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アパートに着くと早速語りかけた。
――おかえりなさい。寂しかったわ。
――俺もだよ。それより大事な話がある。
――なに、大事な話って?
――もうすぐ熊田というやつがここにやって来る。自称霊感があると言うやつだ。本当かどうかは知らないが、もし本当だったとしたら、ミキがここに居ることがわかってしまうんだ。
――ええっ、そうなの?
――そう。そうなると間違いなく騒ぎになるし、その上除霊とかお祓いなんて話になったら、ミキがここにいられなくなってしまうんだ。
――そんなのいやだわ。せっかく二人で楽しくやっているのに。
――俺もそれはいやだ。だから今からしばらくの間、どこかに隠れていてくれないか。
――そうねえ。そうなると元居たところかしら。
――あの廃病院だね。
――そう。あそこに戻ることはもうないと思っていたけど、少しくらいならいいわね。
――そうしてくれる。
――わかったわ。それじゃあ夜には戻ってくるから。
――うん、待ってるよ、ミキ。
――待っててね、まさと。
それから言葉は入ってこなくなった。
どうやら行ったようだ。
そのまま何もしないでいると、玄関のチャイムが鳴った。
出ると熊田だ。




