(ジェラムド視点)ジェラルドという名のメイド
今回は視点変わります
目が覚めメガネをかける。時計を見ると朝の6時だった。
いそいそとメイド服に着替え、鏡を見ながら血のように赤黒いぼさぼさした髪をくしで無理矢理整える。
バンっと大きな音を立ててドアが開き、エリンがひょっこりと顔を出した。
「ジェラルド、おはよう」
ニコッと笑う姿は無邪気だが……
ドアに隠れて見えないエリンの格好を見るためにこっちに引っ張った。
何があったのか、いつものエリンの姿は水着みたいなヒラヒラした露出の多い服を着ていたのに……
今のエリンの格好はお嬢様という感じのフリフリした可愛らしい服を着ていた。
「何があったのですかエリン様!」
言って急いでおでこを触った。どうやら熱はないみたいだ。
「何がって何のこと?」
しらばっくれるエリンの肩を掴んで思い切り揺さぶる。
「やめてやめてやめて」
「いつものエリン様ならもっと露出の多い馬鹿みたいな服を着ていたではありませんか!」
エリンは私の腕を掴んで深呼吸した。
「あのね、ジェラルド私…………好きな人ができたの」
その瞬間、脳はパニックになった。馬鹿みたいな服と言ってもスルーするエリン様の器の大きさに感動もした。
エリンのどこに行くの? という声も無視してあのお方のいる屋敷に向かった。
あの方のお屋敷は和風で他の西洋風のお屋敷とは明らかに浮いている。
ドアをノックするとゆっくりとドアが開いた。あの方のメイドのようだ。
「フミさんはいらっしゃいますか?」
「はい、今ちょうど暇を持て余しているようなので部屋に案内いたします」
廊下を抜け、一番奥の部屋に進むとメイドは何も言わずに私を置いてどこかに行った。
え? 入っていいの?
「入んなさい」
……どうやらあの力は本当のようだ。
静かにふすまを開け中に入ると目のところを布でぐるっと巻いた和服の女性が立っていた。
「私はふみ。目を司る神だ。」
「私はジェラルドと申します。運命神エリン様のメイドをしております。」
そんなことは分かってるんだろう。
「ああ、分かってるよ。あんたもご存じの通り私の魔法は人の心が読める力だからね。」
ジェラルド視点は5話に1話程度で投稿します。
次話もよろしくお願いします。