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第17話 茶色推し募集中

販売促進課に訴えた私は逆に泣かれた。

なんで外見だけはかわいい魔法少女に変身しているはずなのにグッズがまったく売れないのかと。

そんなん私が知りたいわ!

茶色か?茶色がダメなのか?いいじゃん!茶色い魔法少女がいたって!

キレたら販売促進課の女の子が言いにくそうに事実を伝えてくれた。

「魔法少女システムが山田さんに配慮したのかと…」

「全世界の35歳以上に謝れ!!!」

これはひどい!魔法少女システムひどい!

「それは魔法少女システム開発課に言っていただかないと…とにかく、私達も販促頑張りますから!負けないでくださいね!」

負けないでくださいね!、その一言がどれだけダメージを負わせるか、販促課の女の子に八つ当たり出来ずにすごすご基地に出戻ってしまった。

もう私は人生の敗北者だよ……。

ちなみに途中で魔法少女システム開発課に寄ったら「茶色が嫌だから他の色にしたい?魔法少女システムが最適解の色を算出したのに?そんな理由で残業と休日出勤しろと?余計な仕事を増やせと…?」と怨嗟の目で見られて何も言えなかった。

私も残業や休日出勤は絶対嫌だ。気持ちは分かる。

それにしても、私には茶色が最適解なのか…。茶色……。




「再就職先も決まらないし人生がつらすぎる……」

職業紹介所のサイトで転職先を探しつつ、履歴書を書きながら心に受けたダメージを無くすために無心になるよう写経の気持ちで書き続ける。

なんか今の職場がアレなのでもうどこでもいいって気持ちになってきたけど、今までのブラック企業や人間関係を考えると慎重になってしまう。

年齢的にもずっと勤められるところに就職したい。

ちなみに今日は奇跡的に全員出勤している。

こういう時に限って悪のエイリアンが出なかったりするので、働かせるために悪のエイリアン出現してほしい。

いや、平和的には出現してほしくはない!

この葛藤心、伝われ、ニート予備軍に!!


そんな私の願いが通じたのか毎度お馴染みの警報音が鳴って全員で現場に行くことなった。

全力疾走は、私に一番きつい。

本当にきつい。

ちなみに男子高校生の直人くんが一番走るのが早い。若さに勝てない…!

やはり私は敗北者…!悔しい!みんなあと十年、二十年後に敗北者になれ!




現場に辿り着くと久々に五人揃っての変身になった。

四人がカラフルなのに一人地味茶色なのが余計に目立つ。

この苛立ちを悪のエイリアンにぶつけるしかない!!

悪のエイリアンはバラけて活動していて、それぞれ各地に別れて避難誘導と退治をすることになった。


「えいやっ!」


悪のエイリアンをどんどんやっつけていきつつまだ避難していない人達への避難ルートを切り開く。

私の担当エリアは人が多かったが、私が一番戦闘経験も魔法少女の経験もある。

任されたからにはここにいる一般市民全員を無傷で避難させたい。

敵の数が多くても数に負けたくはない。

全力で倒しながらパニックになる人達を誘導する。

やっぱり私も二人一組が良かった。

でも人数的にどうしても一人になってしまうんだから、仕方がない。

やれるところまで、魔法少女としての職務として頑張るしかない。


「せいやっ!」

敵を拳や変身ロッドで殴り倒していると、女の子から声援を貰った。

……以前助けた女の子だ。

「茶色いお姉ちゃんがんばれー!」

確かに聞こえた。

茶色い魔法少女は私しかいない。

「任せて!頑張るよー!」

敵にエルボーをキメて女の子にVサインをしたらVサインで返してくれた。

「ここは危険だから親御さんと早く避難してね!」

と言うと力一杯頷いて、隣にいたお父さんに抱き抱えられて何度も頭を下げられて避難所へと向かった。




色が茶色でもなんでも、人は救える。助けられる。

なんで気付かなかったのかな。

いや、変身直後から茶色いコスチュームだから気が付かなかったのかもしれない。


「さて、やりますか!」


かつてない勢いで敵をボコって、敵が私の姿を見ると逃げ出すまでになってしまったけれど、それで世界が平和になるならなんでもいいや。

茶色でも敵に怖がられていても、応援してくれる人が一人でもいるなら魔法少女として頑張れる気がする。……辞めるけど!!


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