第一章 種 第三話 学校にて
かなり久しぶりの投稿です。なにぶんなかなかアイディアが出てこないもので
第一章 種
第三話 学校にて
タッタッタッタ
「やばいやばいやばいやばい。このままだと今月10回目の遅刻になるぞ!」
ちなみにこれが今月10回目の登校となる。まあ明日から休みになるのだけど。
「たく整備士長殿め、なぁにが『お前は落ちこぼれなのだから経験を増やせ。俺たちは向こうで見ていてやるよ』だ。自分たちの仕事を俺に押しつけて楽をしやがって。そのせいで遅刻だよ。たく」
そう愚痴りながらも走って行った。
□ □ □
学校
ダダダダダダダダダダダダダダダッ ガラッ
「ギリギリセー「火暮、お前遅刻だ」えぇーー!!!」
ドアを開けるとそこには今まさに朝礼中だった。
「お前はもう少し早く来れないのか?えぇ?」
「なにぶん用事がありまして」
「どんな用事か知らんがなあ、八咫を見てみろ、住所はお前と同じなのにきっちり席に座って読書をしているぞ」
いや、朝礼中に読書したらいけないでしょ!
「たく、いくら明日から長期休暇になるといってもなあ。どうかと思うぞ」
「・・・気が緩みやすいときなんですよ」
「まあそれはともかく、お前一つ忘れていないか?」
一体なにを?
「10日連続で遅刻したら宿題10倍にするということを!!!」
「はっ!」
しまった。明日から一週間の間校舎の修復やら舗装工事やらで校舎が長い間使えなくなるので宿題がかなり出るんだった。ただでさえ地獄の量なのにそれが10倍とか絶対間に合わない。冗談と思っているみなさん。この先生は教育のためなら音をおいてゆくほどのスピードでテストの作成と採点ができる人間の姿をした何かです。なのでこれは冗談などではありません。
八咫の方を向いてみると「ふっ。」と哀れなものを見る目を向けてきていた。
□ □ □
朝礼の後
「はは、災難だったな月影。まさか10も連続とはな。くくっ」
「はは、全くそのとうりだね。月影くん。ぷぷ」
「お前ら俺を慰めに来たの?それともけなしにきたの?どっちなの?」
「「両方!!」」
「おーまーえーらー」
「「わ、にっげろー♪」」
突然だが紹介する。男子の方は中学1年からの親友 峰山 克己。で、女子の方は中学3年からの知り合い 春風 美音ちなみにこの2人はお互いに付き合っているリア充である。
だが、このとき火暮は知らなかった。この光景を1人の少女が見ていたということを。
宿題が10倍になるという罰で落ち込んだテンションのまま終礼の時間となり、先生が入ってきた。
「えー。明日から一週間という長い休みに入る。で、宿題のことなんだが」
どうせ俺だけ10倍の宿題なんだ。出すなら早く出しやがれ。
「楽しく過ごせ。それだけだ」
かえせー。宿題10倍とか言われて落ち込んでいた時間をかえせー。
終礼終了後
いつも通り克己と美音と一緒に帰っていると
「なあ月影」
と克己が急に真面目な声で話してきた。
「なんだ克己」
「お前好きな娘いねーの?」
ズコッ
「なんだよそのしつもん。シリアスに接した俺は何だったんだ!?」
「いや、真面目な話だ」
なぜ?と問うと
「いやな、お前ももう高2なんだ。いい加減好きな女子や気になる女子の1人や2人いるはずだ。なのにお前はそんなそぶりを見せない。なぜだ?」
「それこそおかしくねーだろ!今のところ好きな女子なんかいねーよ。そもそも俺に近寄ってくる女子とかはな美音を除いて全員八咫との仲を取り持ってという奴らばかりなんだからな」
「・・・お前も大変だな。まあそれはそれとしてこの辺でまた一週間後、美音行くぞ」
「うん、じゃあね月影くん。また一週間後学校出会おう。約束だよ」
そう言うと2人と別れた。
二人と別れてしばらく歩くと八咫が木の下にいた。気にせずに通り抜けようとすると
「おい火暮」
と話しかけてきた。
「なんだよ八咫」
「不本意だがお前に聞きたいことがある」
「なんだ?」
どんなことなのか疑問に思いながらも聞き返した。すると
「お前、同じクラスの 藤宮 冬音さんを知っているか?」
「藤宮?話したことはないなあ。それがどうした?」
「・・・いや、なんでもない。もし知り合いか友達だったなら取り持ってもらおうと思っていたんだ」
「・・・もしかしてお前藤宮さんのことが好きなのか?」
そう聞いてみると顔を真っ赤にして
「そうだよ。惚れているよ。悪いか。」
と吠えてきた。別に悪いとは思っていないのだがな。
□ □ □
そこで回想が終わった。目の前には巨大な手。後ろには崖。そして手には弾切れの拳銃一丁。克己、美音、約束守れそうにねぇわ。そういえばあの子逃げ切れたかなあ。
こんな危機的な状況にも関わらず他人の心配をしていた。
だが
ダン ダン ズドン ズドン
何かの発砲音が聞こえてきた。そしていくら待っても巨大な手が襲ってこない。ゆっくりと目を開けるとそこにはルーククラスの神の使いが倒れていた。慌てて後ろを振り返るとそこには見たことのない双銃を持った紅い士機がいた。そしてその方の部分から何かが落ちてきた。いや、正確には降りてきた。その目の前に着地してきたのは1人の少女だったのだ。それも
「どうも、先ほどぶりですね」
先程の白髪の少女だったのだ。
次回登場人物が一気に増える予定です。