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my tale  作者: Shiki
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眠り姫

 誰かが私の頭を突いている。微妙に痛い。まだ寝ていたいけど目を開けようかな。

あれ目の前にセクシー熟女がいる! きっとまだ夢の中。寝よう。二度寝入りは、気持ちいっていうしね。ぽか。なに、誰今私の頭をぽかって殴った。仕方ない目を開けようか。


「……!?」


 やっぱり目を閉じよう。死んだフリ~、って私死んだんだー。寝てる暇じゃない。状況確認しよ。目を開けたら目の前に、金髪碧眼のセクシー熟女が私も見ている。あのー、かなり近すぎるよ。特におっぱいポロリンしちゃうその暴乳!


 私へのイヤミですすか?


 やっぱりどう考えても、私へのイヤミだよねー!と意味不明のことをつらつら考えながら、胸を凝視しています。


「そのマヌケ顔、止めてもらえる」


 イヤだ! 言葉を話す度に揺れる胸って一体なに?


 絶対許せません。どうして結婚したら胸が大きくなると聞いたけど変化のないこの私の胸はなんで? 神様どうしてなの?


「だから私が神様だ。神って言うより創造者」


 私って最近思ってること口に出したりしているの。なにか前もこんな話をした気がするのは気のせいだよね。


「お前、トリップしてさらに顔だけじゃなくて頭もマヌケになったんだな」


 なにこの巨乳、しれっと失礼なこと言わなかった。胸がデカいからなんでも許されると思うなよ! と言った後で虚しくなる……。ああ、懐かしいこの口を開けないで心の会話。まさか唯漏れ状態、楽ちん会話。


「そう、唯漏れ会話。何かお前トリップして性格がおばさん化してない?」


 おばさん化。この巨乳にパンチしていい?


「普通、創造者の美胸にパンチする人っている? ん? この美胸が許せないんだったら姿変えるよ。ドラゴンとか真っ白いヒゲの長いのような老人とか美青年、美少女美女、って美女は今嫌がったから後はトリップ小説に出てくる神は小動物とかね。私のトリップ小説研究によると死んで戻った後に会う場合の記録がない。ってあるけれど、どの小説も結局は同じ姿で現れて面白くない。


 だから、ちょっと姿を変えて熟女の美女です。どう邪道でしょう。最近王道に飽きたから邪道トリップ研究を始めた。すごくない?


 まさか私が邪道を研究する時がくるとは感激です! この記念する時を祝して選択肢を三つ用意しました。もちろんどれも嫌とかないからね。きゃ、これも邪道台詞です。感動。さあさあ邪道会話しましょう。で、どれを選ぶ?」


 なんの選択肢? 今の状況が分からない。それより、私は邪道は好きじゃないよ。それより、何この人。ディランドってこんなにおかしい創造者だった?


「っえ!? 邪道は好きじゃないの? 普通王道が好きだと邪道も好きだよ。……あー、分かった。まだその段階まで成長してないんだ。普通王道好きで始まって、だんだん飽きがきてブラックを好む。少しずつ、そしていつの間にか邪道が好きになっていると言うパターンなんだよ。


 仕方ない王道会では下僕だったけど、邪道会は下っ端って呼ぶね。それより、私はいつもおかしかったよ。選択しね。一回しか説明しないからよく聞いていてね」

下っ端って。いつ邪道会に入った?


「はーい、アテンション プリーズ。下っ端は死んでこの異世界の狭間にいまーす。異世界の狭間にいるから、なんと地球へ転生出来まーす。これで、地球に戻れるよ。死んでよかった。こんな終わり、まさに邪道。思いっきり読者を裏切る終わり方。いや、期待に添える終わり方?


 どっちか分からない。私は邪道研究をもっと頑張らないといけないけど、あの地球の創造者が頑固でまだ私が地球行きを拒む。でも、まあ私があまりにもうるさく交渉するから、彼もやっと少しだけ許してくれた。

見て驚くなよ。たったらたった~ん」


 ここ、驚く場所だよね。驚いたよ。ええ、十分驚いたよ。で、でも驚いたにもいろいろあって……ですね、これは飽きれて驚いた方。これって、コンピューター?


