デートの誘い
白い小鳥が夕闇を裂くようになめらかに飛び、ベランダに着地する。
そして美しい少女の姿へ変身すると、彼女はこんこんと窓をノックした。
「おかえり、レティシア」
窓を開けると天使様は僕に抱き着いて頬ずりをする。
「ただいま帰りました、あなた様。悪魔とのお話はどうでしたか?」
「はぐらかされてばっかりになると、思ってたけど……案外素直に話してくれた」
レティシアを部屋へ招き入れると、僕は悪魔の語ったことをすべて話した。次の満月がタイムリミットであるということも。
「時間がありませんね。あと3週間もないではないですか……!なんとか契約を破棄しなくては」
「天界に行ってきたんだろう?契約の破棄に役立ちそうな書物は見つかった?」
「申し訳ございません、今日だけではさすがに……膨大な書物がありまして。明日は学校もお休みですし、もう一度天界に行って参りますね」
僕を安心させようと微笑む姿は健気そのものだ。僕は笑い返して、今夜はカレーだよと告げる。レティシアは無邪気に喜んでくれた。
あと3週間もない。
それでも僕らは諦めない。諦めたくない。
共に生きるために足掻くと、決めたからには。
「レティシア、その、明日は天界に行かずに僕に付き合ってよ」
「なぜです?あと3週間もないのですよ?なんとか打つ手を見つけ出さないと……」
「デートがしたいんだ」
そう告げると、レティシアは長い睫毛を瞬かせた。
「デート……ですか?」
「うん」
「あなた様からのお誘いでしたら断れませんね!どちらへ参りますか!?」
「うん。あのね、」
行き先を述べる。
するとレティシアは神妙な顔で首肯し、わかりましたと呟いた。
明日、僕らは出掛ける。
ちょっとしたデート…それから、両親の墓参りに。




