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my tale  作者: Shiki
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長靴を履いた猫


 平凡顔だけど、異世界何を好むか分からない。よかった。若者は、一途の愛とか平気で言えるしね。聞いている私がこそばゆい。


「あのね。ユートは、好きな人いるの。もし恋愛のこととか、悩み事があるならいつでも相談に乗るよ」


「にぶいわ」


「あれは、酷いですわ」


 う? なんか侍女達の声がする。なに、ユートの顔が近い。


「けーこ、ぼ、ぼ、僕の好きな人は、けっ」


「ユート殿。そろそろ訓練に戻られてた方がよろしいのでは。けーこ様もかなりお疲れのようですので」


 いつもより声の低いドレリーの声がした方を見たら、ピンクの壁にもたれ腕を組んで立っているドレリーいた。彼の顔に嫌悪が見える。怖い。見なければよかったと、少し後悔。それより、ドレリーもずっとそこにいたの?全然気付かなかった。


 いつも圧倒的に人を魅了する存在を見逃すなんて、どうかしている。それより、ずっと私たちの会話聞かれていたよね。こんな子供のように泣きじゃくって恥ずかしい。


 ユートと未だに抱きついている格好が恥ずかしいのでユートから離れて、よれよれネグリジェーを整えた。それより私ネグリジェー着ているよ。普通王道パターンでは、恥じらうべき所なのに全然その要素が今ない。ユートとドレリーの間に嫌な空気が漂っているのは気のせいかな。誰か、この空気を壊して下さい。


「あのー。お茶が冷めますので、もしよろしければどうぞ」


 おっ。どこに潜んでいた救世者。パトリーの声がする方を見たら、ソファーと白の陶器でできた紅茶セットのあるテーブルの横にテモテシとパトリーの二人が立っている。二人共いつからそこに居たんだろう。ユートのことだけしか頭になかったから気付かなかった。これは、少し恥ずかしい。


「いえ、私は、結構です。訓練に戻ります」


 わたくしって、ユートがワタクシって言った。ユートもこんな話し方出来るんだ。それよりまだドレリーがユートを睨んでいる。あのユートもドレリーを睨んでいる。二人共いつも穏やかなのに摩訶不思議現象だ。騎士と見習いってきっと、何かあるのよね。よく小説とかでシゴキとかそんな亊書いているしね。


「じゃあけーこ、またね。いつでも騎士寮の方に会いにおいで。ところでここには、どれくらい滞在する予定?」


「うーん、五日間?」


「そうか。あさっては、僕の休みの日だから一緒に買い物に行こう。朝に迎えに来るよ。けーこの事だから、皆にお土産でも買うつもりだろ?」


 ユートが私の方を見て言った。ユートとドレリーのバトルが、終わったみたい。それより、ユートはすごい。ユートはなんでも私のことを知っている。


「うん。ミトさんにね、王都の観光案内本なんて頼まれたの。あはは、王都のガ観光案内本なんてなんに使うんだろう。まさか、ヨネさんを観光で上手にエスコートとか。


 あっはは。もう私、そのリクエストを聞いた時に、笑うのをかなり我慢したんだよ。もう、ソニとユートに話したくて仕方なかった」


 ユートがまた両手で私の頬に触れ、目が合った。私は、ユートの琥珀色の目が好き。


「けーこには、笑っている顔が似合っている」


 ユートがそう言って私の額にキスを落とした。こっちの世界の人はスキンシップが多い。欧米では、再会や別れや他のあいさつで、よく家族でよくほっぺとか頭や額にキスするって言うしね。私もよくヨネさんやソニやチビちゃん達に、キスされたし最近は私もし始めた。でもユートからは、初めてかな? あんまり覚えていない。


「きゃー」


 また、侍女達の声がした。何かあったのかな。


「うん。ユートありがとう。また、あさってね。待っているね」


 ユートが出て行った後に、ピンクの壁から体を起こして、ドレリーが私の座っているベットに来た。背の高いドレリーは床に膝をつき、私の右頬に手を添えた。ドレリーのアメジストの目が、綺麗。彼の声は、セクシー過ぎる。


「けーこ。体の具合はどうですか?」


「うん、大丈夫」


 ドレリーが、私の顔をうかがいながら聞く。


「今日は、よく休んでください。明日の朝に王との謁見が決まりました。それでは、明日の朝迎えに来ますね。おやすみなさい。私の小さき姫」


 さっきユートがキスしたおでこに、キスをした。また「きゃー」と、侍女達が何か騒いでいる。そしてドレリーも出て行った。その後の私は、ぬるくなったお茶をもらって横になる。 泣きすぎたようで、すぐに眠気が襲う。夢の中なのか分からないけど、侍女達の声が聞こえてくる。この会話が夢か現実か、私は知らない。


