【なろう小噺】ドラゴンスレイヤーで竜を屠りたい
ドラゴンスレイヤー?
ああ当然、知ってるぜ。暁のように輝く刀身。鋼をも裂く切れ味。柄の宝珠には火伏せの通力が籠もっていて、魔法どころか竜の吐息すら寄せ付けない。天下随一の魔剣だろ。
確かにドラゴンスレイヤーがしかるべき戦士の手にあれば、いにしえの竜すらも簡単に切り伏せられるだろうね。
どうした、竜を切ろうってのか。どの竜だい。西の火竜か。南の海竜か。ああ、やっぱり東の黄金竜を狙っているのか。
百年に一度、目覚めてはその時代に最も栄えた都市を襲い、金銀財宝を根こそぎ巣へさらってゆく。あの欲深ドラゴン。
千年の間に抱えた財宝はどれだけか分からないんだ。そりゃあ腕に覚えのある冒険者なら一度は挑みたくなるわな。ぜひとも頑張ってくれ。
そうさ。十年前に焼かれた都の、俺は生き残りさ。
いや実は俺も今じゃこんな身なりだけどな。昔は貴族だったんだぜ。羽振りも良くってさ、随分と宝を持っていたもんだが、全部あのクソドラゴンに盗まれちまった。
で、ドラゴンスレイヤーがどこにあるかって?
ああ、確かに持っていたけどな。黄金竜に盗まれちまった。金と間違えたんだろうな。今頃は抱えた財宝のどこかにあるんじゃないか?