡して、槍の型稽古が始まった。

 朝早くから始まった爺ちゃんの修行は、お昼過ぎにやっと終わった。その時僕は汗ダクでふらふらになってへたり込んだ。


 「ユキトー、ご飯だよー!」


 バーバラ婆ちゃんが呼びに来てくれた。

皆んなでお昼ごはんを食べていると、バーバラ婆ちゃんに「昼からは、魔法の練習だよ。」って言われた。


 その日から朝早く起きて野山を駆け回り。走り終えると爺ちゃんと剣術、槍術、弓術の鍛錬がお昼過ぎまで続く。午後からは婆ちゃんと魔法の練習を夕方まですると、晩ご飯の後は寝る時間まで勉強する。村には小さな子供は僕しか居なかったから、それがおかしいと僕が気付くのは随分後のことだった。


 「いいかいユキト、属性魔法は基本属性の火、水、風、土の4種類と光、闇、時空間、回復の4種類の上位属性と氷、雷の2種類の複合属性の魔法が有る。此処までは良いね。上位属性と複合属性の魔法は特殊だから別にして、基本属性の魔法は、……」



 婆ちゃんの説明によるとレベル毎に覚える魔法は、


Lv1 ボール系 風属性は、エアハンマー

Lv2 アロー系 風属性は、ウインドカッター

Lv3 ジャベリン

Lv4 ウォール

Lv5 ストーム


と言う順番で覚えるらしい。

 ただ魔法は本人の資質にもよるが、イメージ次第で自由度が高いらしい。特に土魔法などは術者のイメージによる自由度が高く、土魔法を使って土木工事をする魔法使いもいるそうだ。

 風魔法にも遮音結界や索敵の魔法がある。

 術者の資質にもよるらしいけど、オリジナルの魔法を編み出すことは良くあるらしい。



 3歳になって3カ月位経った時、何時もの様に爺ちゃんと朝の鍛錬をしていると、声をかけてくる人がいた。何もない小さな村だから、人が訪ねて来るのは初めてだった。


 「ノブツナ!久しぶりだな!」


 大きな声で爺ちゃんに話し掛ける。爺ちゃんの知り合いみたいだな。素振りをしながら見てみると、2m を超える体格で筋骨隆々な狼獣人の男の人がいた。年齢は爺ちゃんと変わらない位かな。


 「ホォ、その子がノブツナの孫のユキトか?」


 素振りを止めて狼獣人の男の人を見ていると、近づいて来て膝をつき眼線を合わせ頭を撫でてくる。


 「……サツキによく似てるな」

 「ヴォルフ、わざわざこんな辺境の村に何の用じゃ!」

 「決まってるだろ、バーバラが魔法をノブツナが剣術等を教えておるのだろう。なら俺が体術を教えないで誰が教える」

 「何故ユキトの事を知っておるのだ。」

 「……アタシが手紙でちょっと自慢しちゃったんだよ」


 バーバラ婆ちゃんが、家から出て来た。


 「まさか、あんたが来るなんてね」

 「お前まさか儂の家に居候するつもりか!」

 「当たり前だろう」


 どうやら僕には、師匠が一人増えたみたいだ。



 次の日から、爺ちゃんから刀槍術と弓術を、ヴォルフさんから体術を、バーバラ婆ちゃんから魔法を教わる日々が続いた。




 2年が過ぎて僕が5歳になった時、爺ちゃんが1人の神父さんを家に連れて来た。爺ちゃんやヴォルフさんと同じくらいの歳だろうか、でも爺ちゃん達と違って、とても穏やかな雰囲気人だった。


 「君がユキト君だね。私の名前はアイザック、神父をしている。君のお爺さんとは古くからの友人だ」

 「こんにちは、アイザックさん」

 「ユキトも5歳になったじゃろう、普通街では5歳になると教会で祝福を受けるんじゃ。この村には教会などないからの、アイザックに頼んで来てもらったんじゃよ」

 「祝福?」

 「そこからは私が説明しようか。国や種族を問わず5歳になると皆祝福を受けるんだ。祝福を受けるとステータスカードを作ることができるんだ」

 「ステータスカードって何ですか?」

 「ステータスカードはね、身分証明書になる魔道具でね街の出入りや冒険者ギルドや商業ギルド等に登録すればギルドカードにもなるんだ。それでステータスカードには名前と生き物の格を表すレベル、あとは先天的に持つスキルや訓練して後天的に身につけるスキル等が見る事が出来る様になるよ」