「パトリー、凄すぎます。こんな場面を生で見れるなんて。けーこ様のお付きになれてよかったです」


「見ました。あの甘い会話。ユート様、年下なのに格好良すぎます。城の女の子達が騒いでいる理由が分かりました。ユート様は将来有望株です」


「クムリン様の顔を見ましたか?」


「ええ、ばっちり見ましたよ。あの、女性に興味の無いように澄ましていた『氷の王子』が嫉妬されてたなんて、テモテシ、これは一大事です。すぐに、『乙女の花園』のメンバーに知らせなくてわ」


「一大事です。それにしてもけーこ様は、鈍すぎます。そう思いませんか?」


「ええどうしたら、あそこまで鈍くなれるんでしょ。まだ幼いからでしょうか?」


「クムリン様は、幼児趣味なんでしょうか?まさかですよね。それよりけーこ様とユート様は、お二人で話しているときとかお似合いでしたね」


「けーこ様は、お幾つなんでしょう。言動とかは大人のような感じがしますしね」


「クムリン様が、幼児趣味って言うのは嫌ですしね」


「それで、パトリーはどっちを応援しますか? 私は、クムリン様です。他の方々には悪いですけれど、クムリン様のいろんな顔が見れるなんて素晴らしすぎます」


「テモテシ。確かあなた『氷の王子』をお慕いしていたのでは?」


「ええ、今でもしています。前に一度ダンスをさりげなくお誘いしたり他にいろいろアピールしましたけど、顔は笑顔だけど目が冷めていました。クムリン様は、どの女性に対しても同じ目をしています。


 私に全然興味が無い事に気付きました。女は、『愛されてなんぼ』と母の言葉を思い出し、もうクムリン様との結婚を夢見ることを諦めました。


 だから愛を知ったクムリン様の愛が実るように幼児趣味でも応援したいと思っております。きっと私の気持ちと同じ者達が『乙女の花園』の会には、たくさんいると思います」


「ええ、そうですね。『愛されてなんぼ』すばらしいお言葉です。今度『乙女の花園』で会のモットーに、この言葉を掲げるように提案をしたいと思います」


「それはすばらしい提案です。ところでパトリーはどちらを応援なさりますか?」


「ええ、そうですね。クムリン様も応援したいですけどクムリン様と結婚した時の、嫉妬に狂った女の人達の亊を思うとユート様と穏やかな結婚をして幸せになって欲しいですね」


「ええ、そうですね。クムリン様となにがなんでも結婚したいと言うバカな令嬢や愛人になりたいと思っているおばさん方、いえ失礼、ご結婚された方々、他に夜のお仕事の方々がどう出てくるか分かりませんよね」


「ええ、そうですね。ここは、『乙女の花園』で緊急に『けーこ様の恋を見守る会』を立ち上げましょう」


「それは素晴らしい提案です。それでは、『永遠の清らか達』の皆様にも協力をお願いしましょう。クムリン様を慕う方々の過激派は、凄いですしね。得られそうな者は、いくらでも使わなくてはいけませんね」


「テモテシ。丁度イット様が、けーこ様の虜になりこれで全ての医学を司る方々が、味方になりましたね。これで毒とかの嫌がらせは、対処できますね」


「後イット様の前王弟の権力で、中立派はけーこ様の味方になりましたね」


「テモテシ、けーこ様のお作りになった薔薇の石鹸! 凄く気になりますね」


「ええ、そうですね。けーこ様から薔薇の香りがすると思っていたのは、気のせいではなかったのですね。これは、いい殿方を引き寄せる秘訣かもしれませんよ。私もふと、抱きつきたくなりましたもの」


「その気持ち分かりますわ。つい『乙女の花園』から『禁断の花園』に入りかけそうになりました。お互いにけーこ様の回りでは、気を引き締めてお世話をいたしましょう。


 それよりあのすべすべしたお肌。これは一大事です。早くこの石鹸のことを『乙女の花園』と『永遠の清らか達』の会の皆様に知らせなくてはなりません」


「ええ、そうですね。パトリー。けーこ様の才能もかわいらしさも、とくに今後の恋愛展開が楽しみです。どうやってでも、けーこ様の心を体を守らなければ、私たち乙女の未来が暗くなりますわ」


「そうですね。これから忙しくなりますね」


「そうですね」


(幸福の王子


 私は、出来る時に出来る事をしておくべきだったという後悔をしたくない。私も王子の最後のように死にたい。オスカー・ワイルド あなたの最後は、寂しすぎる。でも、素晴らしい作品を残してくれてありがとう。)

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