初めてのデート2
電車に乗って、二駅の所に動物園はあった。
雫は、初めての電車に興奮と困惑をしてとても忙しかった。
それを、側から見ていた海渡はそんな雫に手を貸したりしつつも嬉しそうにニコニコと笑っていたのだ。
ー動物園
「わぁ〜っ!」
動物園に着くと、雫は目をキラキラ輝かせながら辺りを見回した。
「ここが動物園!あ、見て海渡!あれは、らいおんね!」
「そうだよ」
「あれは何?」
「あれは、猿だね」
「さる。あ、あれはTVにも映っていたわっ!」
そういうと、雫はアルパカを指差した。
「本当に毛がないわ」
「夏は、暑いからカットするんだよ
。動物も暑いのは苦手だからね」
「私も人間になって気付いたけれど、湖の中の方が涼しくて心地いいわ。」
「だから、僕達も夏は水があるプールに行くんだよ」
「プール…前に言っていた、大きな湖ね!」
「うーん…湖とは少し違うけど、まぁ、例えるならそうだね」
海渡はそういうと、ははっと笑ったのだった。
そして、雫の小さな頭に手を置くと
「今度、一緒に行こうね」
と言ったのだった。
「うん♪」
∬
ー小動物触れ合い広場
雫は海渡の腕を引っ張ると、今度は触れ合い広場に向かった。
「わ〜!小さな動物がいっぱい!」
「ここは、動物達に触れて体験するエリアだからね」
雫は、楽しそうにして兎が沢山いる所に向かった。
「ふふっ、ふわふわだわ」
「可愛いね」
しゃがんで兎の頭を優しく撫でる雫。
隣では、海渡も黒い兎を抱っこしていた。
「兎でも、色んな色があるのね」
「そうだね。種類も沢山いるんだよ」
「へぇ〜。あ、この子は耳が垂れているわ」
「この兎は、ファジーロップだね」
「ふぁじーろっぷ」
「あれは、ネバーランドドワーフ」
「皆より少し小さいわ」
「うん。そういう兎なんだよ。ピーターラビットの話しは覚えているかい?」
「うん。だって、海渡が読み聞かせてくれたもの」
雫は嬉しそうに言った。
「ピーターラビットの兎はね、あのネバーランドドワーフをモデルにしたと言われているんだよ」
海渡は雫に微笑みながら言った。
雫は、その言葉に目を大きく見開いた。
「本当に?!あの子が、ピーターラビットだったなんて」
「あははっ。ピーターラビット本人ではないけどね」
「やっぱり、海渡の話しはとても面白いわっ」
「そう?」
雫はコクリと頷いた。
「だって、私の知らない事を沢山知っているんだものっ!」
「ははっ、雫もこれからもっともっと色んな事を覚えるようになるよ」
「海渡みたいに?」
「うん。だって、僕達はずっと一緒なんだから」
「…海渡」
雫は海渡に優しく微笑んだ。
海渡も雫に優しく微笑んだ。
海渡は、雫の小さな細い手を握るとニコリと笑った。
「ほら、次行くよ。動物園は広いし、もっと色んな動物もいるんだから」
そう言いながら雫を立たせると、今まで引っ張られていた海渡は、今度は楽しそうにしている雫を色んな場所に連れて行ったのだった。




