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「ああ。でも今彼女がいるではなくて、好きな子がいるってことは、その子とまだ付き合っていないのか?」
「付き合っているような、付き合っていないような」
まさか姿も見えない幽霊と同居して仲良くしています、なんて言えるはずがない。
ましてや熊田は強い霊感の持ち主なのだから。
「うーん、よくわからんけどまあいいか。話はそれだけだ。じゃましたな」
ちょうど教授が入って来た。
熊田は教授に気がつかれぬよう身をかがめながら教室を出て行った。
その後、アパートに戻った。
ミキに女の子から告白されたけど断ったことを告げようかとも思ったが、やめておいた。
よけいな気をまわしてしまうと思ったからだ。
そのまま夕方になったのでそろそろと思い、ミキに語りかけた。
――ただいま。
――おかえりなさい、まさと。ところで、今日大学でなにかあったの?
一瞬どきりとしたが、平静をよそおいながら言った。
――えっ、なにもないけど。どうしてそんなことを聞くの。
――いや、なにかあったような気がしたから。なにもないんならそれでいいんだけど。
女のカンというやつか。
それとも幽霊特有のものなのだろうか。
なかなかあなどれないが、なにもなかったということで押し切った。
その後、他愛もない話を続けていると、突然ミキが強く言った。




