表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/28

社会的抹殺天使

なんとか遅刻はせずに済んだものの、僕の頭の中はずっとパニック状態が続いていた。


そしてそれは朝のホームルーム中の今も続いている。何故なら。


「転入生の天宮レティシアと申します。皆さま、何卒よろしくお願い致します」


清楚な制服を身につけた天使が、先生の横に立っていたからだ。


なぜ。なんで。なに。


僕の思考回路が白くなる。さすがに天使の翼は出していないが、輝く金色の長い髪も黒々とした瞳も家に置いてきた彼女そのものなのだ。


天使が転入生ってなんだよ……どういうことなんだよ……

僕だけじゃない。レティシアのあまりの美貌、清冽としたオーラにクラスメイトたちはざわつき、釘付けになっている。これでもし彼女が僕に話し掛けてきたら、クラスのカーストでは決して上の方にいない僕は社会的に死ぬだろうなと直感したそのとき。


「えー、天宮の席は月城の隣だな」


その担任の一言がトドメ。


さらさらと砂になりそうな僕を見つけると、彼女はぱっと顔を輝かせて駆け寄って来る。


「創人さまっ。お会いしとうございました!」


嬉々として美しい声を上げる転入生に、ついでに僕に、全員の視線が集まる。


「ご安心くださいませ。これからのわたしは昼も夜もあなた様のおそばにおります。はい、お忘れになった鍵も閉めて参りましたのよ。これからよろしくお願いしますね、わたしの大切な創人さま」


とろけるような微笑。

甘美な動作で取り出す僕の部屋の鍵。


僕は、社会的に、死んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