「アイザック!御託はいいからサッサと済ませろ」


 狩りから帰ってきたのだろう、鹿を担いだヴォルフさんがアイザックさんをせかす。


 「相変わらず貴方はセッカチですね」

 「ユキトは忙しいんだよ。この後もミッチリ修行が有るんだからよ~」

 「ユキト君は未だ5歳ですよ。ヴォルフ貴方が修行をつけてるのですか?」

 「何言ってんだアイザック、俺だけじゃねぇ。ノブツナとバーバラのほうが先だぜ」

 「なっ!貴方たち、こんな小さな子供に何してるんですか!」

 「アイザック!早ようせい!」


 爺ちゃんが痺れを切らしてアイザックさんに言う。


 「……ハァ、分かりましたよ」


 アイザックさんが、銀色のプレートと綺麗な石を魔法陣が描かれた石板の上に置いた。

 石板にプレートをセットした。


 「ユキト君、ここに君の血を一滴もらえるかい」


 ユキトは渡された針で指を突いて、魔法陣に置いた綺麗な石に血を垂らす。石が光り出し次に魔法陣が光りだす。魔法陣の光りがプレートに集まり一瞬光って消えた。


 「さて、これで終わりです」


 アイザックさんがプレートを外して僕に手渡す。


 「ユキト君、カードって言ってごらん」


 アイザックさんの言われてその通りにしてみる。


 「カード!」


 するとステータスカードが僕の手から消えた。


 「…えっ!」

 「もう一度カードって言ってごらん」

 「カード!」


 僕の手にステータスカードが現れた。


 「ステータスカードの出し入れは分かったね。カードは本人が死なない限り、一定以上の距離を離せないから盗まれる心配はないよ。じゃあカードを確認してごらん」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ユキト 5歳 男 人間

1.村人 LvMAX 2.   3.   4.


レベル:1

称号 :英雄の孫

HP :60/60

MP :16000/16000

筋力 :12

耐久 :16

敏捷 :28

知力 :20

魔力 :360



スキル 

武の極み 魔の極み

体力回復強化 魔力回復強化 身体強化Lv1

隠密Lv1 気配察知Lv2 心眼 気功術Lv3

回避Lv2 格闘術Lv2 弓術Lv3 投擲術Lv2

剣術Lv3 槍術Lv3 棒術Lv2 魔力感知Lv2

魔力操作Lv2 生活魔法 火魔法Lv3

水魔法Lv3 風魔法Lv3 土魔法Lv3 


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 アイザックさんに促されカードを見てみるけど、他の人のステータスを見た事がないから、イマイチピンとこない。僕がカードを見てると、爺ちゃん達が見に来た。カードを見たアイザックさんが、驚きの余り固まるのをよそに、爺ちゃん達が感想を言い合う。


 「おぉ、ユキト!ユニークスキルがあるじゃないか、良かったのう」


 武の極みと魔の極みは、スキルが取得しやすくなるのと熟練度が上がり易くなる強力なスキルみたい。


 「チッ、剣術のレベルに格闘術のレベルが負けてるじゃねぇか!出遅れたのが響いたか」

「フン、魔力量の伸びは順調だねぇ」


 「貴方たち!この子に何をしたんですか!ユキト君のステータスは、5歳の子供の数値じゃないですよ。普通の大人まではいかないまでも、近いくらい有るじゃないですか。しかも魔力量と魔力の数値がおかしいです」

 「魔力のステータスが高いからこの子は、Lv1の魔法でも制御を間違えばエライ威力だよ」

 「何をって、修行に決まってるじゃねぇか」

 「ヴォルフ!貴方はユキトは5歳なんですよ!」

 「そんなこと俺たちにも分かってらぁ、ちゃんと身体の成長を阻害しない様に、気をつけてるに決まってるじゃねぇか」

 「アタシが居るんだから、ムチャはさせないよ。」

 「そんなことよりアイザックよ、例の物は持ってきたのか」


 爺ちゃんがアイザックさんに何か頼んでたのかな。

アイザックさんは溜め息をついて、鞄から巻物を2本取り出した。


 「なんだノブツナ、スクロールを頼んでたのか」

 「あぁ鑑定とアイテムボックスは必要だろう」

 「そうだね、アイテムボックスは時空間魔法を覚えれば良いけど、アタシは時空間魔法は苦手だから教えるのはちょっとね」


 「ユキト君、スクロールに魔力を流しながら読んでごらん」


 ユキトは受け取ったスクロールに魔力を流しながら読んでみると、スクロールから何かが身体に入って来てアイテムボックスの使い方が理解できた。続けてもう一つのスクロールを読んで、鑑定のスキルを覚えた事が理解できた。


