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セイレン党組曲  作者: くつぎ
Case 05~引きこもりな彼と元気な彼女~
28/70

04 私に付き合え

 ――加藤順太と後藤舞依の場合④――


 私は何か失言をしただろうか。


「しかし加藤、テストの間はちゃんと出席するんだな?」


 隣の席に向かってそう尋ねれば、加藤は面倒くさそうにこちらを見た。

 いつも通りの、不機嫌そうな、不健康そうな、見ているだけで笑えてくる顔をしている。


「テスト休むと成績に響くからな」

「加藤、出席日数という評価基準に対してはどう考えている?」

「問題ない。ちゃんと計算して休んでる」


 筆箱を鞄の中に放り込みながら、加藤はやはり面倒くさそうに答える。


 頭のいいやつの考え方はよくわからない。

 そもそも加藤は頭がいいのやら悪いのやら、そこからして私にはわからない。


「楽しいのか?」


 口を突いて出てきた言葉。

 加藤はぱちくりと目をしばたかせ、それから小さくため息をついた。


「楽しくはないよ」


 帰ってきた答えは意外なもので、今度は私が目をぱちくりとしてしまった。

 加藤は気だるげに鞄を担いで立ち上がる。


「……でも、学校も楽しいとは思わない」


 そうだろうか。

 少なくとも私は、学校に来るのが好きだ。

 クラスメートとの会話は楽しいし、帰りに寄り道をするのも楽しい。


「だからもう帰る」

「えっ、もう帰るのか!」

「もう用はない」


 確かにテストも終わったのだし、用はないのだろうけど。

 だからって。


「そんなにあっさり帰られてしまったら、私が寂しいじゃないか!」

「は?」

「どうせ暇なら付き合え!」


 慌てて荷物を鞄に詰め込んで、席を立つ。

 加藤どころか、残っていたクラスメートが一様にぽかんとした顔で私を見ていた。


「どうした?」

「……何でお前ってそういう感じなの」

「何の話だ」


 クラスメートが数人、何やらこそこそと話しているようだが、どうしたことだろう。

 首をかしげていたら、加藤が目の前で深くため息をついた。


「こういう空気が嫌いなんだ」

「は?」

「で、俺はどこに付き合えばいい」


 面倒くさそうな顔の加藤が、真っ直ぐに私を見てそう言った。

 真正面から加藤の顔を見たら、周りの喧騒もどうでもよくなってしまった。


「まずは昼食だ! どこぞのファミレスにでも入ろうじゃないか!」

「はいはい」


 加藤の手をつかんで引っ張ると、加藤は諦めたように私に着いてきた。


「そのあとは買い物にでも興じようじゃないか!」

「女子の買い物って長そう」

「そうだな! 今日はとことん付き合ってもらうぞ!」

「はいはい、分かりましたよ」


 相変わらず、加藤は面倒くさそうな、不健康そうな顔をしている。

 けれど少しだけ笑ったように見えたのは、私の気のせいではないよな?


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