表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カサンドラの屈託  作者: コリー
第一章 カサンドラと太陽神
2/7

2 進展

「あの、ありがとうございました」

次の日、借りた(何故か手渡された)「大学院生生活のスゝメⅡ」をしっかりと手渡した。

「あ、いえ…」

神木さんは本を受け取ると、大事そうに抱えた。

「あの…」

私が一晩中考えて、結論にたどり着くことが出来なかった疑問を彼女に投げかけることにした。

「どうしてその本を私に?」

神木さんは私の質問に心底驚いた顔をしたのち、少し顔を赤らめて言った。

「その…知らない人とはいえ、私のせいで死んでしまうというのは、さすがに責任を感じちゃうから…」

死ぬ!?私が?

『今日一日それが楽しみだったのに…もう生きていけない──』

あれか……!

しかし、私はかなり冗談めかして言っていたつもりだし、本気で信じるなんて、一体どういうことだろう。彼女が純粋だということか。

「ぷっ……」

不覚にも、笑わせる気がないであろう人に笑わされるなんて思ってもみなかった。

「え!?あの…何か私変なことした…かな…?」

「私、自分の事変な子だと思ってるけど、貴女は私よりも変です!」

「…自分で変な子って言っちゃうんだ」

今まで暗い顔だった彼女が、初めて笑顔を見せてくれた。

思えばここが始まりだったのかもしれない。


「あの…」

それから暫く経って放課後、彼女から話しかけてきた。

「何ですか?」

「何処に住んでるの?」

それはどういう意図で投げかけた質問なのだろうか。流石にその数文字では意図など理解できうるはずもない。

「寮ですけど…」

「寮!私の家、寮からすごく近いの!」

神木さんは胸の前で手を合わせて、無防備な笑顔を向けてきた。

なるほど。

今は放課後。そして彼女は帰る準備を整えて既にバッグを手に持っている。これは…。

「よければ一緒に帰ろ?」

出会ってから(初めて話してから)1日しか経っていない人と共に下校するのは、ぼっちの私には流石に荷が重いと感じるのも無理はないはずだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