 普通にウェブのネットが繋がっていて、モニター、キーボードそしてスピカー。何と普通の家庭の景色。ちゃんと机と椅子があって、この真っ白ないかにも王道なこの世の狭間。雲の中と言う人もいるかもしれないけど、その永遠と続く真っ白な狭間になぜか四畳一間の畳の部屋に模範的な学習机と椅子。確か私も小学生の入学式にあんな学習机と椅子を買ってもらったよね。初めはそこで勉強していたけど、段々とキッチンテーブルを使うようになってしまい、いつの間にか私の机は物置と化した後にネットにハマった母が自分の物にした。そう、まさにその時の光景と一緒。とてもレトロ過ぎて、口が開く。とってもすごいぞディランド。


 っえ!? その机の終わり聞きたいって。そうだよね、終わりをきちんと話さないと本当にムカつくよね。私もネット小説を読んでいてなかなか更新されないと、段々不安になる。そして、いつの間にかその小説が消えるとその作家を殴りたくなってしまうよ。今まで読んであげたのにーって、怒りたくなる。


 って、また話が反れた。そうそうあの学習机は両親が亡くなった時に始末をした。おばあちゃんの所へ引越しをした時に。やっぱりあの学習机って場所を取るよね。今はもっとスマートな場所を取らないオシャレな机があるしね。


「本当によくそんなに心の中で、あれこれとグダグダいろいろなことを考えること出来るよね。それも、この私の存在を無視してグダグダと。普通、異世界の創造者に会う機会なんて一生ないことだよ。まあいい。これでも私は心が広いので許しさしあげよう。と言う訳だ」


 ううん、私はディランドに二回も会っているよ。なんと不幸なんだろう。一生会いたくなかった。で、でも、それは、嘘。ディランドに会わなかったら私はあの世界へ行かなかった。そして、あの優しい人達に会うことはなかった。なによりも、私は愛おしい人と出会わなかった。


 あー、ドレリー、私はまだあなたともっとわかち合いたかった。一緒に居たかった。私は死んで体がない筈なのに、目から温かい涙がこぼれてくるのを感じる。ふわふわとした雲の上に座りながら、大きな声を出して泣いた。私は異世界に来てこんな風に大きな声で泣いたことがない。大声で泣いたのは両親の葬式の時に最後に泣いたきり。


「おい、もう泣くな」

「……う!?」


 く、苦しい。これはかなり苦しい。す、すごい、一気に泣いていた涙が止まった。やっぱり思い知らされたよ、巨乳は人殺しの武器だったんだー。いやー、私は普通サイズの胸でよかったよ。って?


 なに、貧乳って? ううん、普通サイズだよ! もちろん普通サイズだよね! 結婚したから、絶対スポーツブラからAカップへステップアップしているって。異世界だったから知らないけど、絶対Aカップだって。ほんと日本って、Aカップは安くで可愛いブラジャーが多い。まあ、かろうじてCカップまで豊富な種類が揃っているけど、もうDカップになったら、ない!


 友人A子が一緒に買い物に行く時必ずブチブチ種類がないとか何で高いの!と文句を言っていた。私は心の中で、「はっはっはー、ざまー、みろ。でかいのが悪い。高いのは当たり前。使う布が多いんだよ」と笑っていた。じゃないと、スポーツブラの私がもっと惨めになってしまうー。実はこのスポーツブラもあんまり種類がなく、可愛くない。


「よかった。もうさっきから胸、胸って、もう仕方ない。転生させた時は私のように美乳にしてあげる。それで、いいね?」


 ちょーと、待ったー! 一体いつの間に転生コースになったの?私が死んで、皆がどうなったか気になるじゃん!? どうして、そう途中経過を思いっきり飛ばしてしまう?


