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科学と魔法の物語(仮)  作者: 七峰 巧
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プロローグ

人類は魔法を大成した。

その原理は魔力と呼ばれるものを使用し魔法を発動するという、至って簡単なものだが詳細は不明である。

そして、人々の生活は改善され世界は科学と魔法とが作用し合う未来都市へ瞬く間に進化した。街は人々の笑顔に溢れ、子どもたちは共に魔法を見て目を輝かせている。

しかし、魔法の使用には限りがある。

魔法を使いすぎると体の各機関に異常が出て、運が悪ければ死に至る魔力欠乏症になってしまうのだ。

しかし人々はそれを受け入れ、共存して生きてきた。

そんな魔法と科学とが作用し合う平穏な世界が生まれて200年。遂に恐れていた事が起こる。

魔法による大量殺戮。

人よりも体内魔力が多く自らを魔術師と呼ぶ者達は、いつしか科学を蔑み弾圧するようになった。

そしてある日、科学者達を惨殺した。

被害者は数千にも及び、これに激怒した他の科学者達が魔術師達に報復。事態は血で血を洗う戦争へと変貌した。

科学と魔法の戦いは熾烈を極め、遂に世界は2つに分かれた。



×××



「はい、本日の歴史の授業はここまでです。」

女教師独特の甲高い声が教室中に響き、俺を含む生徒全員が目を覚ました。

今さっきまで教師が言っていた事は全て―記憶メモリー―の魔法で既に頭の中に入っているので問題はない。

ただ―――

「やばいー!メモリーし忘れた!!」

聞き覚えのあるやや高い声が、俺の思考を停止させた。

矢嶋やじま 榎織かおりが彼女の名だ。

由緒正しき魔術師の家系に生まれた長女で、体内魔力量もこの学園でトップクラス。しかし、おっちょこちょいが玉に傷の俺の幼馴染みである。

クラスの男子には人気があり、よく紹介を頼まれるが面倒なので却下。

別に俺が奴に気があるという訳では無いので注意。

「てな訳で隼人、メモリーコピーさせて!!」

「またか……。」

「駄目?」

駄目……ではない。

仕方なく俺はメモリーコピーの呪文を唱え、先ほど学んだ歴史を加織の脳に移す。

「お、きたきた。へぇ~。あ、隼人ありがとね。」

「ああ。」

加織は俺に微笑むと、転移呪文を使用した。

恐らくは自宅に戻ったのだろう。

最後の授業も終わったし俺も家に帰ろうか。

先ほど考えていた疑問をすっかり忘れていた俺は、いつものように転移呪文を唱えた。



×××



疑問に思ったことがある。いったい何故、世界に魔法が確立したのか。

そもそも、魔法とはどういう原理で作用しているのか。

しかし、この世界で魔法について考えるのはタブーとされている。

少なくともこちら半分の世界では、だ。

魔法には、科学では説明できない箇所が多すぎる。

だから魔法と呼ばれているのだろうが、この世界で構築された科学は魔法の存在を否定していた。

なのに何故?


そう考えた刹那、俺の頭に激痛が走った。

脳を内部から破壊されているかのような感覚。

魔法の存在意義を考えた時に必ず起こる痛みだ。

俺が悶え苦しんでいると、男に声を掛けられた。

「大丈夫ですか?」

顔も名前も知らない……訳じゃない。電子タブレット越しに映る教師だ。

「大丈夫です。続けてください。」

大丈夫ではないが、学習に支障をきたしてはいないので、そう返事をする。

学習内容は全て電子タブレットに録音、記録してあるので、後で見直せば大丈夫だ。


きっと、魔法の裏には何かがあるはずだ。それを解き明かすことは俺には出来ないが、きっといつかは―――


俺の思考はそこで途切れた。


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