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第4話 ロックのミサキさん登場

「おはようございまーす」

いつものように魔法少女の組織に出勤したら空いてたデスクにイケメンがいた。

もう一度言おう。

イケメンがいた。

えっ、誰、このイケメン!!神が上司とマスコットエイリアンに疲労されている私に遣わしたイケメン?

魔法少女として現存する残りの二人も現れず一人で酷使されている私に神が遣わしたイケメン?

つまり私のイケメン?えっ、まじで!?

………まぁ、そんな訳はないよねー。




イケメンは私の挨拶に「おはようございます」と返すとデスクに向き直りパソコンを操作し始めた。

「おはよう!山田真理亜くん!」

「本名フルネーム呼びは止めろっていつも言っているじゃないですか~!キュートさんのオチャメ~!」

イケメンがいるから声だけは精一杯かわいこぶってキュートさんを締め上げる。

幸い、イケメンはパソコン作業を続けていてこちらには見向きもしない。

「ちょっと、キュートさん!誰なんですか、あのイケメンは!!あんなイケメンがいるならもっと早く紹介してくださいよ!ああ!もう!こんなことならこんな適当な格好で来るんじゃなかった!」

小声で言いながらもキュートさんをしばくことはやめない。

「彼は君と同じ魔法少女のロックのミサキくんだよ!別府温泉と草津温泉から帰ってきたばかりだ。ちなみにこれはお土産の温泉まんじゅうだよ!」

「えっ!?あんなイケメンも魔法少女に!?あんなイケメンなのに!?」

「イケてるメンズが魔法少女になってはいけないルールはないよ!性差別よくないよ!」

キュートさんの正論に納得しかけるが納得できない。

もう一度ミサキさんの顔を見る。

うん、まあ男性が魔法少女でもいいや!

だって顔が良いもん!


「いや、まあイケメンが魔法少女なのは置いといて、面接の時にロックのミサキさんは別府温泉で休養中って言ってませんでした?なんで草津温泉まで行ってるんですか?」

温泉まんじゅうを食べながらキュートさんに訊ねる。

美味しいな、これ。

でも休養が終わったなら早く出勤してほしかったな。

こちとらワンオペ魔法少女で死にそうだったぞ。

「草津温泉にも行きたかったからだそうだよ!ミサキくんは温泉が大好きだからね!よく魔法少女の任務を放って温泉地を放浪しているよ!」

「自由過ぎる!!!」

その皺寄せが私に来てたとなったらいくらイケメンでも許されない。

いや、やっぱかなりのイケメンだから許す。

顔が良いのは正義だってみんな言ってた!




「ちなみにピーマン撲滅のアキさんもイケメンなんですか?」

念のためキュートさんに聞いておく。

これでイケメンなら両手に花だ。

魔法少女に転職して良かった~。

しかし夢は無惨に潰される。

「ピーマン撲滅のアキくんはピーマン撲滅したい系エイリアンだよ!」

「なんでもありだな!なんだよ!ピーマン撲滅したい系エイリアンて!エイリアンも魔法少女になれるの!?」

思わず大声でキュートさんに突っ込み締め上げるとミサキさんから注意が入った。

「あの、もう少し静かにしてもらえませんか?」

「あっ、すみません~」

そこで思い出した。

私達、まだ挨拶もしていない。

「ロックのミサキさん、初めまして。私は山田真理亜と申します。魔法少女のリアとして活動しています。新参者で不慣れなことも多いかとは思いますが、よろしくお願い致します」

「ご丁寧にありがとうございます。同じく魔法少女をしています、ロックのミサキです。職務を放棄して温泉地によく行きますが、よろしくお願い致します」

いや、働けよ。

突っ込みは顔に免じて黙っておいた。




どうせならイケメンとコミュニケーションしたい。癒しがほしい。

魔法少女としての同僚だし、顔面偏差値高男と会話しても許されるよね。

「ロックのミサキさんは、二つ名にロックって付けるくらいだからロックがお好きなんですか?」

変人でもイケメンは目の保養になる。

見れるチャンスは積極的に増やしていきたい。

「いや、6月9日生まれなので」

もうその二つ名返上しろ!!!

突っ込みは顔面で黙らされる。

私、覚えた。

でも上司とマスコットエイリアンと同僚が変なのしかいない。

私がしっかりしなくちゃ!

魔法少女就任一週間で一人でもこの世界を救う決意をした。




大体、男性まで魔法少女になれるってどういうこっちゃ!とか色々あるけどミサキさんはそれすらもどうでもよくなるほどイケメンだった。

これで魔法少女になったらどうなるんだろう?

早く魔法少女になる姿が見てみたいな。

それはそれとして。

「先程から熱心にパソコンに打ち込んでいますが、急ぎの報告書かなにかですか?」

「いえ、趣味でやっているSNSに行った温泉のレポを書き上げています」

業務時間外にやれ!!!

思ったけど黙る。イケメンだから許されるんだからね!勘違いしないでよね!




ミサキさんとの会話も突っ込みが絶えないことに気付いた私はいざとなったら締め上げられるキュートさんの元に戻った。

「それにしても、ろくでもない人選ばかりですね」

盛大なブーメランが刺さっても気にしない。

気にしたら負けだとこの職場で覚えた。

「すべてを超越する存在、それが魔法少女さ!」

キュートさんが声高に自信満々に告げるが、もう本当に魔法少女という存在が理解できない。辞めたい。


でもミサキさんイケメンだしボスもアレだけどイケオジだし、キュートさんは黙っていればかわいい生物なのだ。

魔法少女の組織も福利厚生からなにから問題は特にない。

上司も同僚もみんな黙っていれば問題はない。

そう、黙っていればね!

ミサキさんは仕事してほしいな!

あと会ったことないけどアキさんはピーマン撲滅より悪のエイリアン撲滅しよ!




辞表を机の中に忍ばせておいて、今日も私は警報音と共に全力ダッシュで現場に向かった。

ダッシュ以外の方法、そろそろ考えよう?

現場に辿り着くまでに息切れがやばい。

ちなみにミサキさんは来てくれるかと思いきや「SNSの更新とレポが終わってないので…」と断られて魔法少女が二人もいるのにまたぼっちでの戦闘だよ!

こんちきしょー!




今日も今日とて怒りを込めて変身ステッキで相手を殴り付けた。


「勤務時間には!働けーーー!!趣味のことはプライベートタイムにやれ!!!」


渾身の一撃だった。

これでピーマン撲滅のアキさんに出会ったらどうしよう?


辞表と共にステッキで上司と同僚達を殴り付けそう。

だって、権力と暴力はすべてを解決してくれるって私も魔法少女としてまなんだから。



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