「えっ、どうなったか知りたいの?」


「うん」


 あれー、今初めて声出したー。


「じゃあ、仕方ないわね。このコンピューターで、下っ端が死んでからどうなったか見ましょう」

私と熟女のディランドはコンピューターの前に座って、私の死んだ後を見た。


 スクリーンに写し出される自分。不思議なことに素人が映したホームビデオじゃなく、ハリウッド映画のようにBGMと映されるスクリーン。さっきまでは、普通サイズのコンピューターの画面だったのに、ディランドが「やっぱり映画鑑賞には大きなスクリーンがいい」と言って、映画スクリーンになった。私とディランドはなぜか映画館のような椅子に隣同士座っている。


 もうディランドのすることに驚かないと決めたけど、私の殺された場面でポップコーンをむしゃむしゃ食べてソーダをごくごく飲み初めた時は、一気に疲れが出てきた。死んでも疲れるのかと自分にツッコミをいれてその場をスルーする。せっかくの感動する場面がディランドのせいで台無しになってしまった感じ。よく映画館でも、感動する場面で周りの人の音で感動が冷めると言う経験を皆していると思う。


「ねえ、ディランドはずっと私を見ていたの?」


 ディランドが指についた塩を舐めた後に、映画を止めて私を見た。あのー、私が口を半開きしている情けに恰好の瞬間に停止をしなくてもいいと思うんだけど……。


「うん。もちろん。あんなマヌケな人生を一生懸命している人も珍しい。面白くて何度も見たよ!」


 うっ、ここで神様を殴っていいですか!? 別にいいよね!? ここまで貶されてし返しをしないなんて、そんなことをしたら女捨てることになるよね!? って、死んでもまだ女だよね? まさか今流行りのTLなんてないよね? そ、それでは、いざ戦いに出陣ー。


「おい、お前って全然成長していないよね。普通結婚したら大人になっているだろう?」


 く、くやしいー。友人B子もよく言っていたよ。なんか今の若い子って、やたら二十を越えた人に大人の行動を期待して、既婚者を全て大人と決めつけて嫌と言っていた。そして、友人B子はなんで私があんたのために大人の行動をしないといけないの?ってぶっつっぶっつ言っていた。今思えばよく分かる。そう思っていると言えば、必ず「自己中心的な人」と言われる。はあ、君も私と同じく結婚したら分かるよ……って、また話が脱線しているじゃない!


「おい、分かった。おまえのちっぽけな主張は分かったから。普通もっと肝心なことを聞くだろう?」

肝心なことって?


「はあ、例えばどうして私が何度もおまえの行動を見ることができるのか?とか」


 はっ、確かに。それもそうだね~。まあ、別に重要じゃないと思うけど?


「おい! 普通に重要だよ。これは異世界トリップ及び人類の人は一度となく考えるのだ!」


 そ、そう? この心の会話はかなり楽。お喋りの苦手な私にはとっても楽ちん~。


「はあ~、まあ、所詮おまえだし。で、私が何度もお前の面白場面を見ることが出来た理由はこことディランド世界の時間の進み方が違うからだ。分かったか?」


 はあ、分かった。


「お、お前、意外と頭の柔軟性があったんだな?」


 普通に『浦島太郎』を読んだことがある人には分かることだと思う。って、『浦島太郎』の作家ってSFだよね。すげーと尊敬する。って、私がここにいて、ディランド世界に戻ったら、私も浦島太郎になってしまう? って、私はこれからどうなるの?


「やっとまともな会話が出来る兆し。だから、はじめに言った選択に戻ると言うことになる。でも、安心しろ。浦島太郎にはならない。それよりもっと面白展開になるためにきちんと戻すよ。まあ、二週間遅れだけど……。本当は死んだ時に返してもいいけど、私の面白展開のために二週間後に戻ってもらう」


 っえ!? な、なんで二週間後なの?


「そ、その解答は言う気がない。そ、それより地球へ転生コースを選ばないだ。後はディランド世界での転生コースもあったんだけど。そうか、死者復活ゾンビコースを選ぶんだ」


 死者復活ゾンビコース?


「そう。まあ、それが今後の展開で一番面白そうだしね。転生はおまえの人生が終わって、またしてくれたらいいから」


 死んでも永遠にディランドの暇つぶしのために、転生させられるの? ま、まさかね~。そこまで鬼畜じゃないよね。普通は魂を休めると言うし。転生なんて、何がうれしいのか?って、チート人生ハーレム人生だったら考えてもいいけど。永遠に転生人生って言うのは、ねえ? よく小説で、何度も転生人生する話は途中から読む気が失せてしまう。


「いつになったら終わりがくるんだー。クライマックスがあって終わりがあってこそ、良作になるんだー」と叫びたくなる。


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