 スクロールとは、使い切りの魔法を覚える為の物だそうだ。スクロールに書かれた魔法の素養があると、その魔法を覚える事が出来るらしい。


 「無事覚えれた様だね、アイテムボックスは時空間魔法の適性がないと覚えられないからね。実はアイテムボックスの魔法を使える人はとても少ないからね。次は職業を変更してみよう。しかしフォースジョブまであるなんて聴いたことないよ」


 アイザックさんに教えてもらい、ジョブの所を押してみる。


戦士 格闘家 魔法使い 僧侶 召喚士 錬金術士

薬師 魔物使い 盗賊


 「ユキト先ずは戦士じゃ!戦士をマスターすれば剣士や槍士のジョブが解放されるからの」

 「魔法使いも外せないよ」

 「じゃあ、格闘家も決まりだな」

 「それでは最後は僧侶ですね」

 「なんだ、アイザックどうしたんだい」

 「バーバラ、私も時々此処へ訪れて回復魔法と一般常識を教えます」


 僕のジョブは、爺ちゃん達に決められてしまった。

 決まったジョブは、


1.戦士Lv1 2. 魔法使いLv1 3.格闘家Lv1 4.僧侶Lv1


 ジョブに着くと、そのジョブごとのスキルを覚えられる。

 戦士なら、武器を使った攻撃力にプラス補正(小)、筋力と耐久にプラス補正(小)が付きレベルアップ時に、HP、筋力、耐久の成長力アップ(小)。


 魔法使いは、魔法の威力にプラス補正(小)、知力と魔力にプラス補正(小)が付きレベルアップ時に、MP、知力、魔力の成長力アップ(小)。


 格闘家は、武器を使わない攻撃力のプラス補正(小)筋力と敏捷にプラス補正(小)が付きレベルアップ時に、HP、筋力、敏捷の成長力アップ(小)。


 僧侶は、回復魔法の効果にプラス補正(小)、知力と耐久にプラス補正(小)が付きレベルアップ時に、MP、知力、耐久の成長力アップ(小)。


 ジョブにより、様々な恩恵が得られるらしい。


「ユキト君は、毎日辛くはないかい」


 アイザックさんが僕の顔を正面から見据えて聞いてきた。


 「楽しいよ!毎日爺ちゃんやバーバラ婆ちゃん、ヴォルフさんに色んな事を教えてもらえるもん!」

 「……そうか、うん、其れなら良いんだ」


 ジョブを設定した後のステータスを見てみる。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ユキト 5歳 男 人間

1.戦士Lv1 2. 魔法使いLv1 3.格闘家Lv1 4.僧侶Lv1


レベル:1

称号 :英雄の孫

HP :60/60

MP :16000/16000

筋力 :22

耐久 :26

敏捷 :32

知力 :30

魔力 :365



スキル 

武の極み 魔の極み

体力回復強化 魔力回復強化 身体強化Lv1

隠密Lv1 気配察知Lv2 心眼 気功術Lv3

回避Lv2 格闘術Lv2 弓術Lv3 投擲術Lv2

剣術Lv3 槍術Lv3 棒術Lv2

魔力感知Lv2 魔力操作Lv2 生活魔法

火魔法Lv3 水魔法Lv3 風魔法Lv3 土魔法Lv3

時空間魔法Lv1 鑑定Lv1

アイテムボックス


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 本当だ、ステータスが少し上がってる。


 「じゃあユキト君、折角なのでこのまま回復魔法の練習をしましょう」

 「…えっ!」

 「ちょっとまてよ!この後は俺の時間なんだぞ!」

 「良いじゃ有りませんか、私は時々しか来れないのですから」


 知らないうちに僕に師匠がまた増えた……。

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