表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/36

好き、じゃないです!

「お腹すいた、あ……いいところにご飯が落ちてる」


 江口先輩はさも当たり前のようにそういいながら私のところへやってきて、どこからか箸はしを取り出し――テーブルの上で冷ましていた作りたての生姜焼きをつまみ食いした。


「……落ちてはいないですよね?」


 さすがに解げせなくツッコミをすると、江口先輩は軽く笑う。「こっちの方はどうかな」とさらに追加で食べる。


「これちょっと塩が薄いなぁ」


 しかも文句を!?


「食べた箸ではやめてください! それに、江口先輩のために作ったんじゃありません」


 不満を露あらわにし、タッパーのふたを閉めた。


「え、もうダメなの?」

「好みが合わないようですし、別に食べていただかなくて結構です」


「じゃ、こっちで」


 冷ましている他のタッパーにそのまま箸を突っ込もうとしたので、「ダメです」と取り上げる。


「え、どして」


 どうしてもなにも。すべてツッコミどころがある。


「ダメといったらダメです。こちらは毒入りですので、食べれません」

「下手な嘘を。いいじゃん、もうちょっと食べたいんだけど? さっきの生姜焼きでもいいよ」

「……全部毒入りになりました、食べさせません」


「俺には冷たいね? ……やっぱり瑛太狙いじゃん」

「どうしても清水くん狙いだといいたいようですね……」


「だって、他の男はダメなのに瑛太の誘いはホイホイついていくじゃん。それに最近、あいつの付き合いが悪いんだよね。あんたのせいでさ」


「誤解を招く言い方はやめていただけませんか。最近の清水くんの付き合いについては知りませんが……とにかく、そんなにしょっちゅうは誘われてません。確かにこれから清水くんと課題をやりますが」


「……二人きりで? まさかあいつの部屋で?」


「それがどうかしましたか? 今までユキちゃんとやっていたのに、それができなくなりましたし」


 それに今まで互いの部屋に何度もいったことはある。何を今更、というのが本音だ。


「……ふぅん。やっぱり、か。ところで美奈ちゃん」

「なんですか?」

「いくらあっちが手を出さないから、って襲わないようにね」


 あり得ない、何をいっているのか、ふざけないで欲しい――という感情がない交ぜになって茫然ぼうぜんとしている私から――、江口先輩は満面の笑みで――生姜焼きのタッパーを丸ごと掻っ攫さらっていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