13章
*登場人物
・山本しょうた(主人公)
20歳、大学生。奥手でありながらプライドも高い。親と子、3人家族。父親は公務員、母は専業主婦。単発バイトでお金が無くなった時だけ働く。
・宮内ダイチ(大学の友達)
しょうたの大学生の友達。同い年。大学デビューで自身の本来の明るさを出し始めた。性格は少し天然であほ、しかし素直、行動的である。連絡できる友達も多い。
・岡田遥(大学の可愛い女の子)
しょうたが可愛いと思っている女の子。適度にノリも良く男女関係なく仲良く話すことが出来る。居酒屋でバイトをしており、同僚のたくみを気にかけている。
・小島洋子(遥の友達)
遥の友達。まじめで大人しく将来のこともしっかりと考えている女の子。恋愛したい気持ちもあるが今は勉強が大事だと思っている。
・ユウタ
しょうたの高校生の同級生。ミディアムヘアの同族男子。
・未来
ラブメイトランド相談員。しょうたの相談相手。
気づけば11月。コートを着た女性、空が白く乾燥してきた事が目につき季節を強く感じるようになってきた。学校で彼女と自然とあいさつしたり話したり出来るようになっていた。全然気楽に話すこともあり、正に友達という感じになっていた。彼女のファッションも変わってきていた。ニットを被ったり、マフラーを巻いたり、より女の子らしい可愛い雰囲気になっていた。しかし好きな人がいるという事が引っ掛かり彼女を見てもあまりテンションは上がらない、見れば見るほどどこかむなしい気持ちになっていた。バイト先ということは自分より関係が濃いと思うし何となく勝ち目がないと思ったからだ。より親密なコミュニケーションを取っているであろうと思う、性格上悔しさよりも諦めのほうが断然強かった。自然と意識しているのか大学の中の男女で連んでいるのがやたらと目については少し辛く感じる様になった。
本当に自分が出遅れたのを強く感じる様になった。そもそも出ようともしてなかったのだが。ただ、彼女の事は引っかかっていた。聞いた感じでもその男がすごい好きかというと微妙な感じもあるし、もう少し何とか出来るのではと思っていた。これまでの流れでダイチに相談したのは普通の流れだった。ダイチ曰く「少し強引に行く位がいいんじゃない?経験無いからあんまり人のこと言えないけど(笑)。」「まあ確かにね。考えてみるよ」。「是非今度ご飯行ってください!行きたいです!」というメッセージをを送れば?前はそれで行けたわけだから。」「それは皆で一緒だったからであって、二人でとなれば又変わるよ。」「まあな~、なかなか難しいな。」。ダイチが疲れてきたのを感じたのでここで打ち切った。メッセージを送りたい気持ちがあるがどうにもやる気が出ない。好きな人がいると言う言葉がリフレインしてくる。何とか出来ないものか。正直ダイチよりも女性に相談出来たのなら良いのだけどあまりそういったことを相談できる人も居なかった。「そういうサービスとかってあるのかな?ないか。」。何となくネットで恋愛 スクールで調べてみた。すると思った以上にその様なサイトが出てきた。サイトを開くと微妙なデザイン、やる気の見えない感じがあった。電話相談で1分200円とか、メール1通数千円、を取るとのこと。顔写真も載っているがどこにでも居そうな女性や男性ばかりだ。高い、アホらしい、何でこんな誰かも分からない人に対してお金払わないといけないんだ。そう思いすぐサイトを閉じた。
何となしにメールを開けると出会い系アプリを登録したせいか広告メールが定期的に来ていた。何となしにそれらのメールを開けたりして何が書いてあるのか見ていて。あるメールを見た時「恋人が作れる!」という文字が目につき何となく開いてみた。「好きなあの子に気持ちを伝える、誰もが素直に恋愛できる」、かわいい女性の写真と一緒に文字が添えてあった。恐る恐る開くとそこにはラブメイトランドと書いてあった。「ラブメイトランド。何だそりゃ。」。ざーと概要を見ていく。月額980円で女性が直に恋愛について教えてくれる、初月無料、更に中を見てみた。色々と書いてあるが基本はメッセージ間のやり取りによる恋愛相談アプリらしい。
①今の悩みを書く
②サイトからその悩みに適しているであろう女性のプロフィールを3名送られてくる、
③好きな人を選ぶ
これが最初のステップだそうだ。好きな人を選んだらサイトの掲示板でやり取りできる。最安コースの場合は週に2日、5回、文字制限ありで連絡が取れるとのこと。プレミアム会員では個別相談というものがあり、直にご飯を食べながら相談できるとのこと(ご飯代、電車代は実費)。サイトもちゃんとしており解約の方法もしっかりと書いてあり少し良心的だと感じた。初月無料という所に目が行っていた。「んー。まあ1ヶ月・・・。解約すれば大丈夫か。変なサイトだったら怖いが」。うんうんと唸り、とりあえず1ヶ月だけ登録しようと考えた。登録ボタンを押すと名前や住所を入力する欄が出てきた。入力を終え送信をおするとすぐに返信のメールが送られてきた。中のリンクを押せば登録完了。次は現在悩んでいることについて最初に150文字以内で送るらしい。しっかりと相手に伝わるように熟考して内容を考えた。
「同じ大学にいる女性が好きだけど向こうにはアルバイト先に好きな人がいる。連絡先は知っており一度男女4人で食事には行っているがそこまで個人的には連絡していない。ただの友達であり異性としては見られているとはあまり感じていない。彼女はキリッとした顔の美人で性格も芯がありしっかりとしている。頭も良い。互いに経済学部。自分はあまり自信があるタイプでなく、出来たら器用に彼女をデートに誘い、出来たら恋人になりたい」。ジーっと文面を見て確認し送信ボタンを押した。数分経つと返信がきて1週間以内におすすめの女性リストを送るとのこと。終わった後に何をしているんだかと思った。こんなのに頼るなんて絶対ダイチには言えないなと思いながらもスマホをいじり時間をつぶしていた。