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B:第一話

(・・・あれ、ここどこだ?)

(さっきまで授業を受けてたはずだけど・・・)

(眩し・・・誰だ?メイド?)

目を開けると、50代くらいのメイド姿の女性が俺の顔を覗き込んでいた。

「―――――――!―――――――――!」

謎の言語をメイドが叫び、俺を軽々と持ち上げる。

(おいおい、この女身長何メートルあるんだ?!)


そう思いながら両手足をバタバタしてみると、体の違和感に気が付く。

(・・・ん?何か手足短くね?)

メイドに持ち上げられ、そのまま別の女性に手渡される。

その女性は目に涙を浮かべて喜んでいるようだった。

「―――――――、―――――――――」

何か言っているようだったが、全く理解できなかった。

ただ、この時なんとなく理解した。

(ああ、俺多分転生したな) 


数年後。

「王子!お待ちください!」

「遅いよ!バルトス!」

俺は元気な少年成長した。

俺の転生先はオタブラ王国という国の第三王子に転生していた。

バルトスは俺専属の執事、生まれたときからずっと俺の面倒を見てくれている。


俺は今年で13歳、大した病気も怪我もなく成長した。

今から俺の日課の魔術の勉強。

魔術は自分が作りたい魔法を一から設計して構築する技術。

仕組み自体は魔法と大差ないが、魔法と違いゼロから術式を構築する必要があるためより技術と知識が必要になる。

もちろん魔法を使うのにも技術や知識は必要だが、魔術は比較にならないほどの知識が必要になる。


だからこうして毎日のように魔術書を読むために城の図書館に通っている。

「王子!本日は剣術の稽古が・・・・」

「興味ない!断っておいて!」

「そ、そういうわけにはいきません!」

(剣術の稽古も楽しいんだけど、打撲で体が動かなくなるから嫌なんだよな・・・・)

(仮にも王子なのに、剣術の指南役は全く手加減しない鬼だし)


「剣術の修行なんていつでもできるだろ?図書館は夜は警備で入ることができないんだからこっちが優先だ」

「剣術の指南役にも予定というものが・・・」

「どうせあのおっさんの予定なんて剣術の指南か警備くらいだろ?俺に教える時間が王国の警備時間に当てられるんだからその方がいいだろ」

「そ、そういう問題では・・・・」


「その通りですな、王子」

「げ」

図書館の扉を開くと、すでに例のおっさんがいた。

「本日は剣術の稽古のはずですが、図書館に何の要件ですかな?」

「あ、あ、わ、忘れ物が・・・」

「ほう、では忘れ物を回収したら一緒に稽古に向かいましょう」

「は、はい・・・」

俺は適当な本を忘れ物だということにして手に取り、剣術の稽古場に向かった。


俺の剣術の師匠の名前はヨセフ・マクベイ。

一言で言うと鬼。

噂では元殺人鬼だとか、元暗殺者だとか言われているが真偽は不明。

剣術の実力は本物だが、手加減を知らないのか王子である俺相手にも遠慮なく攻撃をしてくる。

「本日は実戦訓練の日です」

「は、はい・・・・」


実戦訓練、その名の通り実際に剣(木刀)を持って相手と戦う。

いつもは剣術の型や人形相手の打ち込み稽古がメインだが、定期的に実践稽古をやらされる。

これがきつい、対格差があるうえに経験の差がありすぎて俺では全く相手にならない。

いつも一方的な暴力で終わる。

「本日の相手は私ではありません、メリア様どうぞ」


ヨセフが声をかけると、稽古場の近くの部屋から美しい見た目の少女が現れた」

「メリアです、本日はよろしくお願いします」

「カスフォード家の令嬢のメリア様です、本日はメリア様と実践訓練をしていただきます」

「わ、わかりました」

(ラッキー、師匠が相手じゃないならまだ戦いになる!)


「オタブラ王国第三王子ジナイプ=オタブラです。本日はよろしくお願いします」

「カスフォード家のカスフォード=メリアです。よろしくお願いします」

「それでは互いに構え」

メリアが構えるのを見て、俺は少し身構えた。

(師匠の構えにそっくりだ・・・)


少女の見た目に気を取られ、完全に油断していた。

師匠が用意した訓練相手だ、弱いハズがない・・・。

「はじめ!」

師匠の合図と同時に、メリアがいきなり突っ込んできた。

(師匠と全く同じ動きだ!)


俺はとっさに魔術を発動して回避する。

「バウンド!」

バウンド:円上のタイルを作成し、それに触れた物を反対方向に弾き返す魔術。

「え!?」

一瞬で高所に移動した俺を見て、メリアが驚く。

「ふん!」


空中で再びバウンドを発動し、メリアの脳天めがけて剣を振り下ろす。

「ぎゃ!」

かわいらしい声を上げ、メリアが地面に顔面から崩れ落ちた。

「しまった・・・」

動きが師匠と似ていたせいで、師匠を相手にしているつもりで本気で攻撃してしまった。

「だ、大丈夫!?」


倒れたメリアに近づこうとしたところ、メリアがいきなり切りかかってきた。

「うぇ!?」

とっさに木刀でガードをしたが、踏ん張りが足りず後ろに倒れそうになる。

「バウンド!」

背面にバウンドを発動し、とっさに前方に上体を起こし、剣を押し返す。

「やりますね・・・」


頭からを流しながらメリアが睨みつけてくる。

(こ、怖い・・・)

「そ、そちらこそ」

流石師匠が用意した相手、そう簡単にはいかないか・・・。

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