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第一話

はじめまして(*^^*)

数ある作品の中からこの物語を読んで下さり、ありがとうございます!

少しでも楽しんで頂けましたら幸いです。

尚、この物語は他サイトでも掲載中のものとなります。


 目の前に広がる白を基調とした美しい屋敷。

 瑞々しい花々が咲き乱れ、整えられた庭。

 格式高く重厚でありながらも、優雅さも兼ね備えた門。


「可愛い妹よ、兄は帰ってもいいかい?」


「敬愛するするおにーさま、可愛い妹を捨て置いて自分だけ敵前逃亡なさるおつもりですか?」


 まるで別次元じゃん……と同じ感想を抱いた兄妹がいた。


「だってムリじゃん!別次元じゃん!

 え?なにあのキラキラした建物?

 建物がキラキラしてるって何?

 意味わからん、そんなもん俺には対応ムリ!

 産まれてこの方、山川、谷や荒地を駆け回る野性的な生活を送ったことしか無いオレにはムリ!

 こちとら一山いくらの男爵イモ……じゃなかった、こないだ親父ってば伯爵になったんだっけ?

 取り敢えず、お芋なオレは対応困難、無理難題!

 断固ノーサンキューだよ!」


「そんなの私だっておんなじ気持ちですよ!

 ムリとか全面拒否せずに最初の一歩くらい可愛い妹のために盾になってくださいよ!

 いいですかっ!

 私はあんなキラキラした家にこれから住まなきゃなんですよ?!

 来るもの拒まず、去るもの追わずと噂の女好き公爵の妻になって、あろうことか公爵夫人ですよっっ?!

 こんなイモ娘を正気ですかっ?!

 ぶっちゃけ花瓶やカーテンに怖くて触れないし、絨毯なんか踏んで良いのか迷う生活を送るんですよ?!

 そんな不憫で可愛い妹の事を思えば、断固拒否なんて言えますかっ?!」


「あー……うん、まあ……なんだ?

 どんまい、可愛い妹よ。

 噂の公爵閣下との素敵な結婚生活を祈っとくよ」


「めっちゃ他人事?!」


 美しい屋敷、公爵家の目の前に停まった貴族向けではない一般的な馬車。

 降りてきたのは平民よりは整った身なりの兄妹だった。


「……ギルバート・シュバルツ様、並びにルシア・シュバルツ嬢、お待ちしておりました。

 ブランシュ公爵家の執事長を任されております、アストル・セバスチャンと申します。」


 美しい屋敷の前で小声なのに騒ぎ立てるという技を発揮する兄妹の側に影が落ちる。


「初めまして、執事長殿。

 とても素敵なお屋敷ですね。

 田舎者の自分達にはあまりに眩くて驚いてしまいました。」


「初めまして、執事長殿。

 これからよろしくお願いします。」


 ピシリと糊が効いた執事服を着こなす、如何にも出来る男と言った雰囲気を纏っている執事長。

 恭しく礼を取る執事長に対して、騒いでいた姿など瞬時に打ち消して何事もなかったように答える兄妹。


「ありがとうございます。

 旦那様の下までご案内させて頂きますので、どうぞ此方の馬車へとお乗り下さいませ。」


「「(……門から屋敷まで馬車で移動……!?

 しかも、すっごい高そうだし、乗って来た馬車との余りの違いにめまいがする……!)」」


 門の側に準備された馬車の豪華さに、自分達が乗って来た馬車との格の違いを見せ付けられて衝撃を受ける。


「大変申し訳無いのですが、父より事前の挨拶は既に交わしていると聞き及んでいます。

 可愛い妹をブランシュ公爵家の前に送り届けた後は速やかに帰宅するようにときつく!

 そう、きつく言われておりますので、私は此処で失礼をさせて頂きます!」


「お兄様……私、さびしいです……(置いていかないでっ!)」


「大丈夫だよ、可愛いルシア。

 今生の別れでは無いのだから、何時かまた会えるよ(許せ、妹よ……兄ちゃんは自分の身も可愛いんだ)。」


 潤んだ瞳で見上げるルシアの言葉に応えるが早いか、さっさと乗って来た馬車に飛び乗り走り去っていくギルバート。


「シュバルツ嬢、よろしいでしょうか……?」


 寂しげな雰囲気で兄が乗った馬車を見送るルシアへ執事長が声を掛ける。


「お待たせして申し訳ありませんでした、執事長殿。」


 執事長の気遣わしげな声音に応えつつ、ルシアの脳裏には馬車に飛び乗る寸前の兄の言葉があった。


「私は大丈夫ですので、ご案内をお願い出来ますか……?」


 そう、無害な田舎者を装った兄との常人には聞こえない……幼い頃より叩き込まれた一族伝統の会話方式。


「(……任務を忘れるな……か。

 ええ、ええ、忘れませんとも!

 全ては王家、即ち王国に生きる民のため。

 我が忠誠、我が血肉、我が命。

 この国に生きる者達のために捧げましょう!

 ……それが、我ら黒薔薇を冠する隠密一族の宿命なのだから!)」


 執事長に促されながら馬車に乗り込むルシアは思い返す。


 そう……どうして公爵と婚約する(こうなった)かと言うと、月日は一ヶ月ほど遡るのである。


 

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

もし少しでもお気に召しましたら、この物語が完結するまでお付き合いを頂けますと大変嬉しいです!!

どうぞ宜しくお願い致します。


なお、令和7年9/20の時点で他サイトで五十話を超えて掲載中となっておりますm(_ _)m

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