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ヘタレな僕に世界を救えと?  作者: カニードル
8/13

自己紹介

この回で総合一万文字を超えます。

八話目でやっとかよ、って思わないでください。

いつもどうり書き溜め一切ございません。

 彼女はそのまましばらくうつむいていた。うつむいているこのきれいな彼女はどんな顔をしているのか見てみたかったが、さすがに自重した。


 ていうか、この僕が女の子に積極的に関わろうとするなんて、生前では考えられない。考えられる理由としては、この危機的状況による吊り橋効果か、彼女の人間離れした美しさによって完全に振り切れてしまった僕のオタクメーターの影響かのどちらかだろう。


 彼女はしばらくすると、何かを諦めたような素晴らしい笑顔を僕に向けた。その顔は先程の自らの醜態なんて意に介していないように、ていうか忘れた顔をしている。


 あ、了解です。なかったことのする方向でいくんですね。


 彼女は何かに気づいたのか、小さく声を上げた。


「もしかしてその制服・・・」


 そう言って、彼女はおずおずと一つの高校の名前をだした。もちろんその高校は僕の通っている高校で、僕はその高校に通っていることを伝えると彼女は嬉しそうに笑った。やっぱり、自分と同じような境遇の人がいると安心するのだろうか。


 そして今度は何かを思いついたように口を開いた。


「そういえば、自己紹介がまだでしたよね。私の名前は最神もがみ はるかです。一応さっきまで一五歳の高校一年生でした。んーと、とりあえずよろしくお願いします」


 そういえば、自己紹介がまだだったな。どうやらこの美少女、モガミさんは僕と同い年らしい。そしてやっぱり同じ高校の人だった。こっちとしてもなんだか楽な気持ちだ。


 今度は自分の番だと考えて、どこまで話そうか悩む。とりあえず、当たり障りのない感じにしよう。


「モガミさんですか。えっと、僕の名前は神谷 悟。僕もさっきまで一五歳の高校一年生でした。こちらこそよろしくお願いします」


 彼女は僕の年齢を聞いて、ニコニコの笑顔をさらにほころばした。


「同い年!じゃあ・・・敬語はなしでもいいかな?」


 それはこっちとしても気楽でいい。ぜひそうしたい。僕はうなずいた。


「じゃあ、これからはモガミさんなんてよそよそしい呼び方じゃなくて、ハルカって呼んでくれるかな?」


「無理です」


 僕の即答にモガミさんは固まって、そのあと泣きそうな顔でこちらを見てきた。そりゃそうだろう。こんな状況でたった一人見つけた人に拒絶されれば誰だって泣きたくなる。


 僕にモガミさんを拒絶する気はさらさらないが、さすがにかわいそうなので、説明しようと思う。僕の女の子に対する免疫の低さを。


「あ、えっと、気を悪くしないで。言い訳みたいなことを言わせてもらうと、僕って女子と、特にモガミさんみたいな可愛い娘と話した経験が少ないっていうか皆無なんだ。だから会話とかも苦手で。言うなら女子限定のコミュ障ってやつかな。とりあえず・・・すいません」


 僕がそういうとモガミさんは渋々納得した模様で、


「じゃあ、いいよ。私はサトルくんって呼ぶから」


 ・・・・・・なんかめっちゃ恥ずかしいんだけど。女子に、しかも超絶美少女に名前で呼ばれるなんて僕にとっては、軽く罰ゲームだ。これからはこの羞恥に耐えなければいけないのか・・・。


 そういえば、これからってあるのかな。そのまま聞いたらまた泣きそうな顔されそうなので、遠まわしに聞いてみよう。


「僕らって、この後どうなるの?」


 モガミさんはドラマの探偵や刑事のように、あごに手を当て考え始めた。


「たぶん・・・、テンプレだとこの後異世界の神様登場とかで異世界転生するかな」


 ん?テンプレ?


「やっぱ、こういう状況ってなんか異世界転生物のような感じするし。それなら、女神さまとかにチート能力もらえるかなぁ?」


 うぇ?


「でも、知識チートとかしてみたいなぁ。しまったなぁ、そういう本読んどけばよかった」


 え?なにこれ。まさかのモガミさん、こっち側の人?でも実際に彼女の口から出てくる単語は、僕がよく知る単語。


 ・・・いや、落ち着け僕。違うかもしれない。決めつけるのはまだ早い。彼女は、モガミさんはたまたま知っているだけだ。例えば、兄弟が読んでる、とか。


 とにかくモガミさんをオタクだと決めつけるのは早い。もう少し待とう。


「あ、でもこの前読んだ奴は学校とかの知識でも無双してたなぁ。サトルくんはどうおも・・・う・・・?」


 そこでモガミさんは自分の言っていることに気づいたのか、冷や汗を流し始める。


 ここは、フォローしてあげよう。いや、せねばなるまい。


 そして、僕は満面の笑みでこう叫んだ。


「同志よ!!!」


 僕の叫び声はこの謎空間に大きく、そしてどこまでも響いた。








また、ほんのちょっと長くなりました。

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