prologue
※本作『鯉は恋をした』のその後話になります。
~prologue~
ある日、広い湖に住んでいる鯉は泣いている少年を励ましました。
そして少年は、そんな鯉が気に入り小さな鯉に名前を付けて、毎日毎日色んな物語の本を読み聞かせたのです。
小さな鯉がもっともときめいた物は『人魚姫』でした。
そして、鯉はいつしか毎日来てくれる少年に淡い恋を知ったのです。
しかし、この恋は叶わないと知った鯉は少年をずっと見守る事に決めました。
ー月日が流れ、少年は立派な青年に成長しました。
鯉は、少年の成長が嬉しいのと、やはり、自分は少年の事を愛しているという想いを実感し、人魚姫もこんな気持ちなのだろうか?と思いました。
そんな声に反応したのが魔女だったのです。
魔女は鯉を人魚の姿に変えました。
しかし、鯉は人魚になって話すことが出来るようになっても、恐くて少年に会うことは出来ませんでした。
だから、鯉は歌を歌いました。
歌は少年の耳に入り、少年は誰が歌っているのか、ずっと、気になっていました。
そして、それが人魚だと知ると驚きはしたものの、その場から逃げませんでした。
寧ろ、その人魚の事を美しいと思ったのです。
人魚になった鯉と少年は、それからまた、毎日会うようになりました。
鯉は少年に触れる度に、人の温もりを知りました。
しかし、そんな二人にも障害が現れるのです。
二人は何とかその障害を乗り越えると、鯉は湖の主から貰った薬を飲みました。
すると、鯉の身体は変化し人間になったのです。
想いを打ち明けた二人。
その後、鯉は湖を立ち去り少年の家へと居候する事になったのです。
これは、鯉が人間になった後のお話です。




