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約束

「ここですか!創人さま!ここがよかったのですか!」

「ちょ、ちょっと、レティシアストップ!擽ったい……!」


帰宅するなり廊下で押し倒され、僕は悪魔にキスされた首筋をレティシアの指先でえいえいと突かれていた。


「悪魔のキスの上書きはわたしがいたします!動かないで下さいませ!」

「動くのは君がくすぐるからだって!」

「くすぐってなどおりません!もう!だったらわからせるしかないようですね!あなた様が誰のつがいの鳥なのか!」


ふいに真上を向いた瞬間、レティシアの美しい顔が近づいていた。桃色の唇が僕の唇に重なる。


驚く僕の、ほんの少し開いた口の隙間から、やわらかな舌が捩じ込まれる。そうして舌を絡め取って、くちくちと音を立ててキスが続く。


「っ、レティシア、やめ……」

「やめません……んん、」


じんじんと脳が甘く痺れる。唾液が絡んで何度も角度を変えてくちづけは行われる。小鳥のように可愛らしいものじゃない。僕を喰らってやるとでもいうような、彼女らしくない獰猛さがそこにはあった。


そして。


「あなた様……昨日の続きをいたしましょう。わたしをあなた様のものにしてくださいませ」


いつの間にかレティシアの胸元は開けて、白く光り輝くような肌がさらされている。


下着に包まれてもなおわかる、豊満なそれに、目が本能的に釘付けになった。


「触れてくださいませ、……あなた様……」


甘い声に理性が飛びそうになったが、なんとか押しとどめることに成功する。


「レティシア、落ち着いて。僕らにはまだ早いよ」

「だってわたしたちはつがいの鳥、恋人同士ではないですか?わたしを不安にさせないでください」

「お願いだから落ち着いて」


可愛らしく憤る彼女を抱き締めて、僕はなだめすかすために髪に触れた。絹みたいな綺麗な髪に。


「君を大切にしたい。だから、そういうことは僕と悪魔の契約がきちんと御破算になって、二人でハッピーエンドを迎えてからにしよう。そのときは……その、たくさんしてあげるから」


言いながら頬が熱を持つ。

なんて恥ずかしいことを言っているんだ、僕は。


レティシアはそのまま暫くじっとしていたが、そっと僕の胸板を押し返し、上目遣いに見上げた。


「はしたないと、思われました?」

「いいや」

「では、約束してくださいます?すべてが解決したそのときは、と」

「もちろん」


レティシアの左手をとり、僕の右手の小指と絡ませる。


「ゆびきりげんまん」

「?なんですか?」

「嘘ついたら針千本飲ます。指切った」

「えっ!?そんな恐ろしいことを!」

「人間の儀式だよ。約束を破りませんって誓い。僕はレティシアのことだけが好きだから、焦らないで大丈夫」

「……はい。あなた様」


ほんのりと頬を染めて、レティシアは胸元をきちんと直した。それからぱっと笑ってみせる。


「おなかがすきました、創人さま。今夜のお食事はなんでしょうか?」

「お楽しみに。すぐ作るから」


悪魔が現れたばかりなのに、こんなに幸せでいいんだろうかと僕は思う。


そして、ああ、幸せとはこういうことなんだな、と改めて思った。


永らく忘れていたものだ。レティシアが教えてくれたことなのだ。大切にすべき想いだ、と僕はひとり頷いた。


彼女をずっと大切にする。

僕と僕との約束が、できた。

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