3章
*登場人物
・山本しょうた(主人公)
20歳、大学生。奥手でありながらプライドも高い。親と子、3人家族。父親は公務員、母は専業主婦。単発バイトでお金が無くなった時だけ働く。
・宮内ダイチ(大学の友達)
しょうたの大学生の友達。同い年。大学デビューで自身の本来の明るさを出し始めた。性格は少し天然であほ、しかし素直、行動的である。連絡できる友達も多い。
・岡田遥(大学の可愛い女の子)
しょうたが可愛いと思っている女の子。適度にノリも良く男女関係なく仲良く話すことが出来る。居酒屋でバイトをしており、同僚のたくみを気にかけている。
・小島洋子(遥の友達)
遥の友達。まじめで大人しく将来のこともしっかりと考えている女の子。恋愛したい気持ちもあるが今は勉強が大事だと思っている。
・ユウタ
しょうたの高校生の同級生。ミディアムヘアの同族男子。
・未来
ラブメイトランド相談員。しょうたの相談相手。
いつも通りつまらない大学の授業を退屈をしながら聞いていた。無音の通知、スマホに連絡が入った。高校の同級生だったユウタからだった。
「元気?今学校?」。久々の連絡。不定期ではあるが連絡は取っていた。「大学進学してからも遊ぼう!」と言い合ったがほとんど遊べていない。嫌いになった訳ではない、ただタイミングがないだけ。前はあれほど遊んでいたのに今は全くだ。人間結局は近くにいる人と生活していくんだなと心から思い知らされる。
「ぼちぼち、学校だよ。そっちは元気?」。すぐに返事が来た。「こっちもぼちぼちだよ。大学生活もまあ楽しくやっているよ。」「そう、良かったね。俺は相変わらず鬱々としながら生活しているよ(笑)」。又すぐに連絡がきた。どうしたのだろう?いつもよりすごい返信が早い。
「相変わらずだね笑。でもその変わらない感じが何かほっとするよ。」「それは良かった。鬱々してる俺は良くないけど笑。」「そうか笑。そう言えば、これはいちいち言うことでないんだけど彼女が出来た。」
「えっ・・・。」。思わずぎょっとした。本当にほんの少し血の気が引いた。ユウタは自分と同じさえない奴だった。高校時代女性ともあまり絡んでいなかったし、正直そこまでパッとしないやつだったし。いつかはお互い出来るかもなぁとは思っていたけど、まさかこんな早くできるとは。
「えー、そうなんだ。良かったじゃん。」
自分が動揺しているのがばれない様に、簡単に素早く返信した。「まあね。(笑)正直嬉しい。そっちはどう?」「いや、できてないね。」「そうなんだ、まあ人それぞれのペースで作れば良いよね。」
久々に連絡してきた理由が分かった。彼女が出来たのが嬉しくて自慢したくてしょうがないのだろう。言葉の端々からそんなエネルギーが満ち溢れていた。とはいえ好きなやつだし、ここは色々と持ち上げてやろうと思った。
どこで出会ったの?同い年?どんな感じでアプローチしたの?デートとか行った?等色々と聞いてやった。ユウタは明らかに楽しそうに、まるで経験値が豊富になったかのようなメッセージを沢山送ってきた。正直その話を聞いても全くと言っていいほど楽しくはないが友達だから付き合ってやった。メッセージが送られてくる度に心理的ダメージが募っていく。トドメには頼んでもいないのに出かけ先の2ショットの画像も送られてきた。画像を凝視し、すぐに目を離した。ぼちぼち可愛い子だった。「じゃあ又連絡するね。」「うん、それじゃあ。」。授業の方に目を向けたが当然授業に集中できなかった。
心が少し熱い、じわじわと悔しさが自分を内側から侵食してきていることが分かった。