10章
*登場人物
・山本しょうた(主人公)
20歳、大学生。奥手でありながらプライドも高い。親と子、3人家族。父親は公務員、母は専業主婦。単発バイトでお金が無くなった時だけ働く。
・宮内ダイチ(大学の友達)
しょうたの大学生の友達。同い年。大学デビューで自身の本来の明るさを出し始めた。性格は少し天然であほ、しかし素直、行動的である。連絡できる友達も多い。
・岡田遥(大学の可愛い女の子)
しょうたが可愛いと思っている女の子。適度にノリも良く男女関係なく仲良く話すことが出来る。居酒屋でバイトをしており、同僚のたくみを気にかけている。
・小島洋子(遥の友達)
遥の友達。まじめで大人しく将来のこともしっかりと考えている女の子。恋愛したい気持ちもあるが今は勉強が大事だと思っている。
・ユウタ
しょうたの高校生の同級生。ミディアムヘアの同族男子。
・未来
ラブメイトランド相談員。しょうたの相談相手。
「すいません、急に連絡を聞いて」。「いえ、大丈夫です」。「今度一緒に学食食べるの楽しみにしてます!又連絡します」。「分かりました」。
ダイチと解散した後メッセージを送っておいた。内容はダイチに少しアドバイスをもらい考えた。なるべく簡素に、無駄にメッセージを送るのはやめておいた。部屋で送信ボタンを押す前指が硬直した様に押す事が出来なかった。メッセージを何度も確認してから送信を押した。彼女からメッセージが届いた時凄く嬉しかった。心の底からテンションが上がった。
そして今日はそれよりも更に上がっている。学校に行くのにこんな幸せな事があるのか?足取りも浮いてる様に軽くスイスイと前に進んでいた。何故なら今日学食を一緒に食べることになっているからだ。本当に展開が早い、あれから数日でまさかここまで来るとは、その後彼女から改めて連絡があり、「友達を連れて行っていいですか?」「もちろん!全然大丈夫です!」というやりとりをした。授業後学食で待ち合わせることにしている。
充実した大学生活を送っているなぁと感じていた。友達の子か。可愛いのかな?いやいや、俺は岡田さん一筋だ。訳のわからない一途さを秘めながら学校に向かっていた。
いつも通りの退屈な授業を受けている、この後食事会があるので目はバッチリ覚めていた。コレが終わればいよいよだ。どんな感じになるんだろうか。チャイム終了の音が鳴った。荷物をしまいすぐに食堂に向かった。他の学生も食堂に集まっておりすこしごった返していた。「おう!」。ダイチと食堂の前で待っていた。「彼女達は?」「いや、まだ来てないっぽい。てか先に席をとった方が良いんじゃない?座るとこ無くなるよ?」「そうだな。そうしよう。」。急いで中に入り席を確保した。窓側の4人席の所、窓からは少し木や緑、学校の裏側が見える所だ。
荷物を置きながら入り口を見やる。とりあえず座って待つことにした。「変なこと言うなよ。」「大丈夫だよ、お前もノリ良くしろよ」。お互いの悪いところを指摘している、二人の性格が中和して良い感じな気がした。二人で入り口に目をやっていると二人の女性がやってきた。「あっ!来た!こっちこっち!」。手を振るもこっちに気づいていていない。「迎えに行こう。」。俺が言うとダイチは更に大きく手を振った。他の学生の目にも留まり恥ずかしかったがおかげで女性陣も気づいた。二人は少し気まずそうに笑ってやってきた。「どうぞ、こちら!」「はい」。「この席でいいですか?」「あっ大丈夫です。」二人の女性が座り荷物など置いたらお互い目を合わした。一瞬時間が止まりそれに皆んな吹いて笑いつつ改めてこちらの自己紹介をした。「すいません!改めて俺は宮内ダイチです。経済学部です。よろしくお願いします。」「どうも、よろしくお願いします。」女性陣二人が声を合わせた様に返答する。「ほら、次はお前。」「あっ、山本しょうたです。同じ経済学部です。いきなり連絡聞いてすいません。よろしくお願いします。」「お願いします。」こちらが目配せしていると「あっ、じゃあ私。岡田遥です。私たちも経済学部です。よろしくお願いします。」。俺ら二人は拍手をしお願いしますと言った。「小島三久です。はじめまして・・、よろしくお願いします。(笑)」。同じ様に拍手をし小島さんを迎え入れた。セミロングの黒髪、ジージャンにブラウンのスカート、奥二重な優しい黒目、少しかわいい大人しそうな感じの人だった。岡田さんは濃いグリーンのニットに濃い色のジーンズとシンプルであった。いつも通りしっかりと化粧しておりとても可愛かった。「ではどうしましょうか?・・・とりあえずご飯取りに行こうか?」。学食だからまずご飯がないと始まらない、ダイチのキャラに女性陣達は笑いつつ男性女性と別れてご飯を取りに行った。「いやー緊張するな。」「そうだな。」そう話しながら俺はカレー、ダイチは担々麺を選んだ。こんな時でもラーメンを選ぶ所がこいつらしい。席に座り待っていると女性陣二人が戻ってきた。二人とも和風パスタであり、そのセレクトが女性らしいなと何となく思った。
