緊急事態
注・今回視点が変わります。作者の技量不足ですのでご容赦ください。
書き溜め一切ございません。
気長にお待ちください。
学校から徒歩十五分程、それが僕の今向かっている本屋への道のりです。周りにはスマホをいじっている女子高生などがいる。結構遠いけど、品ぞろえがこの近辺では最高に良いので、いつもここに来ている。でもやっぱり遠いから何か予定があるときしか来ない。
今日の目的は、僕がとても気に入っているライトノベルの購入。内容はぼっちで傍若無人な高校生がゲームの世界で無双するというもの。主人公最強系は僕の好きなジャンルで、その強さに僕はとても憧れる。僕は中途半端な強さだから最強というものを味わってみたいのだ。
新しいライトノベルを買いに行くときは、いつもテンションが上がる。心なしか、体が熱くなってきた。心臓もすごいドキドキ言ってる。これはさっさと買いに行かなきゃ。
おかしくね?なんでこんな熱いんだ?今は春、少なくともあったかい程度の気温のはず。それに僕の心臓。激しい運動、例えば朝にやった稽古をしたときみたいに鼓動が速い。なにもしていないのに。
体が重い。足が動かない。めまいもする。幸い吐き気や腹痛のような、消化器官系の異常はないようだ。
一体どうした?僕の体は。・・・これは病院に行った方がいいかもしれない、と頭の中で最寄りの病院を探す。
そうして、動こうとして右足を一歩踏み出した途端、僕の視界は真っ暗になった。最後に周囲のざわざわとしたしゃべり声が、他人事のように、耳に残った。
〔第三者視点〕
少年は、その場に倒れた。周りの人間の視線が、一斉に少年の方に向けられる、ということは起こらなかった。近くを歩いている、スマホをいじっている女子高生も、たったいますれ違おうとしているスーツ姿のサラリーマンらしき人も、誰も倒れている少年を見ていなかった。まるでそこには、誰もいなくて、何もなかったように少年の周りのひとは動いている。そのまるで現実世界から切り離されたような少年は、倒れたまま微動だにしていない。
そのとき、彼の心臓はその動かない体に反発するように、そして自分の存在をアピールするように、大きく、より短く、鼓動を繰り返していた。
少年が倒れ、心臓が自己主張をし始めてから、三分後。一人の女性が現れた。女性は周りにはたくさんいる。しかし、彼女は明らかに他の女性、人間の女性とは違った。
人間ではなく、どこか人形の雰囲気を放つ端正な顔立ち。コバルトブルーの髪は彼女に、クールな印象を与えている。そして、体に中世ヨーロッパの騎士のような、豪華な鎧。腰には丁寧にも、剣まで差してある。しかし、その剣は彼女の折れてしまいそうな外見とは反して、かなり大きな、いわゆる大剣と呼ばれるものだった。そして極めつきは、背中の大きな、神々しさ溢れる純白の一対の翼。
そんな時代錯誤で、さらに背中に大きな翼がついている彼女が、都心ではないがそれなりの人間がいる場所で目立たないはずがない。しかし、彼女は倒れている少年と同じように、誰からの視線も受けることはなかった。彼女はまっすぐに、倒れている少年のところまで来た。
そして、彼女は一言、いまだ地面に伏している少年に向かって、つぶやいた。
「・・・やっと、見つけた」
その声に、起伏などなく、感情も感じることができず、どこまでも無機質な声だった。
しれっと一週間サボって投稿。
次回やっと異世界転生。
これからも一話一話が短いですが、気長にお待ちください。