初めてのデート1
ー雫が海渡の宅に住むようになって数日後の話である。
「海渡!海渡!!これは何?」
雫は、海渡宅のTVに夢中になっていた。
そんな雫の行動に海渡は優しい気持ちになっていた。
「それは、虎だよ」
「とら?」
「そう。肉食系の動物なんだ。ネコ科でもあるけどね」
「にくしょく?ねこか?あ、じゃぁ、あれは?」
TVに映っていた動物が変わり、雫はまたもや海渡に聞いた。
「それは兎だね」
「うさぎ??」
海渡は、手で大きさを表した。
「これぐらいの大きさの動物だよ。兎は草食系だから、草や野菜を食べるんだよ」
「?????」
雫は、海渡の言っている事が中々理解出来ずにいた。
頭の上には???が飛び交っていた。
そんな雫に海渡はクスクスと笑った。
「じゃぁ、今度の土曜日に行こうか」
「何処に?」
「動物園だよ」
「どうぶつ、えん?」
「そう。TVに映っていた動物もいるし、他にも沢山の動物がいるんだよ」
そう海渡が言うと、雫は目をキラキラさせた。
「ほんと?!動物園楽しみだわっ!」
∬
ー土曜日
天気は、雲ひとつ無い快晴だった。
海渡は空を見上げ、あまりの眩しさに手で陽射しを隠した。
「晴れてよかった」
そう海渡が呟くと、「海渡〜」と雫がパタパタと小走りに走って来た。
「お待たせ!」
「その服、どうしたの?」
雫は、真っ白な小花が回りに散っているワンピースを着て、向日葵のコサージュが付いた麦わら帽子を被っていた。
「お義父さんが、プレゼントだって言って、ワンピースと帽子を貰ったのっ♪」
雫は嬉しそうにして海渡に言った。
その言葉に海渡は苦笑した。
(父さんも雫には甘いなぁ、はは…)
「海渡、早く行こう♪」
クイクイッと子供のように海渡の腕を引っ張る雫。
「わかったわかった。行こうか」
「うん♪」