「それではご飯食べながら話しましょうか?」。ダイチの不器用な司会進行に笑いつつみんなでいただきますをした。
「学食が変わりましたね~」。「そうですね」。「秋フェアか、もうそんな季節だもんな」「秋の割に秋感はないよな。」「確かに。笑。」女性二人が俺の言葉で笑ってくれて嬉しかった。「二人はゼミは同じとか?」「そうです、1年の時も同じで。」「俺たちも1年から同じですよ。それで仲良くなって。サークルとか入ってます?あっ、岡田さんは入ってないのか。」「はい、何かノリが強いと言うか、少し引いてしまって。色々見たけど入らなくていいやって。」「あー、なるほど。小島さんサークルは?」。「バイトが忙しくて入ってないです。いくつか見てみたけど私もなんか合わないなって笑。」。大学ライフに染まってない感じがますます魅力的に見えた。話してみると幾つかの授業で各々被っているのが分かった。「僕らも同じ授業ありますね」。「そうですね、わりかし近くに座ってますよね(笑)」。「そうですね(笑)。話すことになるとは思わなかった。」「あの授業退屈ですよね。結構苦痛。笑」「分かります。あの覇気のない先生の声で眠くなる。笑」。他の受講生も同じ心境だと思うが2人で共感しているのがやたらと特別に感じられた。「そういえば夏帆ちゃん好きなんですよね?俺らも好きなんですよ」。「はい、推しです。とにかく可愛い。ダンスも華麗で好きですね。メイクとかも勉強になると言うか。」「メイクとか参考にしているんだ、女性は見方が違うな〜。小島さんはアイドルとか好き?」「私は特別この子が好きとかないですね。でも可愛いなと思います。今すごい人気ですよね。」「ねー、凄いですよね。どれだけ経済回しているんだろうって感じ。」。皆んな良い感じで話を進めている。意外とうまく行っているなと感じていた。
「彼氏いないんですか?」。
ダイチの言葉に思わず殴って突っ込んだ。「聞くかそれ?」「え?ダメでした?ごめん」。女性陣は笑いつつお互い目配せをして、岡田さんが口を開いた。「いないです。私は。」「私もいないです。」。小島さんも首を振りながら答えた。「そうなんですか!そうですか(笑)」「何を笑っているんだよ」。ダイチの謎の安堵に強く叩き突っ込んだ。「二人はどうなんですか?」。岡田さんが笑いながら聞いてきた。「俺らも居ないっすよ!欲しいですけどね~。」「そうね。確かに欲しい。」。岡田さんの視線がこちらに向き少し緊張した。「コンパとか行ったりしてます?」「ゼミの飲み会は時間があれば参加するかなぁ。2回位出ましたね。」「私もそんな感じ。二人で参加したね。」「うん、駅前の居酒屋でね。だらだらと飲んだ笑。」「最終的にはだらだらとした空気感になりますよね。どこのゼミもあまり変わらないか。」「そうですね、授業後で疲れているし。」
ごたごたとその話に差し掛かった時に「そうだ、授業ちょっと早いんだよね?」岡田さんが小島さんの方を見て言った。「そうなんです、ちょっと今日の授業課題の発表があって。少し準備が必要で。本当にすいません。」「いやいや、全然大丈夫です、なあ?」「うん、それはしょうがない。もう言った方が良いなら行っていいですよ。岡田さんも。」「・・・じゃあとりあえず今日はここで。」「はい、大丈夫ですよ!」二人はパスタを平らげて席を立ち上がろうとした時ダイチが言った。「あ!小島さんも連絡交換していいですか?!」「今言わなくていいよ!」。女性陣二人は笑った。「あっ、良いですよ。」「分かりました。じゃあどうしよう・・。」「あっ、それなら私から後で送りますよ。」。岡田さんがさりげなくフォローしてくれた。「じゃあまた!今日はありがとうございました。」「はい、それじゃあまた」女性二人は食器を片付けに行った。
どさっと座り疲れながらもダイチが言った。「上手くいったかな?二人結構笑っていたけど。」「確かに笑っていたけど、どうだろうな。微妙かもな。と言うか彼氏いるか急に聞きすぎだよ!」「そう?お前は大袈裟だよ。普通の会話だよ、二人も普通に話していたし。それよりいないじゃん!良かったじゃん。」「まあそうだけどさ。んー。」。二人とも何とも判断ができない状態で二人の表情や態度を振り返っていた。そんなこんなしているうちに次の授業の時間も迫っていた。「そろそろ俺らも行こう。」そう言って急いで片付け二人とも教室に向かった。
次の教室に入り疲れていたのか静かに座っていた。授業を受けながらも幸せな気分が漂っていた。彼氏が居ないという情報もそうだけど、話せたことがただただ嬉しかった。ダイチとスマホで次はどうするか馬鹿みたいに連絡を取り合った。ずっと楽しい気持ちが続いていた。
ふと我に帰り、結果だけ見るとダイチの協力はとてもありがたかった。ダイチはバカだけど勢いが凄い。女性を捕まえる可能性はダイチの方が高いのかなと思い、少し悔しかった。